
2025年度は育児・介護分野での大改正が予定されていることから、現場においては今まさに、対応準備を進められているところではないでしょうか?育児休業関連では「出生後休業支援給付金」が創設予定となっており、こちらは育児休業等を取得する従業員がいる現場においては例外なく対応の必要が出てまいります。今号では、新設「出生後休業支援給付金」を復習すると共に、現場における対応を確認しましょう。
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目次
「出生後休業支援給付」とは?対象者や申請手続きについて
「出生後休業支援給付」とは、子の出生直後の一定期間に、両親ともに(配偶者が就労していない場合などは本人が)14日以上の育児休業を取得した場合に、出生時育児休業給付金または育児休業給付金に上乗せして、最大28日間分の給付金を受けられる制度です。給付金額は、「休業開始時賃金の13%相当額」となっています。
共働き・共育ての推進、これを実現するための男性の育児休業取得率向上を目的に創設された給付制度です。
男性従業員の育休取得の場合、子が養子でない限り、配偶者の育児休業取得の有無は不問
出生後休業支援給付の対象者は、次の①および②の要件を満たした雇用保険被保険者です。
①被保険者が、対象期間に、同一の子について、出生時育児休業給付金が支給される産後パパ育休
または育児休業給付金が支給される育児休業を通算して14日以上取得したこと
②被保険者の配偶者が、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日の
うち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に通算して14日以上の育児休業を取得したこと、または、子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していること
育休取得には様々なケースが考えられますが、出生後休業支援給付の典型的な支給イメージとして「男性従業員の出生時育児休業取得」が想定されています。要件②にある「配偶者の育児休業を要件としない場合」については以下の通りです。
被保険者が父親の場合は、子が養子でない限り、必ずいずれかの事由(主に4,5,6のいずれか)に該当することとなるため、配偶者(母親)の育児休業取得の有無は問われません。
出生後休業支援給付金の支給申請は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給申請と同時に行う
出生後休業支援給付金の支給申請は、原則として、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給申請と併せて、同一の支給申請書を用いて行います。出生後休業支援給付金の支給申請を別途行う場合、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給された後の申請となるため、業務効率化の観点では極力同時に申請するのが良いでしょう。
出生後休業支援給付金の支給要件を満たす場合は、支給申請書にある次のⅠ、Ⅱ、Ⅲの項目のいずれか一つを記入します。複数記載は不可となりますのでお気を付けください。
Ⅰ 「配偶者の被保険者番号」欄 配偶者が雇用保険被保険者であって、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業を一定の期間に14日以上取得した場合
※ 配偶者が出産した場合は、配偶者が一定の期間に育児休業をすることはありませんので、被保険者が父親の場合は、子が養子でない限り、この欄に記入はしません。Ⅲ「配偶者の状態」欄に記入します。
Ⅱ 「配偶者の育児休業開始年月日」欄 配偶者が公務員(雇用保険被保険者である場合を除く。)であって、各種法律に基づく育児休業を一定の期間に14日以上取得した場合
※ 確認書類の添付が必要です(育児休業の承認を行った任命権者からの通知書の写しや共済組合からの給付金の支給決定通知書の写し等)。
※配偶者が出産した場合は、配偶者が一定の期間に育児休業をすることはありませんので、被保険者が父親の場合は、子が養子でない限り、この欄に記入はしません。Ⅲ「配偶者の状態」欄に記入します。
Ⅲ 「配偶者の状態」欄
子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当する場合
※ 確認書類の添付が必要です
参考:厚生労働省「出生後休業支援給付金において配偶者の育児休業を要件としない場合の添付書類について」
「出生後休業支援給付」の実務対応として「配偶者の状況確認」を
2025年4月創設の「出生後休業支援給付」に係る会社側の実務対応として、育児休業等を取得する従業員の「配偶者の状況確認」が必要となります。対象となる場合、会社は申請にあたり、配偶者の被保険者番号の聴取や各種確認書類の入手をしなければなりません。あらかじめ業務マニュアルに追記されておくことはもちろん、従業員に対して余裕をもってアナウンスできる様、心がけましょう。
参考:神奈川労働局「出生後休業支援給付金のご案内(リーフレット)」