【世界の残業観】西欧人はなぜ残業しないのか?日本との価値観の違いを紐解く

一般的にヨーロッパや米国の西欧人は、日本人のように残業をしないで定時にはさっと帰ると考えられています。
その一方日本では、働き方改革で残業が減らされる方向性にはあるものの、やはり依然として残業が普通なのが現状です。

なぜ西欧人は残業をしないのでしょうか?その理由を紐解いていきましょう。

日本と異なる西欧人の労働観


スペインに住んでいた時にスペイン人に、なぜ残業の文化がないのかを聞いてみたことがあります。
その時の彼の答えは『カトリック教では、「労働」=「悪いことをした罰」という意識があり、あくせく働くのは罪滅ぼしをしているようなイメージを持つからだ』とのことでした。冗談好きなスペイン人のことです、これが本当かどうか定かではありませんが、たしかに、「働く=奴隷」という概念はあるのかもしれません。

スペインがEUに加盟するより前の時代では、「(スペインとフランスの国境にある)ピレネー山脈から南はアフリカ」という認識がヨーロッパ中でありました。スペインはヨーロッパではなくアフリカの国とされていたのです。このような背景から、スペイン人は「奴隷」という言葉には他国よりも増して敏感なのかもしれません。

ヨーロッパ人にとって、働くのは優雅じゃない?

昔のヨーロッパの階級社会には、王族や貴族という人たちがいました。この人たちは「働く」ことはせず、使用人や農民・漁民・職人の労働でもって生活が支えられ優雅に暮らしていたのです。このような貴族たちをはじめ有名なマリーアントワネット王妃に市民が反発し、フランス革命が起こりました。

彼らは「不平等」に反発したとされていますが、実は平民も貴族のように優雅に暮らしたいという想いが、今でも根本にあるのではないでしょうか。「あくせく時間外まで働くのは昔の平民みたいで嫌、優雅じゃない」という考え方がヨーロッパ人にはあるように感じています。

「働くことはえらい」日本?


一方日本はどうでしょう。
日本は江戸時代より、士農工商という考え方が存在していました。お武士さんも、一番過酷な労働をしている農民も敬われていたのは確かでしょう。
この記事の筆者は昭和生まれですが、子供のころ母や祖母から「お百姓さんは偉いのよ」と教わっていました。何世紀も前の概念は未だに一般市民にしみついているようです。そしてそもそも「働く」ということに対する概念が、西欧と日本では違うのだということが伺えます。

働く理由が明確な、人種のるつぼアメリカ

ではアメリカはどうでしょうか。

人種のるつぼあるいは人種のサラダボールと呼ばれるアメリカです。欧州人だけでなく、黒人系、アジア系、アラブ系、ヒスパニックが混ざった多文化の国として成り立っています。
そんなアメリカでは、特に単純作業の労働者は残業代が出るなら残業するし、残業代は出なくとも仕事をたくさんすることが昇給に直結するのであれば残業も喜んでするというように、「仕事はあくまでお金のため」と割り切っているようです。

貴族的!?中南米の富裕層の働き方

中南米の人種や文化構成は米国と少し違っています。西欧系と、アステカ文明・マヤ文明・インカ文明といったインディオ系、そして日系人、黒人系などが混住しています。この地はスペインやポルトガルの植民地として発展しているので、大航海時代の昔ながらの西洋文化が、現在の西欧よりも根強く残っている地域です。

中南米ではどの国でも貧富の差が大きく、とりわけ富裕層の生活は昔の貴族さながらです。この地域では米国のようなアメリカンドリームは期待することはできず、お金持ちは代々お金持ちで低所得層はずっと低所得層のままという構造が成り立っています。

中南米ではお手伝いさんが安く雇えます。この地域でずっとワーキングママをしている私はお手伝いさんに家事を手伝ってもらっているのですが、その一人は以前、ベネズエラの石油会社の重役をしているお金持ちのところでも働いていました。彼女はその過程の子供のお世話担当で、それ以外にも料理担当、掃除担当、アイロンがけ担当のお手伝いさんが3人もいたそうです。「合計4人ものお手伝いさんがいて奥さんは一体何してるの?」と聞くと、その奥さんは普段何もせず、化粧とマニュキア塗りをしてゴロゴロ過ごしているんだとのことでした。
この様子がまさに『昔の西欧の貴族の生活』ではないでしょうか。中所得層の人でも、家事はするけれどもアイロンがけだけやってくれる人を雇っている家庭もあります。

残業必須な中南米非富裕層の働き方

純インディオ系や黒人系は、そもそも米国のように企業の中で昇進できない社会構造になっています。つまり、ほとんどがいわゆる単純作業の労働者なのです。彼らは、残業すると残業代が出るため、残業は厭いません。むしろ物入りのクリスマス前になると「残業させてくれ」とさえ言ってくる場合もありますし、残業がない会社の場合は副業としてUberの運転手などでなんとか稼ぎ口を見つけようとします。

残業に対する考え方は様々。特に不思議な日本の働き方

簡単に結論づけることはできませんが、先進国の西欧人が残業をしないのは「あくせく働くのは優雅でない」という考えが意識の根底にあるからなように考察できます。そして逆に後進国の労働者は残業をしないわけではなく「残業代をもらえるならば喜んで働く」ということが言えるかもしれません。
いずれにしても、昼間できることは昼間にさっさと片付けて、何も仕事がないのであれば定時に帰るのはどこの国でも鉄則となっています。残業をしない理由として一般的に言われている「家族と過ごす時間を大切にしたいから」などというのは、必ずしも全員に当てはまるわけではないでしょう。

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各国の「残業」に対する価値観や考え方について考察しました。
各国多様ですが、日本企業の皆さんは「残業」についてどのようにお考えでしょうか?

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ABOUTこの記事をかいた人

EUCA

大学卒業後大阪の船会社に勤め、その後スペインに留学してバルセロナの日本企業に5年間勤務。縁があって南米3ヵ国の総合商社現地法人会社で営業管理職、また事業投資会社で管理部門の管理職を約20年間務め、日本の製造業の会社でメキシコ工場の立ち上げに携わって現在に至る。16歳のラテン生まれラテン育ちの男児の母で、ジプシー生活はまだ続く見込み。