【教員の働き方改革】「公立学校教師の勤務時間の上限」はどうなるの?

一般企業における働き方改革を背景に、学校の先生たちの働き方改革についても、徐々にではありますが進みつつあります。
すでに公立中学校では2018年度中から、部活動日が減らされたり、部活動指導員が導入されたりと、教員の負担軽減が図られ始めています。

今号では、教育現場における「時間外労働の上限規制」について、ガイドラインを元に概要を確認することにしましょう。

参考:文部科学省「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン

上限設定される「勤務時間」とは、原則「在校時間」を対象とする

教師の勤務時間の上限を考える上では、「勤務時間の定義」への正しい理解が不可欠です。
なぜなら、このたび策定された「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」における教師の「勤務時間」は、労働基準法に定められるごく一般的な「労働時間」とは異なるものだからです。

・労働基準法上の「労働時間」
使用者の指揮命令下に置かれている時間

・教師の勤務時間
指揮命令下にある時間以外にも、自主的・自発的な勤務も含め、外形的に把握することができる在校時間を対象とする。
校外での勤務についても、職務として行う研修や児童生徒の引率等の職務に従事している時間について外形的に把握し、これらを合わせて「在校等時間」とする

なぜ、上記のように一般的な「労働時間」と「教師の勤務時間」の定義に違いがあるのかといえば、その背景には、教育現場特有の時間外労働の考えられ方があります。

公立学校では、原則として「時間外労働を命じることができない」といったルールのもと、超勤4項目(※)に該当する業務に従事させる場合には、校長権限で特例的に時間外労働を命じることができます。
ところが、教員勤務実態調査の結果によると、教師が所定勤務時間外に行う業務の大半が「超勤4項目」に関する業務以外のものであるという実態が明らかになりました。

このことを受け、今後は在校時間を基本に自主的・自発的な勤務も含めて勤務時間として把握し、上限を設定し、長時間労働を是正していく流れとなりました。

公立学校教師の勤務時間の上限をガイドラインで確認

公立学校教師の勤務時間の上限について、2019年1月25日に文科省より公開されたガイドラインによると、下記の通り明記されています。

①1ヵ月の在校等時間について、超過勤務45時間以内
②1年間の在校等時間について、超過勤務360時間以内
※児童生徒等に係る臨時的な特別の事情により勤務せざるを得ない場合は、1ヵ月の超過勤務100時間未満、1年間の超過勤務720時間以内
(連続する複数月の平均超過勤務80時間以内、かつ、超過勤務45時間超の月は年間6ヵ月まで)

上記の目安は、2019年4月施行の改正労働基準法に盛り込まれた「時間外労働の上限規制」と同等の数字となります。
この点、日本労働組合総連合会の調査では、1週間の総労働時間について、60 時間以上働いている教員の割合が「53.4%」と半数を超えるデータが明らかにされています。1週間あたり20時間の時間外労働があるとすれば、単純計算で1ヵ月(4週間)の時間外労働は80時間となります。

出典:日本労働組合総連合会「世論調査_教員の勤務時間に関するアンケート

学校における時間外労働の上限規制の実現に向け、各現場では具体的な対応が求められることになります。

教育現場の「時間外労働の上限規制」対応には、「適切な勤怠管理」の導入が原則

さて、学校における長時間労働是正を考える上では、一般企業同様、まずは「勤怠管理を適切な方法で行うこと」が大前提となります。
勤怠管理については、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」の中でも下記の通り明記されています。

出典:文部科学省「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン

原則時間外労働が認められず、超勤4項目への補償が教職調整額の支給に委ねられるという特殊な取り扱いが標準とされることから、現状、勤怠管理をしていない学校も少なくないものと思われます。
しかしながら、働き方改革の必要性が声高に叫ばれる今日においては、教育現場における働き方もまた、例外なく変えていくべきといえましょう。

「とはいえ、何から始めれば良いか分からない」という現場では、「適切な勤怠管理の導入」が現状打破の第一歩となるはずです。
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