どうなる?雇用調整助成金 政府の方針表明から緊急事態宣言解除後の見通しをざっくり把握(2021年1月27日時点)

以前の記事で解説した通り、雇用調整助成金は現在、再度の緊急事態宣言発令に伴い「特例措置期間の延長」と「一部大企業を対象とした特例措置のさらなる拡大」が講じられ、各現場に幅広く活用されているところです。そんな中、このたび政府からは緊急事態宣言解除後の雇用調整助成金に関わる方針が表明されています。今号でご紹介することは、現段階ではあくまで「予定」であり確定事項ではありませんが、今後の見通しとしてざっくり把握しておきましょう。

雇用調整助成金等の特例措置は「緊急事態宣言解除月の翌月末」まで延長予定

雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、現在、緊急対応期間中(2020年4月1日~2021年2月28日)の休業について特例措置が講じられているところです。

この点、今後の見通しとして本特例措置を「緊急事態宣言解除月の翌月末」まで延長する方針である旨が表明されました。
例えば2021年2月7日で緊急事態宣言が全国で解除となった場合、緊急対応期間は2021年3月末日まで延長されます。

特例措置の内容には、「助成率及び上限額の引き上げ」「申請書類の簡素化」等があります。詳細は、以下よりご確認いただけます。

関連記事:『【新型コロナウイルス】緊急対応期間中、全国を対象に講じられる雇用調整助成金の特例措置(生産指標要件緩和、対象者拡大、助成率引き上げ)

※記事では「2020年4月1日から6月30日までを緊急対応期間に定め」とありますが、その後延長が講じられ、現段階では緊急対応期間が「2020年4月1日から2021年2月28日」となっています。ただし、このたび表明された内容によるとさらに「緊急事態宣言解除月(2021年2月の予定)の翌月末」まで延長となる見通しです。少し分かりにくいですが、正しく把握しておきましょう。

特に業況が厳しい大企業に対し、特例措置の拡大を「緊急事態宣言解除月の翌月末」まで延長予定

前述の特例措置と併せて、現在、緊急事態宣言再発令に伴って特例措置の拡大が講じられています。この拡大措置は、一部の大企業に対し、緊急事態宣言期間中に実施した休業について適用されることとなっています。

この点については新たに、「生産指標(売上等)が前年又は前々年同期と比べ、最近3ヵ月の月平均値で30%以上減少した全国の大企業」に関して「当該宣言が全国で解除された月の翌月末」まで特例措置の延長を適用する予定である旨が表明されました。

特例措置の拡大は、緊急事態宣言の発出に伴い、特定都道府県(※)の知事の要請を受けて営業時間の短縮、収容率・人数上限の制限、飲食物の提供を控えることに協力する飲食店や劇場、映画館等について、雇用調整助成金の特例措置に係る大企業の助成率を最大10/10(中小企業と同率)に引き上げる措置です。

特定都道府県の範囲と、特例措置拡大の対象となる休業実施期間は、原則以下の通りとなっています。

・1都3県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県):2021年1月8日~2021年2月7日
・2府5県(栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県):2021年1月14日~2021年2月7日

参照:厚生労働省リーフレット「雇用調整助成金の特例措置に係る大企業の助成率の引き上げのお知らせ

関連記事:『【新型コロナウイルス】雇用調整助成金の特例措置、「期限延長」及び「一部の大企業への助成率引き上げ」へ

緊急事態宣言解除月の翌々月から2ヵ月間は、「助成率」「上限額」を調整

雇用調整助成金等の特例措置が「緊急事態宣言解除月の翌月末」を以て講じられなくなった場合でも、直ちに原則的な雇用調整助成金等の制度内容に戻るわけではありません。段階的に経過措置が講じられ、実状に合わせた対応がとられることになります。

現段階で、政府は「緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月から2ヵ月間の措置」として以下の措置を想定しているようです。

○原則的な措置を以下のとおりとする。
・雇用調整助成金等の1人1日あたりの助成額の上限:13,500 円(現行 15,000円)
・事業主が解雇等を行わず、雇用を維持した場合の中小企業の助成率:9/10(現行 10/10)
※ 休業支援金等の1人1日あたりの助成額の上限:9,900 円(現行 11,000 円)

○感染が拡大している地域(※1)・特に業況が厳しい企業(※2)の雇用維持を支援するため、
特例を措置(上限額 15,000 円、助成率最大 10/10)。
※1 内容は追って公表予定
※2 生産指標(売上等)が前年又は前々年の同期と比べ、最近3ヵ月の月平均値で 30%以上減少した全国の事業所

出典:厚生労働省「雇用調整助成金の特例措置等の延長等について(別紙)

先を見通すことが困難な状況下においては、些細なことでも今後の展望を見通せる要素があることが、今後の前向きな検討につながるのではないでしょうか。現段階ではあくまで予定の内容ではありますが、正しく把握して事業計画の検討に役立ててまいりましょう!最新情報を入手し次第、随時打刻ファーストにて解説します。

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