【新型コロナウイルス】勤務実績がない場合の休業手当の算出に必要な平均賃金の計算方法は?

新型コロナウイルス感染拡大防止のために、休業を余儀なくされた会社も多いのではないでしょうか。緊急事態宣言や東京アラートも解除され、徐々に日常を取り戻しつつあるとはいえ、まだ営業を再開できていない会社もあるかと思います。本稿では休業手当に関わる平均賃金の計算方法について、なかでも勤務実績がない場合の計算方法についてまとめていきます。

勤務実績がない場合の計算方法は?

例えば、4月1日に入社した従業員がいたとします。しかし新型コロナウイルスの影響で、3月より営業を自粛してたため、この新入社員には勤務実績がありません。平均賃金の計算には直近3ヶ月での勤務実績等が必要になりますが、このように実績がない場合はどのように計算をすればよいでしょうか?

まず、平均賃金の計算は、以下①②の計算式で計算された金額の高い方を採用します。

  1. 3ヶ月間の賃金の総額÷3ヶ月間の歴日数
  2. 3ヶ月間の賃金の総額÷3ヶ月間の労働日数✕60%

本来ですと上記の計算式で計算をしますが、今回のケースだと入社して1日も勤務していないので、この計算方法では計算できません。
勤務実績がない場合の平均賃金の算出については、労働基準法施行規則第4条に以下の記述があります。

「(略)雇入れの日に平均賃金を算定すべき事由の発生した場合の平均賃金は、都道府県労働局長の定めるところによる。」

上記のような条文がありますが、具体的な計算方法は定められておらず、都道府県労働局長の定めによると規定されているにとどまっています。

休業期間が平均賃金の算定事由発生日以前3箇月以上にわたる場合は、都道府県労働局長が定める

①控除期間が、平均賃金の算定事由発生日以前3箇月以上にわたる場合
②雇入れ日に算定事由が発生した場合

・使用者の帰責事由によらない休業(業務外の傷病(私傷病)による休業、組合専従による休業など)が、平均賃金の算定事由発生日以前3箇月以上にわたる場合も①と同様に取り扱われます。
・②については、通達による取り扱いがあり、以下のように定められています。
当該労働者に対して一定額の賃金が予め定められている場合は、その額により推算し、そうでない場合は、その日に当該事業場で同一業務に従事した労働者の一人平均の賃金額により推算して、都道府県労働局長が定める。

参考までに、以下に東京都内の労働基準監督署に確認した平均賃金の計算方法を記載しますが、実際に平均賃金の計算をする場合は、会社を管轄する労働局、労働基準監督署に確認をすることをお勧めいたします。

正社員とアルバイトでは計算方法は異なります。

正社員の場合

雇用契約書や労働条件通知書などで、月給のように一定の賃金が明確に決められている場合

月給×3÷雇い入れ当日前3ヶ月間の暦日数

アルバイトの場合

シフト制のように一定の賃金があらかじめ決められていない場合は、同じ業務に従事した労働者の一人平均の賃金額により推算されることになります。

雇い入れ当日前3ヶ月間に同じ業務に従事した労働者の賃金の総額÷同じ業務に従事した労働者数×3ヶ月間の暦日

人事の視点で考える|新型コロナ禍で入社日から自宅待機、休業補償(手当)は必要か?

感染しているか分からない段階の場合

感染しているか分からない段階で、従業員を一律に会社の判断で自宅待機させるような場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」となり、会社が休業手当を支払う義務が出てきます。(労働基準法第26条)

新型コロナウイルスに感染していることがわかっている場合

新型コロナウイルスに感染している、都道府県知事による就業制限の対象となった従業員を休ませた場合、新型コロナウイルスは指定感染症(2類感染症)となっているため、労働基準法第26条には該当せず、会社には休業手当を支払う義務はありません。しかし、補償が何もないわけではなく、健康保険の傷病手当金の支給を受けられる可能性があります。

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社労士法人 人事部サポートSR 社労士:針谷正昭

「外部人事部」をコンセプトに、幅広い人事領域をサポートする社労士法人、人事部サポートSRの針谷です。企業人事での実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、人事実務家の目線にたって企業様をサポートします。給与計算や手続きなど実務を通じて把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手がけ、企業人事の皆様を幅広く支援します。まずはお気軽にお問い合わせください!