【学校の働き方改革】給特法改正へ|「変形労働時間制導入」と「休日まとめ取り」改正案が閣議決定

学校の働き方改革を大きく前進させることになる教職員給与特別措置法(給特法)改正案が、2019年10月18日に閣議決定されました。学校の働き方改革を考える上で不可欠となる、現行の給特法における課題への解決に向けた大きな一歩となります。さっそく概要を確認しましょう。

改正案の柱は、公立学校における「変形労働時間制導入」と「休日まとめ取り」

このたびの給特法改正のポイントについて、現段階で判明しているのは下記の3点です。

✓ 教員への「一年単位の変形労働時間制」の導入
  繁忙期となる4、6、10、11月の各週について、所定労働時間を週3時間増やす
✓ 夏季休暇のまとめ取り
  8月に5日間の休日を設定し、有給休暇とあわせて長期の夏季休暇取得を推進
✓ 時間外労働の上限を原則「月45時間、年360時間」とするガイドラインを指針に格上げ

改正案成立後、早ければ2021年度より適用となる見込みです。教育現場における、時間外労働削減と休日確保に向けた打開策となるのでしょうか? 今後の動向に注目が集まります。

給特法の改正を受け、現場で対応すべきこと

改正法が施行されれば、現場では法に則した方向で働き方を検討していくことになります。焦点となる「一年単位の変形労働時間制」については、学校における働き方改革特別部会で示されている資料に従い、学校ごとの就労ルールを確立していく必要があります。

一年単位の変形労働時間制

1ヵ月を超え1年以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じ労働時間を配分することを認める

 ●労働時間の限度は1日につき10時間まで、1週間につき52時間まで
  (対象期間が3ヵ月を超える場合は、48時間を超える週は3ヵ月で3回まで)
 ●労働日数の限度は1年280日まで
  (対象期間が1年に満たない場合、{280×(対象期間の日数)/365}日が上限)
 ●連続して労働させる日数の限度は6日まで
  (特定期間には1週間に1日の休日が確保できる日数(実質、連続12日まで))
 ●対象期間中全ての期間の労働日及び労働日ごとの労働時間を定める方法と、
  対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分して、各期間が始まるまでに期間内の
  労働日及び労働日ごとの労働時間を定める方法の、いずれかの方法で導入すること

出典:文部科学省「第18回【開催日時:平成30年10月15日(月曜日)13時30分~16時00分】_一年単位の変形労働時間制について(労働基準法第32条の4)

一年単位の変形労働時間制導入については、「労働時間の限度が守られるのか(労働時間制の誤った運用により、かえって長時間労働が助長されることにならないか)」「8月の夏季休業期間に確実に休日を確保できるのかどうか」が課題となりそうです。

教育現場における業務改善 具体例

学校の働き方改革を現実的なものとするためには、従来とは異なる労働時間制を導入するだけでなく、現場が前向きに業務改善に目を向けていかなければなりません。具体的には、下記を主軸とした業務の見直しが急務となります。

●学校・教師以外への業務移行の可能性=教師の業務負担軽減
●慣習的業務の廃止

文部科学省では、従来学校が行ってきた主要14業務を整理・分類することで、各校における業務改善のヒントを示しています。公立学校の場合、業務の担い手の移行については自治体を主体とする検討が不可欠ですが、負担軽減が可能な教師の仕事について各校で実行可能な取り組みを考えていくことはできそうです。

◎ 基本的には学校以外が担うべき業務
①登下校に関する対応
②放課後から夜間などにおける見回り、児童生徒が補導されたときの対応
③学校徴収金の徴収・管理
④地域ボランティアとの連絡調整

◎ 学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務
⑤調査・統計等への回答等
⑥児童生徒の休み時間における対応
⑦校内清掃
⑧部活動

◎ 教師の業務だが、負担軽減が可能な業務
⑨給食時の対応
⑩授業準備
⑪学習評価や成績処理
⑫学校行事の準備・運営
⑬進路指導
⑭支援が必要な児童生徒・家庭への対応

給特法改正の動向に注目しつつ、今後も引き続き、現場レベルでの検討を進めてまいりましょう。働き方改革の土台となる勤怠管理には、クラウド勤怠管理システムIEYASUの活用がお勧めです^^

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