路面凍結による「転倒」に要注意!冬季・降雪期における労働災害防止のポイント

冬らしく、毎日寒い日が続きますね。寒さによる凍結、積雪のある冬季は、一年の中でも特に労災事故が起こりやすい時期ですが、適切な対策ができているでしょうか?「冬場の労災事故なんて、ごく一部の地域の話」と考えられがちですが、降雪は例年都心でもありますから油断は禁物です。雪の多い地域でもそうでない所でも、冬季労働災害防止のポイントとなる「路面凍結」への注意点を心得ておきましょう。

「つるつる路面」の原因は?

冬場の労働災害事故防止対策には地域によってずいぶん違いがあるものの、全国共通の課題といえば「路面の凍結による転倒」ではないでしょうか。特に、積雪への対応に不慣れな都心では、降雪の翌日に通勤途中や屋外での就業中につるつるの路面に足をとられる、というケースを散見します。凍った路面での転倒は、骨折や打撲の原因となりますから十分に気を付けたいものです。

「つるつる路面」は、降雪があった翌日以降の気温差によって作られる

路面の凍結は、降り積もった雪が踏み固められたことによる圧雪や氷が日中に一度溶け、夕方以降再度凍結することによって生じます。見るからにアイスバーンになっている道はもちろん、アイスバーンの上に新雪が積もっているために一見すると凍っていることが分かりにくい道というのもあり、注意が必要です。

横断歩道の白線部分は滑りやすい!

路面の凍結が生じやすい場所には、傾向があります。降った雪が踏み固められて固くなりやすい場所や、もともと水が染み込みにくい素材の場所等には注意が必要です。

✓ ⾞の出入りのある歩道
事業場や店舗等の駐車場の出入り口など、車の出入りが多くある歩道は、雪が車のタイヤに踏まれ固くなりやすく、更にタイヤの摩擦で磨かれるため⾮常に滑りやすくなります。また、除雪のある場所とない場所との境目も、溶けた雪と固まった雪などで滑りやすくなります。

✓ 横断歩道
横断歩道は⾞と⼈が多く通るため、雪が踏み固められるとともに、⾛っている車や停まっている車の熱で雪の表⾯が溶けやすくなっています。一度溶けた雪は、夜間に再び凍結し、翌朝つるつる路面を作ります。また、横断歩道の白線部は、通常の舗装部分と違って水が染み込まないため、薄い氷膜が出来やすく、想像以上に滑ることがあります。

✓ タイル張りの建物や玄関の出入り口
雪道や降雨の中を歩いた後に、タイル張りの建物の中に入る時やタイル張りの玄関先では、靴の裏に付いた雪や水で滑りやすいので注意が必要です。

企業が講じるべき、「つるつる路面」による転倒防止対策

転倒は、冬場に非常に多く発生する労災事故のひとつです。企業における安全配慮義務として、転倒災害への対策を検討・実践しましょう。

冬場の転倒防止対策① 「4S」の徹底

「4S」とは、整理・整頓・清掃・清潔の徹底を指します。屋外ではこまめな除雪や凍結防止剤の散布、屋内では凍結防止機能付きマットなどの設置、さらに、通路等からの障害物の撤去や照度の確保(照明の設置)等の対策が考えられます。その他、気象情報を踏まえた作業計画の作成、転倒リスクに応じた「危険マップ」の作成、転倒危険箇所への掲示物による「見える化」等も、必要に応じて行っておきたいところです。

冬場の転倒防止対策② 従業員教育

転倒防止を考える上では、従業員に対する日頃の注意喚起も重要なポイントです。各人が、通勤途中や作業中に必要な転倒防止対策を万全に行える様、安全衛生教育の一環として、冬場の転倒防止について周知しておけると安心です。
具体的な内容としては、滑りにくい靴選びのポイント、滑りやすい場所での歩き方のコツ、ポケットに手を入れた状態やスマートフォンを見ながらの移動の禁止、時間にゆとりを持って行動する等が挙げられます。

参考:福井労働基準監督署「冬季・降雪期における労働災害防止について

冬季労災の代表格、路面凍結に伴う「転倒」にご注意を

厚生労働省が発表した「令和5年労働災害発生状況」によると、休業4日以上の死傷者数において「転倒」が36,058 人と最も多く、全体の26.6%にものぼることが分かります。非工業的事業では、「転倒」による労災事故といってもあまりピンとこないかもしれません。しかしながら、路面凍結が生じる冬季には、事業の種類を問わず転倒の可能性があるため、十分な注意が必要となります。

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