クラウド勤怠管理ソフトの比較ポイント6選【社労士目線で解説】

現在、世の中には数多くのクラウド勤怠管理ソフトが出回っています。
「打刻をして、勤怠を記録する」という基本的な仕組みはどのソフトも同じなので、どれを選べば良いのか迷っている企業も少なくないでしょう。

そこで、本稿ではクラウド勤怠管理ソフトを比較するポイントを6つ紹介します。

簡単に打刻できる勤怠システムかどうか

簡単に打刻ができるか、どのような方法で打刻できるのかは、重要な判断基準の1つです。
ソフトによって様々な方法で打刻できるものもあれば、限られた方法でしか打刻できないものもあります。

代表的な打刻方法としては、「ICカード」「指紋認証」「スマホアプリ」「デスクトップアプリ」「パソコンの電源のオン・オフに連動」などがあります。

直行直帰や出張が多い企業であれば「スマホアプリ」による打刻が望ましいですし、パソコンを常時使用する事務職が中心の企業であれば「パソコンの電源のオン・オフに連動」が最も的確に労働時間を管理できるでしょう。

このように、企業に合った勤怠の打刻方法は様々ですから、自社に合った打刻方法に対応しているソフトを選ぶようにしましょう。

労働時間制度への対応状況が適切かどうか

せっかくクラウド勤怠管理ソフトで打刻をしても、打刻した結果の勤怠の集計を自動化することができなければ、業務の効率化はおぼつきません。

1日8時間を超えた部分、1週40時間を超えた部分を残業時間として集計するという、原則的な勤怠集計には全てのソフトが対応しています。

しかし、1か月単位や1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制、管理監督者など、労働基準法には様々な労働時間制度が定められており、ソフトによって対応できている労働時間制度に違いがあります

自社の就業規則で採用している労働時間制度に基づく勤怠集計に対応しているかを必ずチェックするようにしてください。

各種有給休暇の取得に対応しているかどうか

有給休暇の取得方法には1日単位、半日単位、時間単位があります。1日単位と半日単位の有給休暇付与には大半のソフトが対応していると思われますが、時間単位の取得には対応していないソフトがしばしば見受けられます。

また、有給休暇は昨年度付与された分から取得していくのが原則ですが、就業規則によって当年度付与分から取得することを定めて企業もあるでしょう。そのような企業については、当年度付与分から取得していく設定ができるのかを確認する必要があります。

有給休暇の付与にあたっても、勤続年数や出勤率から判定して有給休暇を自動付与してくれるソフトもあれば、ユーザーが手動で入力しなければならないソフトもあります。

2019年4月1日から始まった有給休暇の5日取得義務化についても、義務をクリアできているかどうかの日数管理機能や、取得が進んでいない社員へのアラート機能など、ソフトによって対応状況は様々です。

有給休暇の付与や取得については、ソフトによって、できること・できないことに違いがありますから、自社で自動化したいと思っていることに対応しているか、機能のチェックが必要です。

ワークフローの機能が万全かどうか

残業や休日出勤については、紙の申請書を提出させ、上昇の承認印をもって残業や休日出勤を認めているという実務運用をしている企業も少なくないと思います。

このような企業がクラウド勤怠ソフトを導入する際、「ワークフロー」の機能がついているかは要確認です。

ワークフローの機能がついているソフトの場合は、パソコンやスマホのアプリから社員が上長へ残業や休日出勤の申請をし、上長もパソコンやスマホのアプリから「承認・却下」のアクションをとることができます。

ワークフロー機能の無いソフトを導入してしまうと、打刻はクラウド化されたのに、残業や休日出勤の申請だけは紙が残ってしまうという、チグハグな状態に陥ってしまいます。

日報機能が付属されているかどうか

勤怠の打刻を行うのは、残業代の計算や、過重労働の防止といった法的な要請が一義的な理由です。

これに加え、出勤から退勤まで社員が何を行っていたのかを可視化し、業務効率の改善や無駄の排除につなげていきたいというニーズを持っている企業も少なくはありません。そのようなニーズがある企業の場合は、単純な打刻機能だけなく、何を行ったのかを、時間ごとに入力できる日報機能を備えた勤怠管理ソフトを導入すべきです。

その他にも、予実管理や時間外労働の傾向分析を行うような機能を有するソフトもありますから、打刻や勤怠集計の効率化だけでなく、労務管理の質的な向上も目指したいと考える企業の場合は、こういった「プラスアルファ」の機能がどれくらい充実しているかも検討要素に加えると良いでしょう。

給与計算ソフトとの連動ができるかどうか

クラウド勤怠管理ソフトで打刻・集計された勤怠情報は、後工程として給与計算ソフトに引き継がれることになります。

このとき、給与計算ソフトにどれだけスムーズに勤怠情報を流し込めるかが、業務の効率化に対して大きなポイントになります。

一番良いのは、ボタン一つで連携できるAPI連携ですが、最低でもCSV連携ができるソフトを選ぶべきです。
勤怠管理ソフトと給与計算ソフトの相性も選定基準として見落とさないように気を付けてください。

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以上が、クラウド勤怠ソフトを比較する時の主なポイントです。是非、自社に合ったソフトを選定し、バックオフィス業務の効率化や質的向上につなげていってください。

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第2章 HRテクノロジーの各論
第3章 HRテクノロジーの具体例
第4章 HRテクノロジー活用事例
第5章 HRテクノロジーと社会保険労務士
第6章 RPAとHRテクノロジーの関係
第7章 HRテクノロジーでプラチナ企業へ

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