
キャリアアップ助成金 正社員化コースは助成金の中でも知名度が高く、非常によく活用される助成金です。
令和4年度にはいくつか変更点がありますので、キャリアアップ助成金正社員化コースの変更点を詳しくみていきましょう。
目次
1 キャリアアップ助成金正社員化コースの令和4年度変更点に関するQ&Aが公開
厚生労働省より、4月8日にキャリアアップ助成金正社員化コースの令和4年度の変更点に関するQ&Aが公開されました。令和4年度の変更点は以下の通りです。
- 有期契約労働者から無期雇用労働者への転換の助成が廃止
- 助成金の加算対象の訓練の種類が追加
- 正社員定義の変更
- 非正規雇用労働者定義の変更
今回は、お問い合わせの多い、③の正社員定義の変更についてQ&Aに沿って詳細を記載します。次回、④の非正規雇用労働者定義の変更について詳細を記載する予定です。
2 正社員定義の変更
正社員定義が、「同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者。ただし、賞与または退職金の制度かつ昇給が適用されている者に限る」となりました。ただし以降が追加されています。
こちらは、令和4年10月1日以降に正社員に転換された従業員が対象なので、令和4年9月30日までに正社員になった従業員は改正前の定義となります。
この背景には、正社員の定義として長期雇用を前提とした待遇であることを示す狙いがあるとのことです。そのため、賞与または退職金制度のどちらか、かつ昇給があることとしております。つまり、契約社員には賞与・退職金制度かつ昇給はない条件であるけれど、正社員に転換したら賞与・退職金制度のどちらか、かつ昇給ありの待遇であることが条件になります。さらに、東京労働局に4月25日に問い合わせたところ、個別の労働条件通知書や雇用契約書に賞与・退職金制度・昇給がありと明記するだけでは助成金の対象とならず、就業規則に明記することが必要であるとのことです。
3 就業規則への記載例
正社員に適用される就業規則への記載例を紹介します。
〇(助成金対象となる)の例
「賞与は原則として支給する。ただし、業績によっては支給しないことがある。」
「昇給は勤務成績その他が良好な労働者について、毎年○月○日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は行わないことがある。」
「毎年1回、各等級の役割遂行度を評価し、基本給の増額又は減額改定を行う」
就業規則等に客観的な昇給基準等の規定がある場合、助成金の対象となります。
×(助成金対象とならない)の例
「賞与は支給しない。ただし、業績によっては支給することがある。」
「賞与の支給は会社業績による」
原則賞与は不支給であることや、賞与を支給することが明瞭でない場合は助成金の対象となりません。
「会社が必要と判断した場合には、会社は、賃金の昇降給その他の改定を行う。」
客観的な昇給基準等ではなく、賃金据え置きや降給の規定がある場合は助成金の対象となりません。
4 正社員転換を予定している契約社員がいる場合、対象となるかどうか確認しましょう
契約社員に適用されている就業規則や正社員転換した後の待遇と就業規則の規定を確認し、要件に当てはまる場合はぜひキャリアアップ助成金 正社員化コースを活用してください。
参考文献
厚生労働省
「キャリアアップ助成金パンフレット(令和4年度)」
「キャリアアップ助成金Q&A(令和4年度)」