【学校の働き方改革】公立学校の教師に適用される「勤務時間の上限」ルールを確認!

民間企業における働き方改革が進む一方、学校現場における労働時間の長時間化は依然として問題視されています。遅々として進まぬ教員の働き方改革を加速させるべく、政府は公立学校を管轄する教育委員会等に対し、早急な対応を求める旨の通知を発出しています。各現場では、すでに公開されている「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を土台として、年度内に、労働時間削減に向けた具体的な取り組みが進められます。こうした公立学校の動向を受け、私立学校における働き方改革も待ったなしで進めていく必要が生じるでしょう。

働き方改革未対応の教育委員会は「公表」措置も

教員の労働時間削減についてはどうしても現場の取り組み次第といった感が否めず、とりわけ公立学校においては自治体単位の差異が課題となっています。このような状況を受け、文科省は2023年2月、各都道府県教育委員会宛に、「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康および福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」(以下「指針」)を踏まえた教員の労働時間管理について、各自治体の条例や規則等への反映が遅くとも2023年度中に行われるよう可及的速やかに対応を図るよう要請しました。対応に遅れのある教育委員会に対しては「公表」もあり得るということで、公立学校の働き方改革は2023年度中に大きく前進することとなりそうです。

公立学校の先生も、「時間外労働の上限規制」が適用に?

長時間労働の是正につながる取り組みといえば、現在、企業規模を問わず民間で適用されている「時間外労働の上限規制」です。2024年度からは猶予対象となっていた建設業、自動車運転業務、医師についても適用が開始されますが、学校現場ではすでに2020年度より指針の元、教員の勤務時間を適正に把握するための取り組みが進められているのです。今号ではこの指針に示される、公立学校の教員に適用される時間外労働の上限時間について解説します。

教員の「勤務時間の把握」の方法

公立学校の教員の勤務時間を考える上では、給特法に規定される「超勤4項目」以外の業務時間の取扱いがグレーゾーンとされていました。この点の取扱いが、指針において明確にされています。

勤怠管理の対象とする時間

「超勤4項目」以外の業務を行う時間も含め、教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握することができる時間を「在校等時間」とし、勤務時間管理の対象とします

勤務時間としての取扱う時間の把握

「超勤4項目」以外の業務を行う時間も含めて教育職員が在校している時間を基本とし、当該時間に、以下①、②を加え、③、④を除いた時間を在校等時間とします
・加える時間
① 校外において職務として行う研修や児童生徒の引率等の職務に従事している時間
② 各地方公共団体で定めるテレワークの時間
・除く時間
③ 勤務時間外における自己研鑽及び業務外の時間(※自己申告による)
④ 休憩時間

在校時間のうち、自己申告によって除く時間がある点において、労基法上の労働時間とは異なる考え方が適用されることになります。この点、上限時間を意識するあまり、必要な勤務時間が意図的に除かれることのないよう、各現場における適切な運用が求められます。

時間外在校等時間の上限

1ヶ月の時間外在校等時間については「45時間以内」、1年間の時間外在校等時間については「360時間以内」とします。
ただし、児童生徒等に係る臨時的な特別の事情により業務を行わざるを得ない場合は、以下の目安が適用されます。

  • 1ヶ月の時間外在校等時間100時間未満
  • 1年間の時間外在校等時間720時間以内
  • 連続する複数月の平均時間外在校等時間80時間以内、かつ時間外在校等時間45時間超の月は年間6ヶ月まで

このあたりは、労基法上の時間外労働の上限規制同様の考え方となります。

教員の健康確保措置への取り組みを

労基法上の時間外労働の上限規制では、「月45時間」「年360時間」の限度時間を超えて労働させる労働者に対し、健康及び福祉を確保するための措置を講じることとされていますが、教員に対しても同様です。休憩時間や休日の確保等の労働法制を遵守すると共に、在校等時間が一定時間を超えた教師等への医師による面接指導や健康診断を実施すること、一定時間の勤務間インターバルを確保すること、年次有給休暇等の休日についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること、心身の健康問題についての相談窓口を設置すること、必要に応じて医師による保健指導を受けさせること等の措置を講じることとされています。

学校現場における「労働時間の客観的把握」には、クラウド勤怠管理がマスト

教員の勤務時間把握について、指針には、「教育職員が在校している時間は、ICTの活用やタイムカード等により客観的に計測。校外で職務に従事している時間も、できる限り客観的に計測。計測した時間は公務災害が生じた場合等に重要な記録となることから、公文書としてその管理及び保存を適切に行う。」と明記されています。これに鑑みれば、クラウドによる勤怠管理システムの導入は、もはや不可欠と考えて間違いないでしょう。HRMOS勤怠byIEYASUなら、校内での通常勤務時の勤怠管理はもちろん、早出・残業、休日出勤、学校ならではの出張や研修、テレワーク等、場所を選ばず適切な勤怠管理が可能となります。学校現場の勤怠管理に、ぜひお役立てください^^

参考:文部科学省「「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」の告示等について(通知)(令和2年1月17日)

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