新しい年を迎えたかと思えば、間もなく2019年度末がやってまいります。年度末には繁忙期を迎える現場も多いものと思いますが、毎年4月1日に年次有給休暇を一斉付与する会社では「年5日の有休取得義務」への対応状況を必ず確認しておきましょう!
目次
2019年4月1日に付与した有休は、2020年3月31日までに5日取得させるのが義務
皆さん既にご存じの通り、2019年4月1日から年5日の有休を労働者に取得させることが、企業規模を問わずすべての使用者の義務となりました。中小企業への猶予措置の対象外であることから、現場においては比較的高い関心の寄せられるテーマと言えるかもしれませんね。
参考:
打刻ファースト「『有給休暇年5日取得義務化』の対応は大丈夫?有休取得手順の見直しを【労働基準法改正2019】」
打刻ファースト「年5日の有休取得義務化目前!企業が取り組むべき実務対応チェックリスト【労働基準法改正2019】」
年5日の有休取得義務を盛り込んだ改正労働基準法が施行された2019年4月1日から、間もなく1年が経過しようとしていますが、従業員の有休取得状況はいかがでしょうか?
タイトルの通り、2019年4月1日に付与した有休について、使用者は付与日から1年以内、つまり2019年度中に5日間取得させなければなりません。
「使用者による時季指定」は就業規則の記載事項
年5日の有休取得義務への対応は、「計画的付与」、「使用者による時季指定」、「労働者自らの請求・取得」のいずれかによって労働者に年5日以上の有休を取得させることでクリアできます。
これらのうち、「計画的付与」を導入する場合には労使協定の締結と就業規則への規定、「使用者による時季指定」をする場合には就業規則への規定が必要になります。
「使用者による時季指定」とは、使用者が年5日の有休取得義務への責任を果たすために、時期を指定して労働者に有休を取得させる方法です。休暇に関わる定めは労働基準法第89条にある就業規則の絶対的必要記載事項であることから、就業規則への明記が必要となります。記載に際しては、下記の点を盛り込み、不利益変更と捉えられない様な配慮が求められます。
* 時季指定の対象となる労働者の範囲(対象はあくまで、年10日以上の有休取得が与えられていてその取得が年5日に満たない者)
* 時季指定の方法(使用者が一方的に時季指定するのではなく、労働者の意見を尊重した上で手続きを進める)
以下は、厚生労働省が公開するモデル就業規則の記載例です。
出典:厚生労働省「年次有給休暇の時季指定_年5日の年次有給休暇の 確実な取得 わかりやすい解説」
使用者による時季指定を導入する際には、必ず必要な手順(就業規則改定、労働者への意見聴取、従業員への周知徹底、届出)を経るようにしましょう。
イレギュラーな有休付与パターンへの年5日取得義務への対応方法
さて、2019年4月1日から1年経過時点を目前に控え、毎年4月1日に有休の一斉付与を行っている企業では早急な確認・対応が必要となることがお分かりいただけたと思います。
ところが、有休付与のパターンによっては「いつまでに5日取得させなければならないのか、よく分からない」といったケースもあるようです。
例えば、4月1日入社の新入社員に対し、本来10月1日(勤続6ヵ月経過時点)に付与すべき有給休暇を前倒しで入社時に与えている場合にはどのように判断すべきでしょうか?
この場合、4月1日の付与日を基準として、そこから1年間に5日間の有休を取得させる必要があります。
出典:厚生労働省「年次有給休暇の時季指定_年5日の年次有給休暇の 確実な取得 わかりやすい解説」
その他のイレギュラーな付与パターンもおさらいを
その他、ケース別の実務対応については下記にてご紹介しているので、参考にしてみてください。
参考:打刻ファースト「【働き方改革続報】2019年4月義務化の「年次有給休暇年5日取得」対応【ケース別】」
【ケースその1】
10日以上の年次有給休暇を法定より前倒しで付与する場合
【ケースその2】
入社後6ヵ月経過時点で10日以上の年次有給休暇を付与し、その後1年以内の一斉付与日に新たに10日以上の年次有給休暇を付与する場合
【ケースその3】
10日未満の年次有給休暇を前倒しで付与する場合の取扱い
上記のようなイレギュラーの対応策をご紹介しておりますので、年度末を迎える前にぜひご確認ください。
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