2022年4月より「人材開発支援助成金」が大幅に変更しています

その年に設けられる雇用関係助成金は毎年4月の年度初めに公表されますが、2022年度は助成金の中にこれまでと大きく変わるものが少なくありません。このうち、キャリアアップ助成金正社員化コースに関わる変更はすでにご紹介した通りですが、今号では「人材開発支援助成金」について知っておきたい変更点について解説しましょう。

2022年4月以降、人材開発支援助成金の各コースで生じている変更点

人材開発支援助成金とは、労働者の職業生活設計における段階的かつ体系的な職業能力開発の効果的な促進を目的に、事業主が実施した訓練の経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。企業が働く人の能力開発に目を向けることにより、労働者側から寄せられる会社への信頼向上、離職率低下、業務遂行における直接的な好影響等が期待できますね。

このように、企業における人材育成に幅広く活用可能な「人材開発支援助成金」ですが、2022年度より以下の通り変更が生じています


出典:厚生労働省「令和4年度から人材開発支援助成金の見直しを行います

人材開発支援助成金変更点① 訓練施設の要件の変更

各コースの訓練施設については、従来「公共職業能力開発施設など」「事業主・事業主団体の設置する施設」「学校教育法による大学等」「各種学校等(専修学校など)」が指定されていました。このうち、「事業主・事業主団体の設置する施設」について、以下の施設が除外されます

※除外となる施設
・申請事業主(取締役含む)の3親等以内の親族が設置する施設
・申請事業主の取締役・雇用する労働者が設置する施設
・グループ事業主が設置する施設で、不特定の者を対象とせずに訓練を実施する施設
・申請事業主が設置する別法人の施設

人材開発支援助成金変更点② 訓練講師の要件の変更

講師を招き、事業内で訓練を実施する場合、講師は次のいずれかに該当することが必要となります。これに伴い、訓練計画提出時に「OFF-JT部外講師要件確認書」の提出が求められるようになります

※訓練講師の要件
・公共職業能力開発施設や各種学校等の施設に所属する指導員等
・職業訓練指導員免許を有する者(訓練の内容に直接関係する職種であることが必要)
・1級の技能検定に合格した者(訓練の内容に直接関係する職種であることが必要)
・訓練分野の指導員・講師経験が3年以上の者または実務経験が10年以上の者

人材開発支援助成金変更点③ OJTの助成額変更など

特定訓練コース、特定育成訓練コースにおいて、OJTを実施した際の助成額が定額制に変更となります

  • 特定訓練コース(認定実習併用職業訓練)
    1訓練あたり20万円[大企業11万円] (これまではOJT1時間あたり665円[大企業380円])
  • 特別育成訓練コース(有期実習型訓練)
    1訓練あたり10万円[大企業9万円] (これまではOJT1時間あたり760円[大企業665円])
    ※生産性要件を満たした場合の追加助成有

加えて、OJT訓練指導者が1日に指導できる受講者が3名までとされます。

人材開発支援助成金変更点④ 特定訓練コースの見直し

特定訓練コースでは、以下の4点について変更が生じています

  1. グローバル人材育成訓練の廃止
  2. 特定分野認定実習併用職業訓練を認定実習併用職業訓練に統廃合
    ・これまでは「特定分野認定実習併用訓練」について60%(大企業45%)の助成率が適用されていましたが2022年4月より、45%(大企業30%)が適用されています
    ・認定実習併用職業訓練について、これまでは「雇い入れ日または転換日から訓練開始日までが2週間以内の者」とされていましたが、これを「雇い入れ日または転換日から訓練開始日までが3か月以内」の者に変更されています
  3. セルフ・キャリアドック制度導入の上乗せ措置(+15%)が廃止され、定期的なキャリアコンサルティング制度を労働協約や就業規則、または事業内職業能力開発計画に定めることが必要とされています
  4. 若年人材育成訓練(35歳未満を対象)の対象労働者の要件について、「雇用契約締結後5年を経過していない労働者」から「事業所の雇用保険被保険者となった日から5年を経過していない労働者」に変更されています

人材開発支援助成金変更点⑤ 特別育成訓練コースの見直し

特別育成訓練コースでは、以下2点について変更が生じています

  1. 対象訓練のうち「職業または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となる訓練」について、「訓練時間数に占める割合が半分未満であることが必要」とされました
    ※これまで「職務に関連した内容に限り制限なく実施可能」とされていた要件は撤廃
  2. 計画届提出時の提出書類が以下の通り変更となりました
    ・新たに「訓練別対象者一覧」「訓練の実施内容などを確認する書類」の提出が求められます
    ・「有期実習型訓練に係る訓練カリキュラム」の様式が変更されています
    ・「有期実習型訓練に係る訓練計画予定表」の提出が不要となっています

新設「人への投資促進コース」に注目

また、このたびの人材開発支援助成金の変更では、新たに「人への投資促進コース」が設けられた点に注目が集まっています。
本コースでは、「企業の従業員教育、学び直しへの支援」「デジタル分野など円滑な労働移動を促すための支援」など、実際に国民から寄せられたアイディアを元に5つのコースが設置されている点に特徴があります。本助成金の活用においては、より企業ニーズにマッチした実効性のある取り組みにつながるものと予想されます。
「人への投資促進コース」の設置は、現在のところ、2024年度までの時限措置となっていますので、活用を検討される企業においては早めの取り組みが得策です。
「人への投資促進コース」の詳細については、以下よりご確認いただけます。打刻ファーストでは、別記事にて解説を予定しています。

参考:厚生労働省「令和4年度版パンフレット(人への投資促進コース)詳細版

 

2022年度も、企業において幅広く活用可能な雇用関係助成金が設けられています。助成金申請の前提条件となる「適正な勤怠管理・賃金支払」には、無料のクラウド勤怠管理システム ハーモス勤怠 by IEYASUのご活用が便利です!勤怠管理を万全にして、助成金体質の企業作りを進めましょう^^

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