「喫煙者のタバコ休憩は不公平だ」という社員間の不満をどのように解消すべきか

「タバコを吸う人は、喫煙でちょくちょく席を外すので、タバコを吸わない人よりもたくさん休憩して不公平だ」というのはよく聞く話です。この不公平感は、どのように解消していけば良いのでしょうか?

そもそもタバコは休憩時間なのか

最初に確認しておかなければならないのは、タバコを吸いに行くのは休憩時間なのかどうかということです。この点、職場における喫煙の歴史を振り返ってみましょう。

現在では、多くの会社でオフィス内禁煙ですが、30年くらい前までは、オフィスの自分の机に灰皿を置いて、デスクワークをしながら喫煙をするのが当然でした。ですから、当時は仕事をしながらタバコを吸うのは、仕事をしながら水やコーヒーを飲むのと同じ扱いだったのです。

ところが、受動喫煙の防止や職場の環境改善の要請が高まり、喫煙はオフィスの一角に設けられた喫煙室や、ビルの外の喫煙スペースに限られることになったのです。これが「タバコ休憩」の始まりです。

世の中全体が「受動喫煙の防止」という世論で一致していることを踏まえても、非喫煙側者の事情で、かつては水やコーヒーを飲むのと同じ扱いだった喫煙を、一定の場所に限定させたという経緯があるのは事実なので、タバコ休憩を直ちに「法律上の休憩時間」と決めつけることはできないわけです。もし、タバコ休憩を「法律上の休憩時間」にするならば、水やコーヒーを飲んでいる時間も休憩時間にしなければ公平性が取れなくなってしまいます。

そして、さらにもうひとつ考えなければならないのは、法律上の休憩と認められるためには、「休憩時間中は労働から完全に解放されていなければならない」ということです。タバコを吸いながら仕事の段取りやアイデアを考えていたり、タバコを吸いながらスマートフォンで業務上のメールを読んでいたりしたら、法的には休憩時間ではなく労働時間になります。

また、仮に仕事のことを考えていなかったとしても、上司から声がかかればすぐにタバコの火を消して仕事に戻らなければならないのが通常でしょうから、その意味でも「労働から完全に解放されている」とは言えず、やはり労働時間と考えなければならないのです。

タバコ休憩の不公平感をどう解消すべきか

タバコ休憩が法的には「労働時間」に含まれるとなると、タバコ休憩分の賃金をカットすることは違法ですので、賃金で差をつけて喫煙者と非喫煙者の不公平感を無くすという考え方は成り立ちません。

もっとも、どうしてもタバコ休憩を賃金カットの対象となる休憩時間として扱いたいならば、タバコ休憩を逐一申告制にして、タバコ休憩を認められた時間は本人を完全に業務から解放するというような管理を行えば不可能ではありませんが、多くの会社においては非現実的な考え方でしょう。

では、どうすればタバコ休憩の不公平感を解消できるのでしょうか。解決策は、会社の業種や職種、人事評価の方法などによって異なってくると思います。

製造ラインなど「共同作業」の場合

製造業のライン作業のように全員の連携が必要な職場や、何人かのグループで共同作業を行っていて、1人が職場を離れると、他の人の負担が明らかに増えてしまうという職場の場合です。

こういった場合は、就業規則で「会社が定めた休憩時間以外は、みだりに職場を離れてはならない」と定めるべきでしょう。トイレなどの生理現象は別にして、タバコ休憩、コーヒー休憩、雑談休憩を問わず、一律に会社が休憩時間を管理する形が、公平性があります。

なお、休憩時間以外に喫煙や飲食を禁じるのは、職務専念義務の観点から、法的には使用者の指揮命令権の正当な行使の範囲内であると考えられています。

デスクワーク職場の場合

デスクワークの職場では、「あの人は、定時内はタバコ休憩ばかりして、残業代を稼いでいる。定時内で頑張っている自分が損をしているみたいだ。」という不公不満が最も多いです。デスクワークの職務内容も様々ですが、伝票の処理とかデータ入力のように、「作業」が中心となる職務の場合は、やはり就業規則で「休憩時間以外はみだりに職場を離れないこと」を定め、休憩時間以外はタバコ休憩に行かせず、業務に集中させるという考え方が有力だと思います。

喫煙者の社員からの反発が大きいと考えられる場合は、「2時間に1回まで、10分以内」といったようなルールを定め、そのルールの範囲内で、タバコ休憩をとってもらうようにしましょう。非喫煙者にもコーヒーブレイクを認めるなど、喫煙者と非喫煙者で不公平感の無いようにする配慮も必要です。

さて、同じデスクワークでも、企画や研究開発のように、必ずしも労働時間と成果が比例しない職務もあります。

このような職務の場合は、デスクに座り続けていれば成果が上がる保証はなく、「気晴らしにタバコを吸いに行ったら、良いアイデアが浮かんだ」ということも充分に考えられます。逆に、時間や行動を縛りすぎることが弊害になる可能性もあるかもしれません。

そこで、こういった職種の場合は、タバコ休憩を含め、ある程度自由に離席することを認めつつ、あまりにも目に余る場合や、どう見ても成果が上がっていない場合は上長が個別に面談などで対応する、という形が、バランスが良いのではないかと思います。

また、企画や研究開発の職種は、裁量労働制やみなし残業制が採用されていることも多く、また、人事評価も、労働時間の長さではなく、企画や研究の成果に応じた評価になると思いますので、タバコ休憩の長い短いが給与や人事評価での不公平感につながる恐れも少ないはずです。

まとめ

タバコ休憩は、その経緯や法的な意味はともかく、喫煙者の社員に無制限に認めてしまうと、やはり非喫煙者の社員からすると「不公平」なものに見えてしまうことは避けられません。

社員の「節度」や「常識」に任せるという方法も考えられなくはありませんが、人によって価値観はそれぞれなので、会社が集団で力を合わせてアウトプットを生み出していく場である以上、就業規則などで一定のルールを定め、喫煙者も非喫煙者も不公平感を持たないような職場環境を作っていくことが必要なのではないでしょうか。

 

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