2022年10月新設「出生時育児休業(産後パパ育休)」!従業員の就業ルールを総まとめ

以前の記事で解説した通り、2022年には人事労務関連の重要改正が複数予定されています。特筆すべきは、2022年10月に新たに創設される「出生時育児休業(産後パパ育休)」ですが、本制度では原則禁止とされていた育休中の就業が認められている点に特徴があります。このたび、出生時育児休業(産後パパ育休)の具体的な就業ルールが公開されましたので、実務上おさえるべきポイントをまとめておきましょう。

「出生時育児休業(産後パパ育休)」の就業日数には上限があります

「出生時育児休業(産後パパ育休)」とは、男性労働者が子どもの出生後8週間以内に4週間までの休業を取得できる制度です。制度新設の背景には、既存の育休制度を活用した男性労働者の休業取得時期が「出産後8週以内」に特に多いこと(全体の46.4%)を示すデータを根拠に、必要な時期により柔軟な育休制度を設けることで育休取得率のさらなる向上を目指す目的があるようです。

「出生時育児休業(産後パパ育休)」が、既存の育休と異なる点

「出生時育児休業(産後パパ育休)」が既存の育休制度と比較して“柔軟である”とされる所以は、以下の3つのポイントにあります

① 原則として休業2週間前までの申し出で休暇取得が可能
⇔ 既存の育休制度では原則1ヵ月前までの申し出
② 4週間のうちに2分割取得が可能
⇔ 既存の育休制度では、原則分割取得できない
※ただし、2022年10月以降は現行の育児休業も2分割取得が可能となる
③ 労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主で事前に調整して合意した範囲内で就業可能
⇔ 既存の育休制度では原則就労不可

 

ただし、出生時育児休業(産後パパ育休)では、労使の合意さえあれば無制限に就労できるかといえば、そうではありません。また、育児休業給付や社会保険料免除を受ける際には、就業上限とは別に留意すべき基準もあります

休業中の就業日数等の上限について

まず、出生時育児休業(産後パパ育休)中の就業上限について理解しておきましょう。

✓ 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
✓ 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

具体例で考えてみましょう。

・ 所定労働時間1日8時間、1週間の所定労働日5日
休業期間2週間(休業期間中の所定労働日10日/休業期間中の所定労働時間80時間)の場合
⇒就業日数上限は「5日」(休業期間中の所定労働日の半分)、就業時間上限「40時間」(所定労働時間の半分)
休業開始・終了予定日の就業は8時間未満(所定労働時間数未満)

前述の就業上限とは別に、育児休業給付支給や社会保険料免除の要件に留意する必要があります

ただし、実際には出生時育児休業(産後パパ育休)の就業上限の他、育児休業給付支給や社会保険料免除に係る要件についても、労使双方で理解しておかなければなりません。

◎ 出生時育児休業給付金の支給要件
・出生時育児休業を28日間(最大取得日数)取得する場合、「10日(10日を超える場合は80時間)」
これより短い場合は、それに比例した日数または時間数
※ただし、出生時育児休業期間中に就業して得た賃金額と出生時育児休業給付金の合計が、「休業前賃金日額×休業日数」の80%を超える場合は、当該超える額を出生時育児休業給付金から減額
◎ 育児休業期間中の社会保険料の免除要件
・その月の末日が育児休業期間中である場合
・同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合
※「14日以上」の日数には、産後パパ育休の休業中の就業日数は含まれない
※賞与に係る保険料については連続して1か月を超える育児休業を取得した場合に限り免除する

 

参考:厚生労働省「育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等~

 

新設が予定される出生時育児休業は、現場に落とし込むことができれば便利な制度であることは言うまでもありませんが、制度を正しく理解したり、必要な準備を進めたりといった点で何かと頭を悩ませることになるかもしれません。必要に応じて社会保険労務士をご活用いただきながら、適正な制度設計を目指してまいりましょう!
⇒労務相談はコチラから

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