法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて従業員を働かせる際には必ず締結し、労働基準監督署に届け出るべき「36協定」。
一般企業においてはすでに定着している手続きですが、かたや学校では「教育現場に36協定は締結不要」と思い込まれているケースが多々見受けられます。
ところが、私立学校では例外なく、そして公立学校においても多くの場合、36協定の締結が必要となります。
未対応の学校においては、早期にご対応ください。
目次
私立学校では教職員の時間外・休日労働について36協定の締結・届出を
一般企業同様、労働基準法の適用を受ける私立学校では、教員と職員両方に生じる時間外・休日労働について36協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。
しかしながら、現状、私立学校における36協定締結率は高いとは言い難い実態があり、労基法違反事例として労基署の監督指導を受けるケースも少なくありません。
以下は、公益社団法人私学経営研究会が2017年に行った「第3回 私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査」より、私立高校における36協定関連の調査結果を抜粋したものです。
□ 専任教員の36協定の有無(回答数331)
・時間外勤務・休日出勤どちらも36協定を締結している・・・52.0%
・休日出勤のみ36協定を締結している・・・0.6%
・時間外のみ36協定を締結している・・・1.2%
・検討中(準備中を含む)・・・16.3%
・36協定を締結する予定はない・・・ 28.7%
・数年前までは、締結していたが、今は締結できていない・・・0.6%
・その他(詳細な回答なし)・・・0.6%
◇ 36協定に関わる労働基準監督署の立入調査の有無(回答数329)
・立入調査なし・・・76.3%
・調査はあったが、指導・是正勧告どちらもなし・・・10.6%
・指導のみあり・・・3.7%
・是正勧告あり・・・9.4%
〇 36協定関連の指導、是正勧告の内容
・時間外労働に関する協定がないにもかかわらず、時間外労働を行わせていること・・・13件
・36協定の締結・・・7件
・36協定届出(就業規則変更を含む)・・・4件
・協定の限度時間を超えての時間外労働・・・4件
・就業規則の改善・・・1件
・協定書を見やすい場所に設置する・・・1件
・労働契約の締結の際、判断基準・手当・退職に関する事項・休暇等明示すること・・・1件
・協定届について、教職員に周知していない・・・1件
参考:公益社団法人私学経営研究会「第3回 私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査報告書」
上記の調査結果によると、36協定未締結の私立高校は全体のおよそ半数、調査対象の約3割が労基署の立入調査を受けたことが分かります。
指導、是正勧告の根拠の大半は、「協定未締結にもかかわらず時間外・休日労働を行わせていること」にあります。
2019年4月の改正労基法の施行、そして働き方改革を追い風に、労基署は一層、各事業所に対する監督指導を強化しています。学校に対してもまた、例外ではありません。
公立学校でも、職員に時間外・休日労働をさせるには36協定が必要
公立学校の場合、教員については「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」の適用を受けるため、36協定の対象外とされています。
しかしながら、給特法の適用を受けない職員が時間外・休日労働に従事する場合については、労働基準法に定める36協定の締結・届出が必要です。
2018年9月には、静岡県内の市町立小中学校で36協定が未締結状態であった旨が報道され、問題視されています。
参考:中日新聞しずおか「2018年9月26日 朝刊 県内25市町の小中校 事務職、残業協定結ばず」
そもそも36協定とは?
ここまでお読みくださった方の中には、「締結・届出の必要性は十分理解したが、そもそも36協定とはどういうものなのか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
「学校における36協定」をテーマにした記事はまた改めて準備いたしますが、まずは下記より36協定の基本をご確認いただければと思います。
◎ まずは36協定の原則について
参考:打刻ファースト「残業をさせるのは違法?!労働基準法を理解し36協定を締結する方法(記入例つき)」
〇 学校の規模に応じて、順次、新様式での対応が必要になります
参考:打刻ファースト「【中小企業は2020年4月以後締結分から】新「36協定」をさらに詳しく解説【労働基準法改正2019】」
〇 36協定届はウェブ上で作成できます
参考:打刻ファースト「協定届の作成がネットでできる! 「36協定の締結・届出」を徹底しましょう」
〇 残業について、36協定締結以外にも注意すべきポイントを確認しておきましょう
参考:打刻ファースト「違法な残業にならないために「36協定だけ結べばOK」と思っていませんか?」
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