【雇用調整助成金】ワクチン接種日も申請できる?副反応に備えた休業は?

新型コロナウィルスのワクチン接種率も徐々に高まり、日本では人口の半数近くが1度目の接種を終えているようです。従業員が所定労働日にワクチン接種をする場合、有給休暇を取得させたり、仕事中に接種させるほか、事業主が特別な休暇として給料を補償するケースもありますが、そもそも雇用調整助成金の対象日となるのでしょうか?また、副反応に備えて予め休業指示をした場合は対象とできるのでしょうか?

ワクチン接種のための休暇は対象外

答えは、ズバリ『対象外』です。これは、厚生労働省・雇用調整助成金のサイト内、雇用調整助成金FAQ設問部類 (04)助成対象、助成内容Q4-16に掲載されています。

Q4-16

設問:新型コロナワクチン接種のため休暇を取得した日について、事業所が休業手当を支給した場合は本助成金の支給対象となりますか。
回答:新型コロナワクチン接種のための休暇は、支給対象とはなりません。
また、コロナワクチン接種を行うために休業を実施するものについても、経済上の理由による事業活動の縮小を起因とする休業にはあたらず、 支給対象外となります。
ただし、(~以降後述)

出典:厚生労働省「雇用調整助成金FAQ設問部類 (04)助成対象、助成内容

副反応に備えた休暇も対象外

上記回答に「新型コロナワクチン接種のための休暇」が支給対象とならないとありますので、接種日のほか、副反応に備えた休暇も同様に、助成金の申請対象外ということになります。

コロナ絡みの休業は、雇用調整助成金で申請できると安易に考えてしまいそうですが、注意が必要です。

経済上の理由による事業活動の縮小を起因とする休業とは

少し難しい表現ですが、要するに雇用調整助成金は、コロナの影響で売上が減り、仕事量を調整する必要がある場合に、従業員を直ちに解雇したり無給扱いすることなく、事業主の指示で休業させた場合が支給対象になります。

「ワクチン接種のための休業」であれば、本来の趣旨である売上減少による雇用調整のための休業ではありませんから、対象外になるということです。

そもそも休業とは?濃厚接触者は?

また、休業とは、労働者がその事業所において、所定労働日に働く意思と能力があるにもかかわらず、労働することができない状態をいいます。よって、労働の意思そのものがない場合(ストライキや有給休暇など)や、コロナウィルスに感染し、労働能力を喪失している場合は、支給対象とはなりません。

参考:「雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)令和3年7月28日版 P4.休業とは

「濃厚接触者は、支給対象となる」ことはある程度認知されているようですが、濃厚接触者は感染者に接触した人のうち特に感染リスクが高いと想定される人のことをいい、労働能力を喪失しているわけではないことから、支給対象に含めることができます。

ただし、休業日に従業員が自らワクチン接種をした場合は対象にできる

冒頭の雇用調整助成金FAQ Q4-16の回答の後半部分に但し書きがあります。

ただし、計画していた休業が経済上の理由による事業活動の縮小を起因とする雇用調整であり、その計画された休業日において法令上事業主に義務付けられているものではない当該コロナワクチン接種を行った日については、その接種が事業主の指揮命令によるものでなければ雇用調整助成金の支給対象となります。

出典:厚生労働省「雇用調整助成金FAQ設問部類 (04)助成対象、助成内容

ワクチン接種を義務付けるための休業であれば支給対象とはならないことは、前述のとおりですが、当初より計画していた休業日に、従業員自らワクチン接種をした場合は関知せず、申請対象とすることができるということになります。

まとめ_不明点や不安なことは必ず事前に確認を

長期化するコロナ禍において、様々なケースが発生し、その都度適切な対応が求められることとなりますが、制度や法律の趣旨を理解することで、より適切かつ自信をもった経営判断をすることができます。休業対象とはならないのに、誤って申請してしまっては、たとえ支給決定されたとしても後に返還する事例も増えています。不明点や不安なことがあれば必ず事前に確認した上で、申請することをお勧めします。

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