進んでいますか?働き方改革|中小企業で依然低調な法改正対応【2020年労働基準法改正】

すでに2019年4月より働き方改革関連法が施行され、現状、中小企業は猶予措置の対象となっていた各施策についても、2020年4月からは段階的に適用となっていきます。
御社での働き方改革の進捗は、いかがでしょうか?今号では、中小企業における働き方改革対応状況に関わる一つのデータをご紹介します。

進まぬ働き方改革。施行済みの「有休取得義務化」の対応状況も7割に届かず

東京商工会議所では、昨年9~10月に実施した「中小企業の経営課題に関するアンケート」の中で、「働き方改革への対応状況」に関わるデータを公開しています。
働き方改革の各施策の中でも特に注目度の高い、「年次有給休暇の取得義務化」「時間外労働の上限規制」「同一労働同一賃金」への進捗が明らかにされています。

年次有給休暇の取得義務化

 
2019年4月1日施行。年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、使用者は付与日から1年以内に5日取得させなければなりません。

企業規模を問わず全ての事業主に対して義務化された有休取得義務について、取り組み済み、もしくは取り組んでいる最中である企業割合は全体の7割に届きません。特に小規模企業(常時使用する従業員の数が 20 人以下、商業又はサービス業は 5 人以下)では、さらに深刻な状況が明らかになっています。

時間外労働の上限規制

中小企業では2020年4月1日施行(適用猶予・除外となる事業や業務あり)。
時間外労働の上限を原則として「月45時間、年360時間」とし、
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも「年720時間以内」「複数月平均80時間以内(休日労働を含む)」「単月100時間未満(休日労働を含む)」「年間6ヵ月まで」等の要件を満たさなければなりません。

中小企業においては特に課題となりがちな「時間外労働の上限規制」については、有休取得義務よりもさらに厳しい取り組み状況であることが明らかになっています。もっとも、労働時間の削減は一朝一夕で行えるものではなく、働き方改革関連のあらゆる施策を講じた結果に伴うという見方もあるため、中長期的な計画に基づいた取り組みが必要であると考えることができます。

同一労働同一賃金

中小企業では、派遣労働者について2020年4月1日施行、パート・契約社員について2021年4月1日施行。派遣・パート・契約社員等の労働者に対し、単に雇用形態の別のみで、正社員と比較し不合理な格差を設けることはできません。

一部、施行まで未だ期間があるためか、小規模企業における取り組みは4割程度と低調。しかしながら、派遣労働者に対する同一労働同一賃金は2020年4月1日からの対応が必須となっていることから、派遣元・派遣先においては早急な対応が求められます

出典:東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート結果 報告書全文

どうする?働き方改革 何から取り組めば良いか分からないときは・・・

今号でご紹介した東京商工会議所のデータから、働き方改革について、未だ進まぬ中小企業の現状を見てとることができます。もっとも、この調査自体、都内中小企業・小規模企業8,525社のうち回答があった1,507社(回答率17.7%)の状況をまとめたに過ぎないことも考慮する必要がありますが、私自身が社労士として仕事をする中で、働き方改革への対応に悩む現場の声を耳にすることは未だ珍しくありません。

働き方改革を進めるにあたり、何から始めれば良いか分からない現場では、下記の手順で少しずつでも取り組みを進めていきましょう

  • まずは働き方改革関連法に掲げられる施策を知る
    どんな取り組みに、いつまでに対応しなければならないのかを確認することで、これまで漠然としていた働き方改革がぐんと具体的なものとして捉えられるようになります。

【参考記事】
打刻ファースト「【労働基準法改正(確定)】これだけ読めばOK「働き方改革」完全まとめ_2019年4月に向けて準備すべきこと

  • 同時に、社内の労務管理体制を把握する
    勤怠管理、就業規則・労使協定、実際の労務管理について現状を把握し、是正すべき課題を抽出します。実態に関わる調査は、従業員へのヒアリング等を通じて生の声を収集する、勤怠データから現状を読み取る等、客観的な把握が不可欠です。
  • 具体的な取り組みを検討する
    現状の労務課題について、働き方改革関連法上の優先順位を考慮しながら、是正に向けた取り組みのスケジュールや内容(いつまでに、何をするか)を考えていきます。

一連の手順について、「自社のみでの対応が難しい」という場合、社労士の活用がお勧めです。情報提供から労務管理体制の確認、必要な取り組みの提案から段取り、実施に至るまで、一貫したサポートを受けることができます。限られた時間の中で、働き方改革をスムーズに進めてまいりましょう。

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