働き方改革の実現に向け、現在、関連法等の改定作業が進められています。とりわけ「時間外労働の上限規制」新設に伴い、「労働時間」に関わるルールがどう変わるかについては、皆さん注目されるところではないでしょうか?
このたび、「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」の一部改正案がパブリックコメントに付されていますので、いち早く内容を確認しておきましょう。
「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」は改正でどう変わる?
改正のポイントを確認する前に、まずは既存の「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」がどのような内容であるかを把握しておきましょう。
「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」とは、労働時間等の設定の改善を含めた仕事と生活の調和の実現に向け、事業主及びその団体が取り組むべき必要事項がまとめられたものです。労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第4条第1項の規定に基づき、定められています。
事業主が講ずべき一般的な措置として、
・実態を踏まえた上での社内体制の整備
・労働者の抱える多様な事情及び業務の態様に対応した労働時間等の設定
・年次有給休暇を取得しやすい環境の整備
・所定外労働の削減
・労働時間の管理の適正化
・ワークシェアリング、在宅勤務、テレワーク等の活用
・国の支援の活用
が挙げられています。それぞれの項目について、詳細はガイドライン本文をご参照ください。
参考:厚生労働省「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」
このたび、働き方改革関連法が成立したことを受け、主に下記の内容について改正が予定されており、現在パブリックコメントに付されています。
✓ 「労使間の話合いの機会の整備」に、事業主が、労働時間等設定改善委員会及び労働時間等設定改善企業委員会による話合いの機会を設けるに当たっての留意点として、労働基準法(昭和22年法律第49号)上の労働時間等に関する規定に係る特例の活用を図ることを規定する。
✓ 「年次有給休暇を取得しやすい環境の整備」に、事業主は、年次有給休暇の取得促進に関して、年次有給休暇管理簿を作成した上で、その取得状況を労働者やその上司に周知すること等により、計画的な年次有給休暇の取得促進に取り組むことを規定する。
✓ 「所定外労働の削減」を「時間外・休日労働の削減」とした上で、時間外労働の上限規制の導入を踏まえ、業務の見直し等により適切な上限時間を設定し、時間外労働・休日労働の削減に努めることを規定する。
✓ 「ワークシェアリング、在宅勤務、テレワーク等の活用」を「多様な正社員、ワークシェアリング、テレワーク等の活用」とした上で、「多様な正社員」制度の導入に努めることを規定する。
✓ 「終業及び始業の時刻に関する措置」の事項を新たに設け、事業主は、深夜業の回数の制限、勤務間インターバル及び朝型の働き方の導入を検討することを新たに規定する。
✓ 「事業主がほかの事業主との取引上配慮すべき事項」に、特に中小企業等の事業主が時間外労働・休日労働の削減に取り組むに当たっては、事業主の努力だけでは限界があることから、長時間労働につながる取引慣行の見直しが必要であることを規定する。
✓ 「地域活動等を行う労働者」に、地域活動、ボランティア活動等を行うことの重要性を明記するとともに、休暇等に係る制度を設けた場合にはその周知を行うことを新たに規定する。
ポイントとしては、「労働時間等に関わる労使間の話合いの機会の整備」「有給休暇の取得促進」「時間外・休日労働の削減」「多様な正社員制度の導入」「勤務間インターバルや朝型の働き方の導入奨励」です。
また、これらを実現するために、従来の取引慣行の見直し・改善が図られるべきである旨も明記される見込みです。働き方改革を実現させるためにも、単なるガイドライン上の記述にとどまることなく、この機会に確実に各業界へ浸透していくことが望まれます。
「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」の改正は、実は昨年にも行われていた
ちなみに、今号で取り上げた「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」の改正は、2017年10月1日にも行われていたことをご存じでしょうか?
出典:厚生労働省「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)、育児・介護休業指針が改正され、平成29年10月1日から適用されています」
少し前に話題になった「キッズウィーク」のキーワードは、まだまだ皆さんの記憶に新しいかと思いますが、昨年のガイドライン改正時にしっかりと盛り込まれています。
参考:厚生労働省「キッズウィークについて」
今回パブリックコメントに付されている内容は、順調にいけば2019年4月1日にも適用されることになります。前回改定時からおよそ1年半での再改定となる点に、働き方改革に伴うめまぐるしい状況の変化を見てとることができるのではないでしょうか。
「労働時間の削減」や「勤務間インターバル導入」に対応可能な勤怠管理に目を向けましょう!
さて、改正「労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」に対応するために、今、企業に求められるのは「労働時間の適正把握」です。労働時間の削減、勤務間インターバルの導入、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の実現を考える上では、大前提として「あらゆる働き方にも対応できる勤怠管理」を導入することは不可欠です。
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