【学校の働き方改革】水泳授業の民間委託で教員負担軽減(千葉市の取り組み)

7月も下旬を迎え、学校は夏休みに入りました。
2019年6月、文部科学省が各都道府県教育委員会に向け、教員の夏季休暇確保に向けた対策を講じるべき旨の通知を出したことは既にご紹介した通りです。
学校の働き方改革を推進すべく、千葉市では、夏の間の教員の業務改善として「水泳授業の民間委託」の試行が始まっています。

参考:打刻ファースト「【学校の働き方改革】2019年夏、教員の「夏休み取得ルール」の見直しが急務!

水泳指導の民間委託 目的は「維持管理費削減」「教員の負担軽減」

千葉市では、2019年6月より、市立小学校の水泳の授業を民間のスイミングスクールに委託するモデル事業を開始しました。
現段階では小学校2校での導入にとどまりますが、2019年度の検証を踏まえ、2020年以降はさらに拡大して導入される予定となっています。

水泳授業の民間委託の目的は大きく分けて2つ、「コスト削減」「教員の働き方改革推進」です。

水泳授業を委託する目的① - コスト削減

千葉市教育委員会によると、千葉市内の学校プールの老朽化に伴う修繕費、水道使用量を含む維持管理費に全校で年平均およそ2億5000万円もの費用が掛かっているとのこと。
今後大規模改修の必要が生じれば、その額がさらに膨れ上がる見込みです。

今後は民間委託に伴うコスト、費用対効果との比較検討を踏まえ、本格導入の可否が決定されることになります。

水泳授業を委託する目的② - 働き方改革

プール清掃に始まり、日々の水質管理、授業時の安全管理、夏休み中の水泳指導への対応等、水泳授業に伴う教員への負担は決して小さなものではありません。
この点、このたびのモデル事業での取り組みを元に、民間委託による負担軽減度合が検証されます。

参考:日本経済新聞「千葉市、水泳授業民間委託 費用減・働き方改革なるか

夏休み中、学校による水泳指導は必要か?

2019年6月28日に文部科学省より各都道府県教育委員会宛に通知された「学校における働き方改革の推進に向けた夏季等の長期休業期間における学校の業務の適正化等について」の中で、夏休み中の水泳指導について触れている箇所を抜粋します。

‘「学校としての伝統だからとして続いているが,児童生徒等の学びや健全な発達の観点からは必ずしも適切とは言えない業務又は本来は家庭や地域社会が担うべき業務(例えば,夏休み期間の高温時のプール指導 ~以下省略~ 等)を大胆に削減すること。」’

地球温暖化を受け、日本の平均気温が上昇の一途をたどる今日において、夏の暑さは年々深刻さを増しているように感じられます。
そういった意味で、夏休み中、炎天下での水泳指導が果たして本当に必要かどうかといえば、甚だ疑問が残ります。

また、学期中に水泳指導が行われることは、体育の授業時間内の取り組みであることから理解できます。
しかしながら、夏休み中(授業外の時間)に、教員がわざわざ水泳指導を行わなければならないというのは、働き方改革の観点から言って趣旨に反する取り組みと言わざるを得ません。

今後は現場において、夏休み中の水泳指導の必要性、実施頻度の見直しを進めることで、教員の業務適正化につなげていく姿勢が求められるものと思われます。

もちろん、一保護者としては「夏の間も学校で水泳指導をしてもらえる」ことは嬉しいことであり、これを実施しないとすれば反対意見も挙がってくるかもしれません。
しかしながら、保護者の反対やクレームばかりを恐れていれば、学校の働き方改革は一向に進まないでしょう。
例えば、事前にアンケートをとる等して保護者の意識を把握しておく、保護者に対し十分に説明して理解を得ておく、段階的に指導の形態を変えていく等、丁寧な取り組みを重ねることで少しずつ、一方で着実に改善を行っていくことが肝心です。

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