本当に合ってますか?その残業代(割増賃金)_正しく計算するための5か条(月給編)

ニュースを見ていると「割増賃金の未払い」という話題をよく耳にします。割増賃金を全く払っていないことかな?と受取りがちですが、実際は割増賃金を計算する際の工程の認識不足で未払いが発生していることも多々見受けられます。

今回は、この数式の中の一つ一つの項目について、何に注意をしなくてはならないのかを月給制を例に紹介していきたいと思います。

割増賃金の計算式_残業代単価を算出しよう

まず、割増賃金の計算式は、通常下記の通りで、1時間当たりの残業代単価を計算してから、時間外労働時間数と割増率をそれぞれ掛けて算出していきます。

①月給額 ÷ ②月所定労働時間数 × ③時間外労働時間 ×(④割増率+1) = ⑤割増賃金

ここまでは理解されていらっしゃると思いますが、番号をつけた①~⑤の各項目について正しい解釈をしていなと、未払いの原因となってしまいますので、一緒に確認をしていきましょう。

① 月給額

月給額とは、割増賃金の算定の基礎となる賃金のとこで、【原則】通常の労働時間又は労働日の賃金 基本給や諸手当を含みます。

ただし、以下の1~7の手当は、割増賃金の基礎となる賃金から除外することができると定められていますが、この手当は、限定的に列挙されているもので、これらに該当しない賃金はすべて参入しなければなりません。

・労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されるため除外されるもの

1 家族手当(家族数に関係なく一律に支払われている場合を除く)

2 通勤手当(一定額が最低額として距離に関わらず支給されている場合を除く)

3 別居手当

4 子女教育手当

5 住宅手当(住宅に要する費用に関わらず一定に定額で支給される場合は除く)

カッコ書きで記載された条件が当てはまる場合は、個人的事情とみなされず割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければなりません。

・臨時的なもの

6 臨時に支払われた賃金(例:祝金や見舞金)

7 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:賞与)

・労働基準法施行規則8条に記載されている次の3種類

(1)1ヶ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当

(2)1ヶ月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当

(3)1ヶ月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給又は能率手当

名称にとらわれず、労働と直接関係が薄いものなのか、又は臨時的なものなのかで判断していきましょう。

② 月平均所定労働時間の計算方法

月の所定労働時間と言われても月によって30日の日もあれば、31日の日もあります。暦に合わせて毎月の日数をもとに所定労働時間を計算しても違法ではありませんが、煩雑となってしまいますね。

一般的には、下記の計算方法を用いて、月平均所定労働時間としているのではないでしょうか。

また、年間の所定休日は、祝祭日が土曜日に重なる曜日配列や、年末年始や夏季休暇の日数などにより、毎年変わります。

(365日-年間所定休日数)× 一日の所定労働時間 = 年間所定労働時間

年間所定労働時間 ÷ 12ヶ月          = 月平均所定労働時間

③ 時間外労働時間(集計方法)

きちんと割増賃金を払っているのに、会社の認識不足で、割増賃金の未払い事件として労働紛争となってしまう例で見受けられるのは、時間の端数処理なのではないでしょうか。その場合、日々の残業時間を15分や30分単位で切り捨てをしてから、月の時間外労働の合計をだしているケースなどです。

時間外労働の端数処理は原則として、日々1分単位での集計を行い、1ヶ月における「時間外労働」「休日労働」「深夜業」の各々の時間の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を切り上げることは認められています。

日々、30分単位切上げや切り捨てをして1ヶ月の時間外労働時間の合計をだす方法は、違法となりますので、勤怠の管理を見直しましょう。

④ 割増率

これまでの①~③の計算で出した時間数に、下記時間外労働毎の割増率をそれぞれ掛けて割増賃金を計算いたします。

休日に時間外労働をさせても別途時間外手当を支払う必要はありませんが、休日の深夜に労働をさせる場合は、別途深夜手当を支払わなくてはなりません。

割増率 60時間超/月
時間外労働させた場合の割増率
時間外労働 1.25 0.5
休日労働 1.35
深夜業 0.25
休日労働+時間外労働 1.35
時間外労働+深夜業 1.50(1.25+0.25) 1.75以上(1.50+0.25)
休日労働+深夜業 1.60(1.35+0.25)

⑤ 端数処理

割増賃金の計算ができあがった以降、就業規則に定めた上で下記の端数処理をすることは認められています。

1 1時間当たりの割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。

2 1ヶ月における「時間外労働」「休日労働」「深夜業」の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。

今回は月給制を例にいたしましたが、時給制、日給制、週給制、出来高払制、年俸制では残業代の単価の算出方法が違うだけで、割増率や端数処理は同様となります。

ここで、割増賃金を毎月定額で支払う固定残業代に触れておきましょう。

法律で認められている固定残業代は下記のことを満たしていることが条件となります。

1 固定の割増賃金に当たる部分が明確に区分されていること。

2 その手当が時間外労働に対する対価としての実質を有すること。

3 実際の時間外労働に対する割増賃金額がその手当の額の範囲を超えた場合は、その不足額を支払わなければならず、過不足を翌月に繰り越して相殺することはできません。

 

正しく残業代(割増賃金)を払うための勤怠管理

このようにポイントを理解し、計算を行うことによって正しく賃金を払うことができます。
そのためにも、数字のベースとなる日々の打刻や勤怠管理はとても重要になります。

昨今の勤怠や有給休暇など複雑化する中で、紙やタイムカードでの勤怠管理は限界を感じざるを得ません。

【参考記事】勤怠管理は「義務」になる。まだタイムカードや手書きで消耗してるの?

好き嫌いの問題ではなく、システム化しなければならない段階にきているのではないかと思います。変わらなければ生き残れない。一つの選択肢として無料のクラウド勤怠管理システムIEYASUなどをご検討してみてはいかがでしょうか?

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事