企業の義務である「健康診断」、パート・アルバイトへの実施はどうする?

4月を迎え、ちょうど従業員の健康診断実施を進めている企業も多いと思います。ところで、健康診断は、パート・アルバイトの中にも実施対象者がいることをご存知でしょうか?今春より中小企業でも適用が開始された同一労働同一賃金と絡めて、健康診断を実施すべき労働者に正しく実施できているかどうかを確認されておくと安心です。

企業に義務付けられる健康診断の種類

労働安全衛生法上、労働者に対して医師による健康診断を実施することは企業の義務となっています。企業が実施すべき健康診断には、以下の種類があります。

出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~

「常時雇用する労働者」の定義

いずれの企業においても実施することとなる「雇入時の健康診断」と「定期健康診断」について、対象となる労働者が「常時使用する労働者」となっています。

常時使用する労働者というと、一般的には正社員をイメージしますが、パート・アルバイトも働き方によっては対象となる場合があります
具体的には、以下のいずれの要件も満たす労働者については健康診断を実施しなければなりません。

① 期間の定めのない契約により使用される者であること。
期間の定めのある契約により使用される者の場合は、
⇒1年以上使用されることが予定されている者
⇒更新により1年以上使用されている者。
※特定業務従事者健診の対象となる者の雇入時健康診断については、6カ月以上使用されることが予定され、又は更新により6カ月以上使用されている者

② 1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること。

具体的に、「社会保険適用を受ける労働者」については正規、非正規を問わず健康診断の実施対象とするべきと考えます。ただし、通達では①に該当し、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施するのが望ましいとされています。

健康診断受診時の賃金の取扱いは、正規・非正規同一に

通常、企業で実施する一般健康診断受診時の賃金は、労使協議により支払の有無を決定できます。これは、一般健康診断の目的が一般的な健康確保であり、必ずしも業務遂行との直接的な関連性があるとは言えないことから、賃金を支払わなくても良いと考えられているためです。一方で、特殊健康診断は、業務の遂行に関して労働者の健康確保のため当然に実施しなければならない健康診断とされているため、有給とすることとされています。

なお、同一労働同一賃金ガイドラインでは、「短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならない」とされています。具体的に、定期健康診断受診時の賃金取扱いとして「正社員は有給」「パート・アルバイトは無給」とすることはできません

コロナ禍でも健康診断実施を進めましょう!

今般、新型コロナウイルス感染拡大を背景に、「極力、医療機関に足を運びたくない」という理由から健康診断の受診控えが広がっています。もちろん、コロナ禍においてあえて感染リスクのある場所を訪れることには誰しも抵抗を感じるものですが、一方で、過度な受診控えが健康上のリスクを高める可能性もあります。

また、コロナ禍でも企業における健康診断実施義務は免除されるものではありません。企業は、健康診断実施先のコロナ対策を確認の上、安心できる機関で実施できる様に準備を進めましょう。

参考:厚生労働省「コロナ禍でも健康診断の実施と受診をお願いします -新型コロナウイルス対策を踏まえた上手な医療のかかり方-

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