
すでに別記事で解説している通り、マイナポータルを通じた離職票交付が2025年1月20日より開始されます。離職者にとっては最短での離職票受取の実現、企業側にとっては業務効率化の一環として積極的な活用が望まれますが、一方で初めての制度運用には何かと不安がつきものです。このたび厚生労働省より公開された「マイナポータルを通じた「離職票」の直接交付に関するFAQ」から、実務上想定されるQ&Aを確認しておきましょう。
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目次
マイナポータルでの離職票受取 実務上の疑問を解消
厚生労働省公開のFAQでは、マイナポータル経由で離職票交付を受ける上で気になる13のQ&Aが解説されています。ここでは、会社側が知っておくべき実務上のポイントをいくつかご紹介します。
資格喪失届によるマイナンバー登録は対象外
マイナポータル経由での離職票受取の条件として、まず「あらかじめマイナンバーをハローワークに登録していること」が挙げられます。現状、マイナンバー未登録の従業員については、資格喪失届提出の2週間程度前までにマイナンバーの登録手続きが必要となります。例えば、離職に際して資格喪失届にマイナンバーを記載したとしても、事務手続き上、離職票発行までの間にマイナンバーを登録することができず、マイナポータル経由での離職票交付の対象外となります。
マイナポータルで受け取った離職票データの印刷は不要
離職者がハローワークで求職者給付を受ける際、マイナポータルで受け取った離職票はスマートフォン等の画面で提示できれば良く、原則として印刷して持参する必要はありません(ただし、運輸局で受給資格決定を受ける船員は印刷の必要がある等、例外はあります)。また、会社が電子申請を行い、離職者に対して電子メール等で交付した離職票の電子データについては、印刷済みのものを持参する必要があります。
マイナポータルで離職票が受け取れない場合、「お知らせ容量」が原因となっていることも
離職者のマイナンバーがハローワークに登録され、「雇用保険WEBサービス」との連携設定を行っていて、会社が電子申請によって離職手続を行ったにも関わらず、マイナポータル上で離職票を受け取ることができないケースが想定されるようです。具体的には、「お知らせ容量が上限を超えていること」が原因として考えられます。この場合、ハローワークの窓口で離職票が交付されることになるため、離職者が本人確認書類(免許証、マイナンバーカード等)を持って最寄のハローワークへ出向く必要があります。なお、お知らせ容量等により送信エラーとなっていることをハローワークで確認した場合、ハローワークから離職者への連絡は、事業所を通じて行われる流れのようです。マイナポータル上での離職票交付を希望する従業員に対しては、あらかじめ「お知らせ容量」について確認をしておくようアナウンスできると安心です。
参考:厚生労働省「マイナポータルを通じた「離職票」の直接交付に関するFAQ」
雇用保険適用拡大を前に、電子申請を活用して離職手続の業務効率化を
離職票交付手続きは、現状、会社がハローワークに申請し、ハローワークから会社に交付された離職票等の書類を離職者に転送するという、会社側にとっては少々煩わしい流れとなっています。これを紙媒体で申請している会社であればなおのこと、会社にかかる業務負担は大きなものであると想定されます。
ご存知の通り、2028年10月以降、雇用保険適用拡大が予定されており、各社で雇用保険被保険者数の増加が見込まれます。被保険者が増えればそれだけ会社側で対応すべき手続きも増えますから、より一層、業務効率を高める工夫が必要になってくるのではないでしょうか?電子申請を活用することで、時間短縮・コスト削減、セキュリティの向上、管理情報の共有等のメリットが期待できます。また、従業員の理解・協力が得られれば、離職票に関しては直接交付が実現し、また一つ業務効率化が前進するでしょう。自社での電子申請対応が難しい場合には、電子申請可能な社労士をご活用いただくこともお勧めです。御社の業務効率化の手段として、電子申請の導入をご検討ください。