【あなたの責任、果たせてますか?】管理監督者は遅刻・早退・欠勤が自由なのか

一般社員と変わらない勤務実態であるにもかかわらず管理監督者扱いとされ、時間外割増賃金などが支払われない「名ばかり管理職」に関する労働トラブルはしばしばニュースになります。
管理職はやはり「管理職」です。あなたの職場に「名ばかり管理職」はいませんか?

参考:“名ばかり管理職”問題は他人事じゃない!「管理監督者」の定義とは?

管理監督者は賃金の遅刻控除ができない

管理監督者は賃金の遅刻控除ができません。

この点、労働基準法上の合法的な管理監督者と認められるためには様々な要件があり、「経営に対して発言できること」、「部下の採用や評価に関する人事権を持っていること」、「賃金が一般社員と比較して優遇されていること」などが挙げられます。
特に勤怠に関する観点からは、「出退勤の自由が認められていること」が重要な要件の1つとなっています。

つまり、管理監督者とされている人が定時の業務開始時刻に遅れて出社してきた場合、「今日は1時間遅刻したので、1時間分の賃金をカットします」ということは許されないということです。

もし、遅刻時間分の賃金をカットしてしまうと、法的には「会社はこの人に出退勤の自由を認めていないので、彼を管理監督者として扱っていない」ということになり、「名ばかり管理職である」とされます
過去の残業代なども精算を求められてしまう恐れがあります。

管理監督者は自由に遅刻して良いわけではない

とはいえ、もちろん管理監督者は好き勝手に遅刻し放題ということではありません。

管理監督者はその名の通り、自分の部下を管理したり監督したりする義務を負っています。
ですから、部下がちゃんと所定労働時間に勤務をしたかということや、部下に遅刻がなかったかということを把握するのは管理監督者の役目ということになります。
管理監督者は出退勤の自由が許されるとはいえ、それはあくまでも管理監督者としての役割を果たした上です
自己裁量が認められるということです。

正当な理由なく部下よりも遅く出社している管理監督者は、「部下の管理」という自分の役目を果たしていないという意味で問題です。
このような管理監督者は欠勤控除はされないかもしれませんが、査定で低い評価を付けられたとしても文句は言えないでしょう。
場合によっては管理監督者の任を解かれ、降格されても仕方ないといえます。

このような考え方に基づくと、クラウド勤怠管理ソフトは管理監督者にとって大変有意義なツールです。
管理監督者に該当する方であってとしても、育児や介護などの事情によって部下よりも早く出社することが難しいというケースも充分想定されます。
また、フレックスタイム制を導入している会社の場合、管理監督者が常に最も早く出勤しなければならないというのは非現実的です。
そのような場合、クラウド勤怠管理ソフトがあれば、上司は在宅勤務や移動中の電車の中などで、ノートパソコンやスマートフォンを使って、WEB上の部下の打刻記録から出社状況を把握することができます。

育児や介護などの特段の事情のない管理監督者であっても、出張中などにWEB経由で部下の勤怠状況を把握できることは、業務の効率化に大いに役立つはずです。

管理監督者は、自由な早退も許されるわけではない

早退に関しても同様です。
管理監督者が早退をしても賃金は控除されませんが、無責任な早退が許されるわけではありません。

管理監督者はその職責として、部下が残業をしない場合はきちんと定時に帰宅させたり、部下が残業をする場合には適正に残業申請がなされていることを確認しなければなりません。
ですから管理監督者は出退勤が自由だからといって、部下を残して自分だけ勝手に帰宅をしてしまうということはその役割責任を果たしていないということになります。

原則としては、部下の退勤を見届けてから自分が退勤するというのが管理監督者のあるべき姿です

もちろん、家庭の事情等で管理監督者も早く帰らなければならないこともあるでしょう。そのような場合には次席の立場の者に指示をして退勤管理を代行させるとか、あるいはクラウド勤怠ソフトを使って随時状況把握ができるようにするとか、代替策を講じることが管理監督者には求められるといえます。

管理監督者の欠勤。控除は慎重に

管理監督者はその役割責任を果たす限り、出退勤の自由が認められなければならないということは異論のないところです。しかし、欠勤の自由および欠勤に対する賃金控除の可否については必ずしも明確な基準があるわけではありません。

この点、一般的な会社の実務運用としては、おおむね次のようなルールになっているという印象をうけます。

①原則として欠勤の自由は認めない
②傷病等何らかの事情で欠勤があった場合には欠勤控除は行わない
③ただし、欠勤が一定期間以上になった場合は欠勤控除を行う

『管理監督者としての業務を円滑に行うためには欠勤の自由までは認められないが、1日・2日の欠勤があったとしても管理監督者の責任を果たせないとまではただちに言えないので、欠勤控除は行わない。しかしながら、長期間の欠勤が続く場合は実態としても管理監督者の責任を果たすことは不可能なので、この場合は欠勤控除の対象になる』 ということがこの考え方の基本です。

ただし主に中小企業においては、1日でも管理監督者が不在だと業務への影響が大きいので、「1日でも欠勤したら欠勤控除の対象となる」としている会社もあります。
すなわち、社会通念も踏まえ「管理監督者としての責任を果たせるかどうか」という観点が、判断の目安になります。
具体的に何日以上欠勤したら管理監督者でも欠勤控除の対象になるのか等については、トラブルを避けるために、自社の就業規則や雇用契約書で具体的に定めることが望ましいです。

管理監督者はとにかくその責任を果たすこと

欠勤の自由までは無いにせよ、管理監督者は賃金がカットされることなく出退勤の自由が認められます。ただし「管理監督者としての責任を果たす限りにおいて」という条件がつくということが管理監督者の勤怠を理解する上でのポイントとなります。

また、その場にいなくても部下の勤怠状況をリアルタイムに把握することができるクラウド勤怠ソフトの導入は、勤怠管理の負担を軽減し管理監督者の働き方改革を支援するツールとしても大いに有用であることは、合わせて押さえておきたい本稿のポイントとなります。

ぜひ、無料のクラウド勤怠管理システムIEYASUをお試しください。

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