「人生の墓場に入った」厚労省改革若手チームの緊急提言にも注目|11月は「過重労働解消キャンペーン」月間

毎年11月は「過重労働解消キャンペーン」の実施月間とされており、2019年度も厚生労働省が主体となって、過重労働の直接的な原因となる長時間労働の削減に向けた啓発活動が行われる予定です。ところで厚生労働省といえば、2019年8月、若手チームが省内の働き方改革に関する緊急提言を発表したことで話題になりましたね。
今号では、厚生労働省による「過重労働解消キャンペーン」と厚生労働省自体の働き方改革の方向性について、ご紹介しましょう。

「過重労働解消キャンペーン」 2019年度の実施項目

今年も、「過重労働解消キャンペーン」月間がやってまいります。本キャンペーンは過労死等防止対策推進法に定める「過労死等防止啓発月間」と併せて実施され、「過労死ゼロ」社会の実現、そのために不可欠となる過重労働の解消が目指されます。

2019年度のキャンペーン期間中、厚生労働省で行われる取り組みはパンフレットよりご確認いただけます。

出典:厚生労働省「過重労働解消キャンペーンパンフレット

重点監督の対象や確認事項とは?

過重労働解消キャンペーンの各実施項目について、企業側であれば、どうしても気になるのが「重点監督」でしょう。ここでは、どの企業が対象となるのか、何を確認されるのか、厚生労働省が公表している範囲の情報をまとめておきます。

[監督対象]
・ 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等
・ 労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等

[重点確認事項]
✓ 時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内であるか
✓ 賃金不払残業が行われていないか
✓ 不適切な労働時間管理が行われていないか
✓ 長時間労働者に対し、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられているか

2020年度よりいよいよ中小企業も時間外労働の上限規制の適用を受けることを踏まえれば、たとえ重点監督の対象とならなくとも、上記の事項については今一度、御社の状況を把握されておくことをお勧めします。

ご存知ですか?若手が主導する厚生労働省の働き方改革

ところで、今夏、働き方改革の旗手であるはずの厚生労働省自体の業務改善についても、注目すべき提言があったことをご存じでしょうか?

参考:厚生労働省「厚生労働省の業務・組織改革のための緊急提言

問題提起したのは、厚生労働省内の20代、30代を中心とした若手チーム。2019年8月に緊急提言として公開された資料は、「厚生労働省に入省して、生きながら人生の墓場に入ったとずっと思っている。」という、職員の衝撃的な一声から始まります。

資料には、職員アンケートに加え、省内外のヒアリングを経て見出された、厚生労働省の働き方の問題点と改革に向けて必要な取り組みの提案が具体的にまとめられています。

提言の内容は、一般企業においても課題となりやすい点が中心となっており、御社の働き方改革推進にもお役立て頂けるものばかりです。「国と民間では状況が違うだろう」と決めつけず、まずはご一読いただければと思います。例えば、業務連絡の簡略化については、「チャットシステムの積極的活用」が提案されています。

業務改善のヒントは、現場をよく知る若手が握る

ここでご紹介した厚労省若手チームによる緊急提言について、特筆すべきは、厚生労働省で実際に働く人、とりわけ次世代を担う若手職員が中心となって行っているという点です。

働き方の問題を日々感じながら仕事に従事しているのは、間違いなく現場の労働者です。また、組織の色に染まり切らない若手だからこそ、職場を比較的客観的に分析し、問題に対する解決策を柔軟な頭で考えることもできるのだろうと思います。職場の働き方改革は、現場をよく知る人を中心に取り組まなければ意味がありません。現状、働き方改革に向けた取り組みに頭を悩ませる事業主様は、日々現場で奮闘する若手の声に耳を傾けてみると良いでしょう。事業主様とは異なる視点や考えで、新たな気づきをもたらしてくれるはずです。

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