2021年春からJR東日本がオフピーク通勤でポイント還元!改めて注目される「時差出勤」の導入手順を解説

働き方改革の一環として、さらには新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、導入が推奨される「時差出勤制度」。このたび、JR東日本が2021年春より一年間、時差通勤を支援する新たなポイントサービスを開始するとのことで、改めて時差出勤への注目が集まっています。今一度、時差出勤導入の利点や導入方法を解説します。

「オフピーク通勤」とは?現場においては比較的導入・運用がしやすい労働時間制度

今回JR東日本が打ち出した新ポイントサービスに関わる報道で、「オフピーク通勤」というキーワードを耳にされた方も多いと思います。「オフピーク通勤」とは、いわゆる時差出勤制度のこと。文字通り、交通機関の混雑する時間帯(ピーク)を避けた通勤方法を指します。働き方改革の観点からは「柔軟な働き方」、新型コロナウイルス感染防止の観点からは「通勤時の密集回避」の実現が期待できるとして、今般、注目を集めています。

時差出勤制度の導入にあたり、企業では所定の始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げを行うことになりますが、一日あたりの勤務時間の変更は必要ありません。よって、変形労働時間制等と比較すると導入・運用がしやすいと考えることができます。

時差出勤の導入手順や就業規則規定例

時差出勤制度導入にあたり、「制度設計」、「就業規則変更」、「労働者への周知」が必要となります。制度設計にあたって検討・決定すべき点は以下の通りで、その際には労使間で十分な協議を行う必要があります。

✔ 時差出勤制度の目的
時差出勤制度を具体的に設計するためには、何のためにこの制度を設けるのかを明らかにしておく必要があります。働き方改革のためなのか、新型コロナウイルス感染拡大防止のためなのか、もしくは育児・介護との両立支援のためなのか、制度活用の場面を具体的に想定します。

✔ 時差出勤制度適用の期間・対象者
想定する時差出勤制度の目的に合った適用期間・対象者を検討します。

  • 育児であれば「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員」に対して「1回の申し出につき1年以内の期間」
  • 介護であれば「要介護状態にある家族を介護する従業員」に対して「1回につき、93日(介護休業をした場合又は異なる要介護状態について介護短時間勤務の適用を受けた場合は、93日からその日数を控除した日数)以内の期間」

といったように、育児・介護休業法を踏まえた制度設計が想定されます。
働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大防止の目的であれば、会社の実情に合わせて比較的自由度高く検討できます。

✔ 出勤時間のパターン
始業・終業時刻は就業規則の絶対的記載事項です。
「あらかじめ出勤パターンを定める」他、時差出勤の時間に幅を持たせる場合には「繰り上げ・繰り下げの最大幅と時間指定の方法」等、制度として明確にしておく必要があります。
時差出勤制度では、1時間~2時間の範囲内で始業・終業時刻をずらすことが通常です。

✔ 時差出勤制度適用のルール
時差出勤を利用する際の届け出・承認ルールについても定めておきましょう。その上で、事前承認がない場合には時差出勤として認めないものとしておくと、会社による労働時間管理がスムーズです。

時差出勤制度を就業規則に規定する

時差出勤制度設計後、制度の内容を就業規則に規定します。このとき、通常の始業・終業・休憩の時間を定め、その上で時差出勤時の就業時刻や対象者、制度適用のルールをまとめておくと分かりやすいでしょう。以下は、時差出勤制度で出勤時間のパターンを設ける場合の規定例です。

<時差出勤制度の規定例>

(労働時間及び休憩時間)
第〇条 始業、終業、休憩時間は以下のとおりとする。
    始業時刻  午前9時
    終業時刻  午後6時
    休憩時間  正午より午後1時まで
2 前項の規定にかかわらず、業務の都合その他やむを得ない事情により、始業及び終業の時刻並びに休憩時間を繰上げ、又は繰下げることがある。
(時差出勤制度)
第〇条 従業員から申し出があり、会社が必要と認めた場合は、時差出勤をすることができる。
2 時差出勤は、1日ごとに利用できるものとし、原則として前日までに上長に申し出て承認を得なければならない。
3 時差出勤の形態は次の通りとし、申出の際、次のシフトのうちいずれかを指定するものとする。
① 始業時刻 午前8時
  就業時刻 午後5時
  休憩時間 午前11時より正午まで
② 始業時刻 午前10時
  就業時刻 午後7時
  休憩時刻 午後1時より午後2時まで
4 事前承認がない場合には時差出勤として認めないものとする。

労働者への周知を徹底し、対象者が誰でも必要に応じて活用できる運用を

時差出勤制度の内容が固まり次第、新たな社内制度として従業員に周知します。従業員側から意見が出れば、その都度対応を検討し、実運用の中で御社の実情に即した制度に仕上げていきましょう。

このとき、定時で退勤しづらい風潮のある職場では、従業員の意識改革が必要となります。早く出勤した従業員が何となく帰りづらくそのまま仕事をしてしまい、結果として長時間労働に・・・、といったことのないようにしましょう。

また、時差出勤制度の導入により休憩時間の一斉取得ができなくなります。これに伴い、「一斉休憩の適用除外に関する労使協定書」の締結が必要になる事業場が出てくる点にも注意しなければなりません。

参考:愛媛労働局「休憩(第34条) 休日(第35条)

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