過重労働対策を考える上で、依然として課題となる「労働時間把握方法」~2020年11月「過重労働解消キャンペーン」重点監督実施結果より~

厚生労働省では、毎年11月を過労死等防止啓発月間に定め、「過重労働解消キャンペーン」として、労働基準関係法令の違反が疑われる事業所に対する重点監督を実施しています。今月上旬に公開された、2020年11月実施の重点監督結果では、全体の71.9%の事業場で労働基準関係法令違反が認められたことが報告されています(2019年度は75.3%)。さっそく詳細を確認しましょう。

労働時間関連の法令違反は減少傾向も、今後の状況を注視すべし

2020年度の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」が疑われる事業場を中心に、法令違反が疑われる事業場を対象として行われたものです。

時間外労働関連の違反は調査委対象全体の30%ほどで判明していますが、2019年度結果では約40%であったことに鑑みれば、違反率が大幅に減少していることが分かります。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響で労働時間がカットされた可能性は否めませんので、安易に「労働時間の長時間化が改善している」と考えることはできません。今後、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着いた段階で、どのような状況になっているかが重要となります。違法な時間外労働が減少したことに伴い、「賃金不払残業」については前年7.3%から5.2%へと約2%減っています。

依然として未実施が目立つ「過重労働による健康障害防止措置」とは?

一方で、2019年度から大きく状況が変わらない項目として「過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの(前年20.6%、今年20.1%)」があります。御社では、正しく実施しているでしょうか?

事業場が講じるべき「過重労働による健康障害防止措置」には、以下の取り組みがあります。

✓ 時間外・休日労働時間の削減
・適正な36協定の締結と遵守
・年次有給休暇の取得
・勤務間インターバル制度等、労働時間設定改善のための取り組み

✓ 健康管理体制の整備・健康診断の実施
・産業医、衛生管理者、衛生推進者等の選任
・衛生委員会等の設置
・健康相談の体制整備
・健康診断の確実な実施
・健康診断結果に基づく適切な事後措置の実施

その他、月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積が認められる長時間労働者に対しては、本人からの申し出により、面接指導等を実施しなければなりません。

例年の重点監督結果において、「過重労働による健康障害防止措置」の手薄な状況が浮き彫りになっています。御社においても、折を見て、事業場の労働安全衛生管理体制を見直されてみることをお勧めします

長時間労働改善の第一歩は「適切な労働時間把握」から

過重労働と長時間労働はほぼ同義ですが、労働の長時間化を改善するために必要なのは「労働時間を適切に把握すること」です。しかしながら、「主な健康障害防止に関する指導の状況」にある「労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの」の割合は、例年変わらず16~17%ほどで推移しています。働き方改革の一環として、2019年4月より「労働時間の適正把握」が義務化されていますので、現状対応できていない現場においては早急に取り組む必要があります。

労働時間の把握が不適正な事業場に対しては、厚生労働省で定める「労働時間適正把握ガイドライン」に適合するよう指導されています。他社が受けた指導内容は以下の通りです。


上記より、基本的な「始業・終業時刻の確認・記録」ができていない事業場は、意外と多いことが分かります。また、自己申告制によって労働時間把握を行っている場合には、「実態と記録を照らし合わせる」ことが重要です。自己申告による出退勤時刻は、入退場記録やパソコンの使用時間の記録等のデータと照らし合わること、乖離がある場合には申告された労働時間の補正を行うこと等が指導されています。

参考:
厚生労働省「令和2年度11月「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。