2021年度から変わるキャリアップ助成金!2021年4月以降の変更点を総チェック

数ある雇用関係助成金の中でも、とりわけ企業において活用が進むキャリアアップ助成金が、2021年4月より大幅に変わります。2021年度中に活用を予定している事業場においては、以下の4つのポイントをおさえ、正しく検討・申請できるように準備を進めましょう。

✓ 正社員化コースの支給要件変更、紹介予定派遣労働者の対象拡充
✓ 障がい者正社員化コースの新設
✓ 諸手当制度等共通化コースの支給要件変更(健康診断制度コースの統合)
✓ 以下2コースの時限措置延長
 ・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
 ・短時間労働者労働時間延長コース

正社員化コースの変更点

正社員化コース:有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換、または直接雇用した場合の助成

支給要件の変更内容

○ 現行要件
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6ヵ月と転換等後の6ヵ月の賃金を比較して、以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること
ア 基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額
イ 基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)
↓   ↓   ↓
○ 2021年度以降の要件
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6ヵ月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること
※基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額(賞与は含めない)

紹介予定派遣労働者の対象拡充

○ 現行要件
①派遣労働者で、派遣先の事業所に直接雇用された場合、直接雇用前に当該事業所に従事していた期間が6ヵ月以上ある者
②紹介予定派遣の場合は、派遣先が実施した有期実習型訓練(正社員に転換することを目的に、OFF-JTとOJTを組み合わせて実施する職業訓練)を受講し、修了した場合に限り、上記期間が2ヵ月以上の者
↓   ↓   ↓
○ 2021年度以降の要件
②の要件について、以下の場合は、有期実習型訓練を受講した者ではなくても、直接雇用前に当該事業所に従事していた期間が2ヵ月以上~6ヵ月未満でも対象とする
✓ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、2021年1月24日以降にやむを得ず離職した者であって、就労経験のない職業に就くことを希望する者が、2021年2月5日から2022年3月31日までの間に、紹介予定派遣を経て派遣先の事業所に正社員として直接雇用された場合
※ ただし、当該紹介予定派遣期間中に派遣元事業主による OFF-JT(派遣労働者のキャリアアップに資するものであり、有給、無償で実施されるもので8時間以上)の受講が必要

障がい者正社員化コースの新設

障がい者正社員化コース:障がいのある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換した事業主に対しての助成。障がい者雇用安定助成金の令和2年度末での廃止に伴い、障がい者雇用安定助成金(障がい者職場定着支援コース)の「正規・無期転換」措置が移行されます。

障がい者正社員化コースの概要

障がい者の雇用促進と職場定着を目的に、次の①または②のいずれかの措置を講じた場合に助成します。
①有期雇用労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換すること
②無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すること

支給額は以下の通りです。

諸手当制度等共通化コースの変更点

諸手当制度等共通化コース:有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設けて適用した場合、または有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合の助成

対象となる手当の変更内容

○ 現行の対象手当
①賞与
②役職手当
③特殊作業手当・特殊勤務手当
④精皆勤手当
⑤食事手当
⑥単身赴任手当
⑦地域手当
⑧家族手当
⑨住宅手当
⑩時間外労働手当
⑪深夜・休日労働手当
↓   ↓   ↓
○ 2021年度以降の対象手当
①賞与(6ヵ月分相当として5万円以上支給)
②家族手当(1ヵ月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給)
③住宅手当(1ヵ月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給)
④退職金(月3,000円以上積み立て)
⑤健康診断制度(定期健康診断等の受診日の前日から起算して3ヵ月以上前の日から受診後6ヵ月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等であること)

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの変更点

選択的適用拡大導入時処遇改善コース:労使合意に基づく社会保険適用拡大の措置の導入に伴い、その雇用する有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取り組みを実施し、当該措置により新たに被保険者とした場合の助成

時限措置の延長

2020年度限りとしていた措置を、2022年9月末まで延長
ただし、従業員が101人以上500人以下事業主は、以下①③の措置について2021年9月末まで、②の措置について2022年9月末まで)

短時間労働者労働時間延長コースの変更点

短時間労働者労働時間延長コース:有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合の助成

時限措置の延長

2020年度限りとしていた措置を、2022年9月末まで延長
・短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合
 1人当たり 22万5000円(上乗せ前の額:19万円)
・労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1~4時間延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険に適用させた場合
 1人当たり 4万5000円~ 18万円
・1年度1事業所当たり支給申請上限人数は45人まで(従前は15人まで)

以上、2021年度以降のキャリアアップ助成金は各コースに変更予定がありますのでご注意ください。リーフレットや要項は、すべて以下よりご確認いただけます。ご不明な点がございましたら、雇用関係助成金の専門家である社会保険労務士までお気軽にお問い合わせください。

参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金

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