雇用調整助成金コロナ特例が2023年3月まで延長へ。ただし助成率は縮小される見通し

新型コロナウイルス感染拡大は一時期と比較すると徐々に落ち着きつつあると感じられますが、これから冬場にかけて感染再拡大が懸念されており、まだまだ予断を許さない状況が続いています。こうした状況に鑑み、2022年11月末日を期限としていた雇用調整助成金コロナ特例について、このたび、2022年12月から2023年3月までの期間についての延長方針が示されました。ただし、助成内容・制度の大幅変更に注意する必要があります

雇用調整助成金・休業支援金ともに、助成率が縮小に


出典:厚生労働省「令和4年12月以降の雇用調整助成金の特例措置等について

コロナの影響による事業縮小に伴い従業員に支払った休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」、及びコロナ関連の休業について企業から休業手当の支払いを受けられない従業員が国に直接申請できる「休業支援金」について、2022年12月以降、以下の通り変更があります。

✓ 原則的な措置について、2022年12月以降、助成率が縮小される見込み助成上限額は2022年11月までの額が据え置かれます
✓ 地域特例、業況特例が原則廃止
ただし、特に業況が厳しい事業主については2022年12月、2023年1月までの経過措置として特例が講じられます

 
図中の各「※」については、出典URLより内容をご確認いただけます。
雇用調整助成金・休業支援金はともに雇用保険被保険者を対象とする制度ですが、雇用保険被保険者以外の労働者を対象とする「緊急雇用安定助成金」「休業給付金」についても同様に延長予定となっています。

2022年12月以降新規に雇用調整助成金の申請をする場合、コロナ特例ではない通常の制度により手続き

併せて、これまでコロナ特例を利用しておらず、令和4年12月以降の休業等から新たに雇用調整助成金を申請する場合について、コロナ特例ではない通常の制度に則って手続きを行うようにとのアナウンスがありました。
ただし、新型コロナウイルス感染症を理由とする休業等であって、判定基礎期間の初日が2022年12月1日から2023年3月31日までの間の休業等の支給要件は以下1~3の通り、一部緩和されます。ただし、以下4,5の通り、2022年11月30日以前の休業について雇用調整助成金コロナ特例を受給しているケースとは異なる要件が適用される点に注意しましょう

参考:厚生労働省「令和4年12月以降の雇用調整助成金の活用について(フローチャート)(予定)

1.計画届の提出は不要

通常の雇用調整助成金制度では、休業等の実施前に事前に計画届その他の書類を提出することになっていますが、
この計画届の提出は求められません。ただし、本来計画届とともに提出する生産指標の確認のための資料などは、支給申請時に提出することになります。

2.残業相殺は行わない

判定基礎期間中に実施した休業や教育訓練の延べ日数から、その期間中に実施した所定時間外労働の日数を差し引く要件である残業相殺は行いません。

3.短時間休業の要件を緩和

通常の雇用調整助成金制度における短時間休業は、助成金の対象となる労働者全員が一斉に実施することを要件としていますが、一部の労働者を対象とした短時間休業も助成対象とします。

4.生産指標の確認は「直近3ヶ月と前年同期」との比較

直近3ヶ月の生産指標(売上高など)が前年同期と比較して10%以上低下していることが要件となります。起業して間もない事業主の休業など、比較可能な前年同期が無い場合は助成対象となりません。

5.雇用量要件を満たす必要あり

休業等を実施する事業所における雇用保険被保険者や受け入れている派遣労働者数の直近3ヶ月の平均値が、前年同期に比べ5%を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)増加していないことが要件となります。

 

2022年12月以降、変更となる雇用調整助成金コロナ特例。最新の情報を元に、適正に活用できるようにしましょう。ご不明な点は、社会保険労務士までお気軽にご相談ください。

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