
日本の労働環境において、従業員と会社間のトラブルは避けられない課題となっています。そんな中、都道府県労働局が提供する「紛争解決制度」は、従業員が権利を守るための重要な支援を行っています。特に、男女均等、育児・介護休業、待遇・パワハラなど多岐にわたるトラブルに対応し、外国人従業員向けにも多言語でサポートを提供しています。
1. 紛争解決制度とは
都道府県労働局は、会社と従業員の間でトラブルが生じたとき、申し出をすると紛争解決のための援助をしています。これを、紛争解決制度といいます。トラブルの内容は、以下の4つです。
① 男女均等取り扱い等に関するトラブル
② 育児・介護休業等に関するトラブル
③ 正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者の均等・均衡待遇などに関するトラブル
④ 職場におけるパワーハラスメントに関するトラブル
2. 紛争解決制度による紛争解決の流れ
企業内で会社と従業員の間でトラブルがあった場合、まずは企業内における自主的な解決を目指します。それでも解決しないときは、都道府県労働局雇用環境・均等部で相談対応をしたり、制度・調停・行政指導の説明が入ったりします。
その後、都道府県労働局長による助言・指導・勧告が入ります。それでも解決しないときは調停会議が開かれます。
2025年の育児休業・介護休業法改正で改めて育児休業の制度や仕事と育児との両立支援に注目が高まっていますが、これに関連するトラブルが発生した場合、日本人従業員だけでなく外国人従業員も紛争解決制度を使うことができます。
3. 多言語のリーフレット案内
外国人従業員向けに、厚生労働省では紛争解決制度について多言語に訳した資料をダウンロードすることができます。英語、スペイン語、ベトナム語、ポルトガル後、中国語、韓国語です。
出典:厚生労働省「外国人労働者向け紛争解決援助制度の案内」
4. 法改正対応と一緒に、外国人従業員へ周知をしましょう
2025年法改正に向けて、これから企業が個別に対応していく時期となります。育児休業制度や介護休業制度の改めた説明に加えて、万が一会社と従業員間でトラブルが生じた際には都道府県労働局雇用環境・均等部による紛争解決援助を申し出ることができることも一緒に周知することをおすすめします。また、外国人従業員向けには多言語のリーフレットも一緒に渡すことをおすすめします。
紛争解決制度の重要性と外国人従業員への周知
紛争解決制度は企業内の自主的な解決から始まり、必要に応じて都道府県労働局の支援を受けることが可能です。2025年の法改正に向けて、企業は育児・介護休業制度の周知と共に、トラブル発生時の対策を従業員にしっかりと伝えることが求められます。特に外国人従業員にとっても、自身の権利を理解し活用できるよう、多言語リーフレットの配布が効果的です。
参考資料:厚生労働省「外国人労働者向け紛争解決援助制度の案内」