10月は「年次有給休暇取得促進期間」|年次有給休暇に対するよくある疑問点 Q&A10選

厚生労働省は、10月を「年次有給休暇取得促進期間」と定めています。
2019年4月より、年5日の有給休暇を取得することが義務化され、より有給休暇の管理について適切に対応しなければならなくなったかと思います。

本稿では、この機会に、年次有給休暇に関してよく発生する実務上の疑問点を、Q&A形式で整理していきたいと思います。

目次

Q1:入社時は週3勤務のアルバイトだった方が、入社6か月後の年次有給休暇の付与日には週5日(フルタイム)勤務たっだ場合、年次有給休暇は何日付与する必要がありますか?

A1:このケースでは、通常のフルタイム勤務者と同様10日を付与する必要があります。年次有給休暇の付与日数は、年次有給休暇付与日現在の雇用形態によって決まります。ですから、逆に、当初は週5日勤務だった方が、年次有給休暇付与日現在は週2日勤務とか週3日勤務になっていた場合は、比例付与の対象となります。

Q2:遅刻した従業員が「年次有給休暇で処理してください。」と申し出てきました。認める必要はあるのですか?

A2:認める必要はありません。年次有給休暇は、会社が恩恵的に事後承認する場合を除き、前日までに取得の申し出をする必要があります。したがいまして、遅刻による不就労控除や、人事考課上の不利益を避けるための年次有給休暇の事後申請を認める必要はありません。

Q3:台風の接近が予定されている日を会社の業務命令で年次有給休暇の強制取得日として良いのでしょうか?

A3:有給休暇は従業員の希望に基づいて取得ができる制度ですので、原則としては天災等の事情があっても従業員に年次有給休暇の取得を強制することはできません。ただし、年次有給休暇が10日以上付与された従業員に対しては、会社は5日間の取得義務を負っていますので、この義務の範囲で年次有給休暇の強制取得日とすることは可能です。

Q4:日々の所定労働時間が異なるシフト制のパートの方が年次有給休暇を取得したら、いくら賃金を支払えば良いのでしょうか?

A4:年次有給休暇を取得したときの賃金は、①通常の賃金、②平均賃金、③標準報酬日額(労使協定で定めた場合)の3パターンから会社毎の規定により定めることとなります。

①の場合は、年次有給休暇を取得した日に通常出勤をした場合と同等の賃金が支払われます。②③の場合は、年次有給休暇を取得した日のシフトの長短に関わらず、一定額の賃金が支払われる形になります。どの日に年次有給休暇を取得したかで損得が生じてしまいますが、制度上やむを得ません。

Q5:当社では、所定労働時間が9:00~18:00(昼休み12:00~13:00)です。午前半休を9:00~12:00、午後半休を13:00~18:00とすることは可能でしょうか?

A5:半休制度を設定する際、必ずしも、1日の所定労働時間の半分にする必要はありません。質問のように午前半休3時間、午後半休5時間とすることも可能です。ただ、それでは午前半休と午後半休で不公平感があって望ましくないという場合は、午前半休を「14:00~18:00の4時間勤務」、午後半休を「9:00~13:00まで4時間勤務して退社」というような制度設計にすることも考えられます。

Q6:裁量労働制やフレックスタイム制の従業員に対し、半休制度を設ける意味はあるのでしょうか?

A6:結論から言えば、全く意味が無いわけではないですが、半休制度を積極的に設ける理由は乏しい、ということになります。裁量労働制やフレックスタイム制の場合、所定労働日の始業時刻と終業時刻は本人の判断に委ねられますが、丸1日働かない自由までは与えられていません(所定労働日には1分以上は勤務しなければならない)。

ですから、裁量労働制やフレックスタイム制の従業員が丸1日休みたい場合は、1日分の年次有給休暇を使用する必要があります。半休を取得した場合は労働の義務が丸1日免除されるわけではありませんので、結局のところ本人の裁量で出勤時刻と退勤時刻を決めて勤務をするのは通常勤務日と何ら変わりません。ですから、半休制度は裁量労働制やフレックスタイム制のもとでは実務上意味のある制度とは言えないということです。

Q7:年次有給休暇の5日取得義務は、本人が辞退した場合は取得させなくても問題ないのでしょうか?

A7:年次有給休暇の5日は法的に絶対的な義務ですので、本人が辞退した場合でも取得をさせなければなりません。本人が出社を希望していたとしても、業務命令で休ませなければなりません。

Q8:退職時には年次有給休暇の残日数を消化させる義務があるのでしょうか?

A8:本人が年次有給休暇の消化を希望してきた場合は、消化させる義務があります。しかし、本人からの希望が無かった場合には、会社側から積極的に働きかけて消化をさせるという必要まではありません。また、退職日までに年次有給休暇の残日数が消化しきれない場合は、本人が希望したとしても、いちど決定した退職日を変更して全日数を消化させる義務はありません。

Q9:年次有給休暇を買い取ることは可能なのでしょうか?

A9:原則として年次有給休暇を買い取ることは不可です。ただし、会社の就業規則等で、法定の日数以上に上乗せで付与されている日数部分や、退職時に消化しきれない日数部分を買い取ることは可能です。なお、従業員側から買取の希望があった場合に応じる義務まではありません。

Q10:年間10日以上有給休暇を付与された従業員が、5日の取得義務を果たしていない段階で、対象期間の途中で退職となった場合、5日に満たない日数を取得させなければ法律違反になってしまいますか?

A10:年次有給休暇の5日間の取得義務は、対象となる年次有給休暇を付与された日から1年間のどのタイミングで取得しても良いことになっております。

ですから、たとえば対象期間の終盤でまとめて5日取得しようとしていた方が、そのタイミングが来る前に、何らかの事情で退職をすることも充分想定されます。法令では、そのような場合にまで5日間の取得義務を求めているわけではありませんので、途中退職者に関しては、5日取得義務が果たされていないまま退職となったとしても、法的に問題はありません。

有給休暇を適切に管理するためにも勤怠管理システムの導入を

有給休暇の5日取得義務を守るためにも有給休暇の取得を促進させるためにも、適切な有給休暇の管理が必要です。

まだ勤怠管理システムの導入をしていない会社は、これを機に積極的に導入を検討してみるべきでしょう。なお、多様な働き方に対応し、管理の容易性も踏まえて考えると、パッケージ型ではなく、クラウド型の勤怠管理システムを導入するほうが、より望ましい選択肢となるのではないでしょうか。

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ポライト 社会保険労務士法人

「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念に掲げている社会保険労務士法人です。目下は、電子タイムカードやクラウド給与計算ソフトなどのHR-Techの活用や導入支援に力を入れており、お客様企業の効率改善や残業削減に貢献していきたいと考えています。