【施行は最短2021年から】短時間労働者への厚生年金適用拡大に向けた検討が開始されます

短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の加入要件をご存じでしょうか?

テレビや新聞などで報道されている通り、2018年9月より、厚生年金に加入する短時間労働者の適用対象を拡大する方向での検討が開始されます。労使折半となる社会保険料負担は、個人だけでなく会社にとっても影響の大きな事項であることは言うまでもありません。今後の動向について、今から把握しておきましょう。

厚生年金の適用拡大は、すでに2016年、2017年にも実施済み!

このたび議論されることとなった短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大については、実は2016年、そして2017年にも行われています。大きな改正項目のため、ご存じの方も多いかもしれませんね。
短時間労働者の厚生年金加入について、現状の要件を下記にまとめます。

パート・アルバイト等の厚生年金加入要件(2018年8月現在)

勤務時間・勤務日数が、常時雇用者の3/4未満で、以下の①~⑤全ての要件に該当する方

① 週の所定労働時間が 20 時間以上あること
② 雇用期間が 1年以上見込まれること
③ 賃金の月額が 8.8 万円以上であること
④ 学生でないこと
⑤ 被保険者数が常時 501 人以上の企業に勤めていること

※次のア又はイに該当する、被保険者数が常時500人以下の事業所においても、下記に該当する場合、2017年4月より適用対象となりました

ア.労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所
イ.地方公共団体に属する事業所

国に属する全ての事業所については平成28年10月から適用拡大を開始しています。

参考:日本年金機構「短時間労働者に対する厚生年金保険等の適用が拡大されています

ちなみに、上記の要件に該当する労働者であっても、原則、70歳以上であれば厚生年金保険への加入が、そして75歳以上であれば健康保険への加入ができません。

※ただし、厚生年金保険については、受給資格期間が足りない人に限り、70歳以上でも年金の受給権獲得までの期間は任意で厚生年金に入ることが可能です
※健康保険については、75歳以上になると後期高齢者医療制度への加入対象となります。

このように、現状、「被保険者数が常時500人以下の法人・個人の事業所」においては、「労使の合意」の元、短時間労働者への適用拡大が行われています。よって、多くの中小企業では、適用対象の拡大が行われたとはいえ、実際にはその影響が生じていないものと思われます。

ところが、9月以降、さらなる適用拡大の実現に向けた議論に入ります。改正が予定される事項として、下記の2点を把握しておきましょう。政府は2020年の法案提出を目標としており、法案が成立すれば、最短で1年後の2021年にも施行される見込みです。

月収要件が「8.8万円以上」から「6.8万円以上」に引き下げ

短時間労働者への適用拡大が目指される中で、まず見直されるのが「月収要件」です。

◎ 賃金月額8.8万円 ⇒ 月額6.8万円

と、2万円の引き下げが検討されています。賃金月額が6.8万円となれば、年収では81.6万円(6.8万円×12)となり、「106万の壁」といわれる現在の年収基準から大幅に変更されることになります。

保険料として毎月どの程度の支払が必要になるかは今後併せて議論されることになりますが、現状の保険料負担を鑑みれば、一人当たり概ね1万円弱(健康保険料・厚生年金保険料をあわせた折半額)を見積もるのが妥当といえそうです。

出典:全国健康保険協会「平成30年度保険料額表(平成30年4月分から)

「従業員数要件」の引き下げ又は撤廃で、中小企業も幅広く対象に

さらに、「企業規模要件」についても人数の引き下げ、もしくは撤廃される見通しとなっています。
具体的な数字については未だ明らかになっていませんが、これまで対象外とされてきた中小企業においても適用拡大が進む見通しです。

社会保険の加入状況の確認を!

今号でご紹介した「厚生年金保険の適用拡大」については、今後もその動向に目を向けていくべき話題です。
打刻ファーストでも、新着情報を随時ご紹介していきますので、ぜひご確認をお願いします。

また、法改正への議論と併せて、今後は社会保険未加入への指導がより一層厳しいものとなることが予想されます。まずは既存の従業員に対して、社会保険に加入すべき人が正しく加入できているかどうかを確認しておきましょう。

☆ 現状、被保険者数が常時500名以下であり、労使の合意に至っていない中小企業に適用される短時間労働者の加入条件は、「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上であること」です。

社会保険への適正加入は、日々の勤怠管理同様、労務管理の基本となります。一つひとつ、足元から固めてまいりましょう!

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