社労士が解説!セクハラ・パワハラのよくある注意したい事例

セクハラ・パワハラ等に代表されるハラスメント。ハラスメント規制法が施行(中小企業は2022年4月1日から)されましたが、実際企業においてどんな言動がハラスメントとしてトラブルになっているのかご存じですか?ハラスメント防止対策においては、身近な例を社員に周知し、注意喚起を促すことが重要です。そこで、筆者が企業から相談を受けてアドバイスをしたよくある事例をご紹介します。

セクハラのよくあるケース

セクハラのポイントは、「加害者の意図とは関係なく、被害者がその言動を不快だと思えばセクハラになる」ということです。初めから意図して「食事に誘う」とか「身体に触れる」、「性的なことを言う」等は、言うに及びません。しかし、以下でご紹介するようなケースはセクハラをしようと意図したわけではありません。

ケース1:休憩中に読んでいた週刊誌に過激なグラビアが掲載されていた

一般的に普通の週刊誌を休憩中に読むことは悪いことではありませんが、最近の週刊誌は、過激なグラビアが掲載されていることが多く問題となっているのです。ある職場では、ちょうどグラビアを見ていた営業所長のそばを女性社員が通って「セクハラだ」と訴えられました。「会社の中でそのような本を読んでいる人と一緒に仕事をすることはできない」と言われ、読んでいた所長は即移動となりました。ちょっと過敏な反応かもしれませんが、女性社員にとっては、とても不快なことだったのでしょう。

ケース2:激励のために肩に軽く触れた

また、上司から「いつも頑張ってるね、ありがとう」と肩を軽くもまれて、不快となり訴えたというケースは数多くあります。特に若い女性社員にとっては、年齢が高い上司に触れられることは、不快以外の何ものでもないかもしれません。その年の新入社員が全員辞めてしまったという会社もありました。

「セクハラだ」と問題を大きくしないためのポイント

意図しない言動に「セクハラだ」と言われたり、相手が不快な表情をした場合は、すぐに「そんなつもりはない。ごめんなさい」と謝ることが問題を大きくしないポイントです。

パワハラとならないケース

最近は、パワハラという言葉だけでなく、どんな言動がパワハラに当たるのか研修や周知が進み、「パワハラだ」と声をあげる人が多くなりました。しかし、まだまだ一昔前の自分が経験した厳しい指導をそのまま同じように部下に行っている上司も多いものです。指導がきつい、言葉遣いがきつい等最近はかなり改善されてはいます。

ケース1:義務を果たしていない社員に対して、結果的に指導がきつくなってしまう

ただ反対にパワハラが社会に浸透した結果、ちょっときつい指導をすると「パワハラだ」と訴える部下が出てきて、会社は対応に四苦八苦です。上司の言うことを無視する、遅刻を繰り返す等、何度注意しても勤務態度が変わらない部下はどこの会社にもいるものです。そんな時、上司はついきつい指導になってしまうと思いますが、部下が「パワハラだ」と言っても心配しないでください。上司は指導して部下を育てる義務があり、部下は上司の指導(その指導が正当なもの)に従う義務があります。その義務を果たしていない部下に対して、指導がきつくなるのは当然の結果です。この場合は、パワハラに当たりません。

ケース2:本人にとって不快でも、一般的には不快にならない言葉

また、上司の言葉に対して、部下がすぐに「その言葉はパワハラだ」というケースがあります。しかし、このケースは、ほとんどの場合パワハラには該当しません。なぜなら、上司の言葉で自分が非常に傷ついたから即パワハラになるのではなく、「一般的にその言葉を多くの人がどう受け止めたか」がパワハラになるかならないかの基準だからです。本人にとっては、不快な言葉でも一般的にはその言葉は不快にならないのであれば、それはパワハラではありません。

ケース3:作ったものに対して「センスがない」と言う

あるもの作りの会社で、若い手の社員が作ったものを先輩が「センスがない」と言って、パワハラのトラブルになったことがあります。この「センスがない」という言葉は、パワハラになるかならないかグレーゾーンでしょう。会社としても判断を下すことを迷うかと思います。このような場合は、社員全員に問いかけてどう感じるのか聞いてみるのも一つの方法です。実際にこのケースの場合は、多くの社員が「自分のセンスは、先輩とは違うんだ」と思っただけでした。つまり、パワハラになる言葉ではないということです。ただし、本人にとっては不快な言葉ですので、その言葉を使うのはやめるべきでしょう。

セクハラやパワハラについて、今一度注意喚起を

セクハラ・パワハラについて、その基準は異なりますので、注意することは肝要です。セクハラは、意図がなくてもセクハラになるケースが多く、加害者が移動させられたり、降格等大きな影響を受けます。

また、パワハラについては「きつい指導=パワハラだ」と思い違いをして、厳しい指導を控えている上司や先輩も見受けられます。どんな言動がパワハラになるのかだけを知ってもうまく指導ができません。どんな言動がパワハラになるないのかを知ることで部下に対する指導を厳しくしてその成長を促すことができるのです。

今一度、セクハラやパワハラについて注意喚起をすることは、ハラスメント防止において、非常に大切なことだと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

グッドライフ設計塾 代表  菅田 芳恵

大学卒業後、証券会社、銀行、生保、コンサルティング会社に勤務後2005年に独立開業。独立開業にあたり、2年間で社労士やFP等7つの資格を取得。現在、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士・CFP)、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、ハラスメント防止コンサルタント、医療労務コンサルタント等、13の資格を活かして、様々な仕事をしている。人事労務コンサル、労働トラブルアドバイス、キャリアカウンセリング、メンタルヘルス相談、研修講師等、多くの実績がある。