【学校の働き方改革】2021年度版「全国の学校における働き方改革事例集」に学ぶ、教育現場の業務改善

民間企業同様、教育現場においても広がる働き方改革の取り組み。それぞれの現場で少しずつ検討が進み、実践されていることと思いますが、依然として「改善が進まない」とお悩みの学校も少なくないようです。現状、働き方改革で目指すべきゴールは程遠いように見えても、小さな工夫の積み重ねによって確実に目標に近づくことができます。

千里の道も一歩から。今号でご紹介する最新版事例集に学び、できることから始めていきませんか?

細かな事例紹介中心で、より一層活用しやすくなった「全国の学校における働き方改革事例集」

学校の働き方改革好事例については、2020年度にも「教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」や「学校の働き方改革フォーラム」開催、「学校の働き方改革の取組事例集」発行といった取り組みを通じて発信されていました。ところが、これらで紹介される好事例に対しては「真似するにはハードルが高い」「ウチの学校では対応できない」といったお声が多く挙がったようです。そこで2021年度版事例集では、どの学校でも取り組めるような小さな好事例を中心に取り上げ、より実用性を高めています

参考:文部科学省「全国の学校における働き方改革事例集(令和3年3月)

学校の働き方改革で、意識的に取り組むべきは「既存業務の見直し」

事例集では、学習指導、生徒指導、進路指導、特別活動、保護者対応、校務分掌の工夫等の切り口から、全国の教育現場で実際に行われた労働時間削減への取り組みが紹介されています。資料はかなりのボリュームとなりますが、現在の教育現場における働き方にはそれだけ改善の余地があることを示しているように感じられます。具体的な取り組みについてはここで詳しく触れませんが、ぜひ資料をご一読いただき、参考にされてみてください。

「既存業務の見直し」こそ働き方改革のスタートライン

私が社労士として学校の労務管理に携わる中で気が付いたことは、「教員が働き方改革を考える上で最も頭を悩ませているのは“既存業務の見直し”である」ということです。既存の教育活動を見直すことは、これまで教員が「子ども達のため」と信じて行ってきた活動の存在意義を否定することにもなりかねず、容易なことではないでしょう。しかしながら、その結果として教員の働き過ぎが生じ、ストレスのはけ口として教員間いじめが横行したり、最悪の事態として過労死が起こったりする現状があるならば本末転倒。教員が多忙を極める学校は、そもそも子ども達に対して健全な教育活動が行える環境にないことがほとんどです。

本当に「子ども達のため」を願うなら、学校は旧態依然の体質を改める必要があります。人材や時間、資金といった限りある資源を、いかに有効に教育活動に投じられるかに目を向けていかなければなりません。

「当たり前」を疑うことの大切さ

今号でご紹介している2021年度版事例集では、様々な観点から「見直し」への取り組みが掲載されています。教員間のやり取りや日課表といった教員側で行うべき見直しはもちろん、宿題や定期テスト、行事、生徒指導等の子ども達に直接関係する見直しについても言及されています。

ここで重要なのは、これまでの「当たり前」を見直し、改めてその必要性を考える勇気を持つことです。事例集には、「行事を廃止する、簡素化して実施し時間削減を図る」「家庭訪問を廃止して校内で行う個人面談に切り替える」「人数の少ないクラブ活動や部活動を統廃合する」等の取り組みが挙げられていますが、これらを前向きに検討する上ではまず「従来」に捉われないことが大前提となります。このあたりの意識改革が進まず、結局既存の在り方に固執してしまうことで、働き方改革が一向に前に進まない現場は少なくありません。

現状を知るために、「労働時間」を客観的に把握する

現場で働く教員が主体的に働き方改革を考えるためには、労働時間削減の必要性を実感することが不可欠です。義務感から何となく取り組む働き方改革は、必ず形骸化します。

働き方改革の必要性を理解するためには、教員自身が労働時間の長さを正しく理解することです。現在、私立学校を含む民間企業に適用される時間外労働の上限規制は、労働時間を以下の枠組みに収めるべきとしています。

公立学校においても、以下に準ずるガイドラインの遵守が求められています。


出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

関連記事:『【教員の働き方改革】「公立学校教師の勤務時間の上限」はどうなるの?

まずは勤怠管理を徹底し、上記の枠組みと、労働時間の現状を照らし合わせてみましょう。きっと、働き方改革の必要性を感じていただけるはずです。

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