【新型コロナウイルス】緊急事態宣言下で派遣契約が中途解除に!派遣先と派遣元の適切な対応とは

企業経営に影を落とす新型コロナウイルス感染症の影響は、労働者派遣契約にも及んでいます。とりわけ緊急事態宣言が発令されて以降、派遣契約期間中にもかかわらず、派遣先から契約解除を求められる派遣元が増えているようです。今号では、労働者派遣契約が途中解除になる場合の派遣先、派遣元での正しい対応の仕方を確認しておきましょう。

労働者派遣契約の中途解除!派遣先が取るべき対応3つのステップ

新型コロナウイルス感染症の影響により、大幅な業績悪化に陥った派遣先会社では、派遣労働者の受け入れをやむを得ず見直すケースもあると思います。労働者派遣契約を契約期間の途中に解除する際の取扱いについて、厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」では、下記の3のステップを経る必要があるとしています。

  1. 派遣会社の合意を得るとともに、予め相当の猶予をもって申し入れること
  2. 派遣先の関連会社での就業をあっせんする等、派遣労働者の新たな就業機会を確保すること
  3. 派遣労働者の新たな就業機会の確保ができない場合、遅くとも30日前に予告するか、予告しない場合は派遣会社に派遣労働者の賃金相当分の損害賠償を行うこと

「1」の「相当の猶予」について具体的な期間の明記はありませんが、「3」で「30日前までの予告」が適切とされていることを鑑みれば、遅くとも1ヵ月以上前までには申し入れを行う必要があることが分かります。

「3」の「派遣労働者の賃金相当分の損害賠償」については、次のいずれかの取り扱いとなります。

  • 派遣契約の解除に伴い、派遣元事業主が当該派遣労働者を休業させる場合は、休業手当に相当する額以上の額
  • 派遣元事業主がやむを得ない事由により派遣労働者を解雇する場合で、派遣先による解除の申入れが相当の猶予期間をもって行われなかったことにより、当該派遣元事業主が解雇の予告をしないときは労働基準法上の解雇予告手当相当額

「派遣契約の中途解除=雇用契約の終了」ではありません

大原則は、派遣先と連携して新たな就業機会を確保

派遣元会社では、派遣先との契約が期間の途中で解除されたからといって、自社で雇用した派遣労働者を解雇できるわけではありません。大原則としては、派遣先と連携して新たな就業機会を確保することとなりますが、やむを得ず対応できない場合には、まず休業を行い雇用の維持を図るとともに、休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすことになります。もちろん、派遣労働者の休業に伴い、派遣元会社では雇用調整助成金の活用を検討することができます。

参考:厚生労働省「雇用調整助成金」

やむを得ず解雇する場合は…

一方、労働者をやむを得ず解雇する場合には、労働基準法上の解雇予告を行う必要があります。

ただし、雇用期間に定めのある有期労働者の雇い止めの場合、もともと雇用契約期間が定められていることから、無期雇用労働者の場合以上に解雇の有効性が厳しく判断されることになります(労働契約法17条)。
また、同一の組織単位に継続して3年間派遣され、個人単位の期間制限に達する見込みがある特定有期雇用派遣労働者に対しては、労働者派遣法30条第2項の定めに基づき、派遣元事業主は下記のいずれかの措置を講じるものとしている点にも注意が必要です。

  1. 派遣先への直接雇用の依頼
  2. 新たな就業機会(派遣先)の提供
  3. 派遣元事業主において無期雇用
  4. その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置

参考:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領_第6派遣元事業主の講ずべき措置等」

慎重に対応していくことが得策

このように、派遣契約の中途解除に伴う派遣先、派遣元の対応に際しては、留意すべき点は多岐に渡ります。よって、専門家による指導の下、慎重に進めるのが得策です。
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HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。