コロナの影響でテレワークを導入する企業が増えています。ワーク・ライフ・バランスの観点からも奨励されていますが、テレワークには、「本当に働いているの?」「コミュニケーションが取れないけど大丈夫?」等会社として、いろいろと考えなければならないことがあります。このコラムでは、「テレワーク=在宅勤務」として捉え、会社として注意してほしいことを解説します。
テレワーク実施の背景
ここ4~5年テレワークを実施する企業が増えてきました。その背景には、コロナ禍による拡大の防止、ワーク・ライフ・バランスの推進、働き方改革の実施、両立支援などの理由があげられます。また、テレワークを実施することで下記のメリットがあります。
- コスト削減
通勤費やペーパーレス化によるコスト削減。全社員が会社に来なくてもよいので、オフィスを小さくして賃料や光熱費を削減することができる。 - 生産性を高める
仕事の中断が減る、通勤時間がなくなることでそこに係るエネルギー分を仕事で発揮することができる。 - 人手不足の解消
テレワークは、子育てや介護中の方や治療中の方、遠方に住んでいる方なども雇用することができ、多様な働き方を実現することができる。 - ワーク・ライフ・バランスの推進
子育てや介護で仕事に制約がある社員、仕事をしながらボランティアや勉強等に頑張る社員など、自分に合ったバランスで働くことができる。
今後コロナ禍が収束したとしても、さらにテレワークを導入する企業は増えていくことと思われます。
テレワークの注意点とその解決
1.情報漏えい対策
テレワークは、どこでもできるため情報漏えいリスクが会社いる時と比べて高まります。例えば、カフェでのぞき見をされたり、無料Wi-Fiにつなぐことによる情報漏えいがあります。情報漏えいについては、テレワークを行う社員がリスクを認識し、危機感を持たなければ意味がありません。まずは、研修等を実施して社員の「リスク管理」意識を高めることが重要です。
2.社員のさぼり
会社内では、上司や同僚の目があるため、なかなか仕事をさぼることはできません。しかし、テレワークでは、誰の目もないため、さぼろうと思えばさぼることができます。自己管理が苦手な社員は、さぼるというよりも、なかなか仕事に集中できない可能性があります。さぼりを防ぐように予め対策を立てることが必要です。
テレワーク時のさぼりに関しては、リクルートマネジメントソリューションズの調査で実に半数以上の管理職が「部下がサボっているか心配である」と考えています。しかし、実際には会社で仕事をしていても、座ってパソコンに向かっていれば仕事をしていると判断して確認する人はいないでしょう。そして、仕事をしたかどうかは成果物で判断します。つまり、在宅か会社かではなく、今までと同様指示した成果物ができていれば何ら問題はないといえるのです。方法としては、テレワークの前日に、上司は提出物や報告する内容を連絡します。テレワーク時に、上司が指示した提出物や報告通りの内容ができていたかチェックします。重要なことは、テレワーク時の仕事に対して具体的な業務の内容だけでなく、その進捗や成果を報告させることです。この結果、さぼっていては仕事が進まなくなります。この方法を取り入れている企業は、現在数多くあります。ただし、上司が仕事の進捗管理がきちんとできるようにマネジメント能力を身につけている必要があります。
また、上司の「さぼっているのでは?」と言う不安は、働く様子を見ることで解消できます。例えば、web会議を利用して進捗状況を確認したり、仕事で困っていることがないか相談にのることです。
3.長時間労働リスク
テレワークになるといつでも仕事ができる環境になるため、さぼりと対極の頑張ってしまう社員がでてきます。目標管理を取り入れている会社が多いのですが、その場合、少しでも高い目標を達成しようと長時間労働する社員が出てくるのです。そこで、「残業をする場合は、必ず上司の許可を取る」「会社のシステムへのアクセス制限をかける」「休日や深夜の勤怠管理を厳しくする」等ルールと作ることが重要です。
4.コミュニケーション不足
テレワークでよく問題となるのが「コミュニケーション不足」です。基本テレワークは一人で仕事をします。わからないことがあってもすぐに訊くことができません。また、一番問題になるのが、自分で判断しなければならないことが多くなるということです。会社では、上司の指示に従って仕事をすればよかったのですが、テレワークでは、すぐに訊けず自分で判断しなければなりません。自分の判断に自信が持てない社員にとっては、かなりのプレッシャーになるようです。事実、このプレッシャーからメンタル不調になった社員の話をよく聞きます。上司としては、WEB会議システムを使用するだけでなく、時に生の声で会話をするために携帯から声掛けをしてもよいかもしれません。一人で仕事をしているとこの声かけはうれしいものです。
まとめ
テレワークは、多様な働き方やワーク・ライフ・バランスの推進、コスト削減、人材の確保等のメリットがあります。しかし、反対に情報漏えいリスクや勤怠管理の難しさなどの注意点もあります。一般的な制度ではなく、社員とも話し合って、自社に合う制度を考えツールを導入して解決を図っていきましょう。