休業要請で時短営業!休業手当支払いルール&一部休業時の雇用調整助成金活用について解説

新型コロナウイルスが感染拡大の一途をたどり、目下、自治体ごとに休業要請の発令が進んでいます。事業主の皆さんであれば、「休業要請」と聞いて真っ先に考えるのは「休業手当の支払い」ではないでしょうか。今号では、休業要請に従って一日の労働時間の一部を休業させた場合の休業手当の算出方法と、積極的に活用したい雇用調整助成金について解説することにしましょう。

一日の労働時間の一部を休業の場合、休業手当の支払いは必要?

例えば、休業要請に従って時短営業する飲食店で、1日6時間勤務のアルバイトを4時間勤務にしたとしましょう。働く側にとってみれば、通常であれば6時間分の時間給を受け取れていたところ、2時間分も削減されてしまうわけです。カットされた部分を手当で補填してほしいと考えるのは、当然のことですね。使用者としても、アルバイトの立場に立って考えるなら、特別な手当で補ってあげられるのが理想的です。

法律では、就労時間分の賃金で平均賃金の60%を支払えれば、一部休業部分の休業手当は不要としている

それでは、一日の労働時間の一部休業に対する休業手当について、法律上はどうなっているのでしょうか?
行政解釈によると、下記の通りとされています。

1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、その日について平均賃金の100分の60に相当する金額を支払わなければならないから、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければならない”(昭27・8・7基収第3445号)

つまり、労働基準法上、その日一日を休業とした場合でも、受け取ることのできる休業手当は「平均賃金の60%」であることから、一日の労働時間のうち一部をカットした場合でも就労時間分の賃金で「平均賃金の60%」をカバーできるなら休業手当の支払いは不要としています。

冒頭に挙げた「1日6時間勤務のところを4時間勤務に変更されたアルバイト」の場合で、この方の時給1,200円とすると、

1,200円×4時間=4,800円(4時間労働分の賃金)>1,200円×6時間×60%=4,320円(休業手当額の目安)

となることから、使用者に、法律上の休業手当の支払い義務はないことになります。

就労時間分の賃金が平均賃金の60%に満たない場合、実労働分の賃金との差額を支給

一方で、前述の例で1日6時間勤務のところを3時間勤務に変更するとしたら、「720円」の休業手当の支払いが必要となります。

1,200円×6時間×60%=4,320円(休業手当額の目安)>1,200円×3時間=3,600円(3時間労働分の賃金)
4,320円-3,600円=720円

一部休業にも活用可能な、雇用調整助成金

コロナ禍における従業員への休業手当支払いに際し、政府は雇用調整助成金の活用を促進しています。事業主の皆さんからお話を伺っていると、雇用調整助成金は時間単位の休業にも活用できる制度であることを、意外とご存じない方は多いようです。

雇用調整助成金の休業実績では、「従業員が休んだ時間」を事業所ごとに合計した数を所定労働時間で割り、「休業延べ日数」を導きだします。そしてこの「休業延べ日数」を元に、助成金額が算出される流れとなるのです。

出典:厚生労働省「雇用調整助成金支給申請マニュアル~休業編~

助成金というと、一般的には複雑な申請ルールや膨大な添付書類の準備がつきものと考えられていますが、コロナ禍の雇用調整助成金支給申請については、特に従業員数20名以下規模の会社に対し、大幅に手続きの簡素化が進んでいます。休業や時短営業を余儀なくされる現場においては、ぜひ前向きに活用を検討されてみてください。

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