2022年7月22日より、新型コロナ濃厚接触者の待機期間が「原則5日間」、最短「3日間」に

3年ぶりに行動制限のない夏を迎える一方、新型コロナウイルスの流行は依然として広がり、第7波の急拡大は止まる気配をみせません。こうした中で浮上する労務課題といえば、従業員の感染もさることながら、濃厚接触者として特定された者の待機期間への対応でしょう。職場における大幅な欠員は通常の事業運営の妨げとなることが問題視されていることを受け、2022年7月22日より、濃厚接触者の待機期間に関わる新基準が適用されています。

濃厚接触者の待機期間が短縮。最短で3日に

新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者に求められる待機期間については、これまで、「原則7日間(8日目の解除)」とされ、例外的に4日目および5日目の陰性確認等の要件を満たせば5日目に解除されることとなっていました。
今夏、依然として感染拡大下ではあるものの、従来株と比較すると重症化リスクは低減しつつあることが明らかになっていること、さらに就業不可の労働者増による社会経済活動への悪影響に鑑み、2022年7月22日より濃厚接触者の待機期間が短縮されることとなりました

濃厚接触者の待機期間に関わる新基準

2022年7月22日以降、濃厚接触者の待機期間は「原則5日間(6日目の解除)」とした上で、2日目および3日目の陰性確認等の要件を満たせば3日目に解除することとなりました。この新基準は、医療従事者等の社会維持事業者のみならず、すべての濃厚接触者に適用されます

濃厚接触者の定義を確認

濃厚接触者とは、陽性者の感染可能期間内(発症日の2日前から、診断後に隔離開始されるまでの間)に陽性者と接触した者のうち、次の範囲に該当する者を言います。

  • 患者と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった方
  • 手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、マスクなどの必要な感染予防策なしで、「患者」と15分以上の接触があった方(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断)
  • 適切な感染防護無しに患者を診察、看護若しくは介護していた方
  • 患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い方

ただし、ここに列挙した対象はあくまで原則であり、あらゆる状況を聞き取った上で保健所が総合的に判断することとなります。

出典:国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領

ただし、一般事業場において感染者が生じた場合の濃厚接触者の特定・行動制限については、すでに各自治体において柔軟な対応が可能となっていることはすでに別記事で解説した通りです。

濃厚接触者待機期間の起算日の考え方

待機期間の起算日については、「陽性者の発症日(陽性者が無症状の場合は、検体採取日)」もしくは「陽性者の発症等により住居内で感染対策(マスク着用、手洗い・手指消毒の実施、物資等の共有を避ける、消毒等の実施等)を講じた日」のうち、いずれか遅い方を最終接触日0日目として考えます。ただし、同居家族等の中で別の家族が発症した場合は、改めてその発症日(無症状の場合は検体採取日)を0日目として濃厚接触者の待機期間を起算することになります。

待機期間短縮でも、従業員の体調面への配慮を

今春から一般事業所における濃厚接触者の取り扱いが変更となったことに加え、今号で解説した通り、7月22日以降は待機期間が短縮されています。これらは濃厚接触者となった労働者の早期の職場復帰を可能とし、社会経済活動の継続を図るための措置ではありますが、一方で、会社として従業員の体調面には細心の配慮を払うことは不可欠です。現場においては、体調に心配のある従業員には休んでもらう、状況に応じて在宅勤務で対応させる等、企業の安全配慮義務の一環としてできる限りの感染防止対策を講じる必要があります。また、濃厚接触者となったことから出社を含む外出全般に不安を感じるようになり、そこから心身に不調が生じる方も少なくないようです。そのような場合にも、従業員の心に寄り添った対応が求められます。くれぐれも、短縮となった濃厚接触者の待機期間を一律に押し付け、出社を強要することのないようにしましょう。

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