【学校の働き方改革】教員の長時間労働改善事例(茨城大学教育学部附属中学校)

恒常的に多忙を極める学校の先生の働き方については、一般企業において同様、労働時間の長時間化に対する早急な対策が求められています。
しかしながら教育現場という性質上、教員の労働時間削減に伴い「教育や生徒・保護者対応の質の低下につながるのではないか」という懸念はどうしてもついて回り、このことが学校の働き方改革を妨げとなっています。

一方で生徒や保護者の理解を得ながらも、独自の取り組みによって月の時間外・休日労働の半減に成功した学校もあります。
さっそく事例を確認しましょう。

「時間外・休日労働半減」に成功した、茨城大附属中の働き方改革

今号でご紹介するのは、茨城県水戸市にある茨城大学教育学部附属中学校での長時間労働是正に向けた取り組みです。
茨城大学では、2019年1月より「附属学校園における働き方改革推進タスクフォース」を設置し、附属学校や幼稚園における業務見直しに取り組んできたとのことです。

具体的な見直し内容
〇 本格的な労働時間把握
〇 業務の仕分け
(「やめる業務(やめたい業務)」「教員以外に担当を替える業務」「教員の負担を軽減する業務」の3区分)

〇 業務仕分けの結果を元にした業務改善
⇒夜間・休日の電話対応の留守番電話への切り替え
⇒会議の出席者を厳選して時間割内に組み込む
⇒一部業務における学生・保護者によるボランティアの活用

ここまでの取り組みによって、2018年11月時点では月60時間だった平均的な教員の時間外・休日労働時間が、2019年春時点で約半分の30時間にまで削減されたとのこと。
取り組みの内容に何ら特別な施策はなく、いずれもごく基本的なものですが、期待をはるかに上回る効果が出たと言えるのではないでしょうか?

同校では働き方改革をさらに加速させるべく、2019年度中に下記の取り組みに着手する予定とのこと。

・家庭訪問の取り止め
・宿泊共同学習の宿泊日数の削減
・校内清掃の時間削減

学校の働き方改革の先進事例として、今後の動向に注目が集まります。

参考:茨城大学「教育学部附属中で教員の働き方改革に関する報告会

学校の働き方改革に必要なのは「意識改革」

冒頭でも少し触れましたが、「教育現場」という特性上、学校の働き方改革には、一般企業以上に慎重かつ丁寧に取り組むべき事前準備があります。

それは、各方面の「意識改革」です。

✓ 管理監督者が働き方改革の重要性を理解し、是正に向けて取り組みやすい風土、体制作りを進めること
✓ 各教員が自身の働き方改革の必要性を理解し、「時間」を意識した働き方を目指すこと
✓ 生徒や保護者も、学校の働き方改革に理解を示し、協力すること

上記の要素が一つでも欠けてしまえば、学校の働き方改革は成立しません。
改革を進める以前の基本的な考え方として、前向きに働き方を見直せるような土壌作りを行っておくことが重要となります。

とはいえ、特に生徒や保護者にとっては、従来の体制が変化することへの不安は少なからず感じられるものです。
この点、学校の実情と今後目指していくべき姿、今後の施策とフォロー体制、働き方改革がもたらす学校教育への良い影響等の情報を正しく発信・共有していくことで、一つひとつ理解を得ていく姿勢が求められます。

くれぐれも、決定事項のみを一方的に伝達するようなやり方は厳禁です。

学校の働き方改革が遅々として進まぬ背景には、「保護者からの反発があるのではないか」という懸念が要因となっていることもあるでしょう。しかしながら、「8割以上の保護者が学校に満足している」という調査結果があることを鑑みれば、学校側が必要以上に慎重になることはないでしょう。

出典:ベネッセ教育研究所・朝日新聞社共同調査「学校教育に対する保護者の意識調査 2018

これは子を持つ一保護者としての意見となりますが、むしろ、学校をより良くしていくために、前向きに働き方改革に取り組む姿勢が評価される可能性は高いものと感じられます。変化を恐れず、そして焦らずに、一つひとつ着実に進めてまいりましょう。

学校の働き方改革の第一歩は「適正な勤怠管理」。クラウド勤怠管理システム・IEYASUなら、国のガイドラインに対応しながら、御校における勤怠の課題抽出も可能です!

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事