一般事業所で陽性者が発生した場合の「濃厚接触者の取扱い」が変わります

長引くコロナ禍ではありますが、新年度を迎え、東京では、コロナ以前さながらの賑やかさが感じられています。人の往来が増える季節の懸念事項といえば、依然として「新型コロナウイルスの感染」。とりわけ感染力の高いオミクロン株の急拡大下においては、自身が陽性者となることだけでなく、周囲の陽性者の濃厚接触者となって行動制限を受けることもまた、社会生活を営む上では大きなリスクとなり得ます。この点に鑑み、2021年度末より、一般事業所における濃厚接触者の取り扱いについて、自治体ごとに柔軟な対応が可能となりました。さっそく概要を確認しましょう。

一般事業所でコロナ感染者が発生した場合、一律に濃厚接触者を特定しない

厚生労働省が2022年3月18日に各都道府県に通知した内容によると、今後、入院医療機関、高齢者・障害児者施設等のいわゆる「ハイリスク施設」を除く一般事業所でコロナ感染者が発生した場合の濃厚接触者の取扱いについて、自治体の判断により現場においては柔軟な対応が可能となります

どう変わる?濃厚接触者の取扱い

これまで、事業所等における感染者の発生に際し、濃厚接触者の特定・行動制限が必要とされていましたが、自治体によっては以下の通り変更されます。

  • 保健所等による一律の積極的疫学調査及び濃厚接触者の特定・行動制限は行う必要はない
  • 事業所等で感染者と接触があった従業員は、接触のあった最後の日から7日間は、高齢者等との接触や感染リスクの高い行動を控えるものとする
  • 感染者と接触があったことのみを理由として、従業員に対する出勤を含む外出制限は不要
    ただし、事業所等で感染者と接触(発症2日前~)があった者のうち、会話の際にマスクを着用していないなど感染対策を行わずに飲食を共にしたもの等は、一定期間(例えば、5日間の待機に加えて自主的に検査など)の外出自粛を含めた感染拡大防止対策が必要

自治体によっては、従来通りの対応となるケースも

このたび通知された取扱いは、事業所内で基本的な感染防止対策が講じられていることを前提に、濃厚接触者の感染確率の低さ、濃厚接触者に対する一律の行動制限を実施することでの人手不足や社会経済活動への影響に鑑み、柔軟な取扱いを可能とするものです。よって、濃厚接触者の取扱いについて柔軟な対応を可能とした自治体においても、以下の場合には、保健所等による調査や、感染対策の協力要請が実施されることもあります

✓ クラスターが発生し感染拡大の場となっている可能性がある状況や、基本的な感染対策を行わずに飲食を共にするなど感染リスクが高い場合等、さらなる感染対策の必要性が認められる場合

 

ただし、従来通り、積極的疫学調査の実施及び濃厚接触者の特定を行うこととする自治体もあるかもしれません。厚生労働省からの通知を受けて、各自治体が方針を示していますので、今一度ご確認ください

同一世帯内で感染者が発生した場合は、保健所等による濃厚接触者の特定・行動制限あり

濃厚接触者の取扱いについて、事業所においては柔軟な対応が可能となる一方、同一世帯内で感染者が発生した場合は、引き続き保健所等による濃厚接触者の特定・行動制限が求められます。濃厚接触者の特定に際して一律に聴取り等を行わず、同一世帯内の全ての同居者が濃厚接触者となる旨を感染者に対し伝達すること等をもって、濃厚接触者として特定することが可能となります。濃厚接触者の待機期間は原則7日間ですが、4・5日目の抗原定性検査キットで陰性確認後、5日目から解除とすることができます。待機解除の判断について、保健所による個別の確認は不要です。

 

以上、今号では、一般事業所における濃厚接触者に対する柔軟な対応が可能となる旨を解説しました。厚生労働省の通知では、ハイリスク施設や学校等での取扱いの変更点についてもまとめられています。ご一読いただき、万が一の際の対応にお役立てください。

参考:厚生労働省「B.1.1.529 系統(オミクロン株)が主流である間の当該株の特徴を踏まえた感染者の発生場所毎の濃厚接触者の特定及び行動制限並びに積極的疫学調査の実施について

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