知識集約型産業とは経済用語であり、産業のあり方の1つを指す言葉です。知識集約型産業と同様に産業のあり方を指す言葉として、労働集約型産業や資本集約型産業などがあります。知識集約型産業について詳しく知ることは、売上高と人件費との関係、事業活動と労働力との関係など多様化する経済の現状を理解することにつながります。
本稿では、知識集約型産業の特徴やメリット、具体的な産業例をあげて知識集約型産業をご紹介いたします。
目次
知識集約型産業とは?〜労働集約型産業と資本集約型産業との違い〜
まず労働集約型産業と資本集約型産業の特徴を整理
産業のあり方について、先ず労働集約型産業と資本集約型産業に分ける場合が多くあります。労働集約型産業とは、事業活動の大部分を人間の労働力に頼る割合が多い産業のことです。そのため売上高に対する人件費の割合が大きい産業になります。機械化が進む以前の農業や製造業、介護産業なども労働集約型産業といえます。そして資本集約型産業とは、資本つまり生産設備が事業の中心になる産業を指します。大規模なインフラ整備が必要である電気産業やガス産業、機械化が進んだ製造業などが当てはまります。
知識集約型産業とは
知識集約型産業とは、頭脳労働や知識労働が事業の中心となる産業を指す言葉です。人間の知的労働力に頼る割合が大きい産業であるという理由から、知識集約型産業を労働集約型産業の形態の1つと考えることもできます。ハイテク産業や情報通信産業などが挙げられますが、医薬品製造業やインターネット関連サービス業、ファッション関連産業も知識集約型産業になります。そしてコンサルティング業や弁護士なども、専門知識を必要とする知識集約型産業といえるでしょう。
①研究開発集約産業
(コンピューター,航空機,原子力,海洋開発等)
②高度組立て産業
(公害防止機器,教育機器,数値制御工作機械,工場生産住宅等)
③ファッション産業
(高級衣類,住宅調度品,電気音楽機器等)
④知識産業
(情報処理サービス,コンサルティング,ソフトウェア開発等)
知識集約型産業の特長を知ろう!
知識集約型産業の特長として、専門知識を持つ少人数の従業員に頼る割合が高いことが挙げられます。また従業員の報酬が比較的高額であること、従業員数が少なくても売上高が高いことも、特長に挙げられます。そして既得権益や特許などを保有し、それを売上につなげる割合が高いことも特長といえるでしょう。さらに事業を展開する際に限られたインフラ整備で行えるので、市場の変化に対応でき、新事業の素早い立ち上げや柔軟な戦略変更が可能となっています。
知識集約型産業の特性として、専門知識を有する優秀な人材が必要不可欠である点が挙げられます。優秀な人材を確保することや、他競合企業に流出しないようにすることが重要になります。人材が定着するために、福利厚生の充実や従業員視点の企業体制などが求められることになります。
現代経済における、知識集約型産業と他の産業との関係とは?
現代経済では、1つの産業を簡単に労働集約型産業や知識集約型産業などに分類できない傾向にあります。1つの産業の中には、労働集約型産業の側面、資本集約型産業の側面、そして知識集約型産業の側面など複数の側面が混同しているからです。経済紙などで、それぞれの集約型産業に言及されている場合には、その点に留意して読むことが必要でしょう。