平成29年度新設の雇用関連助成金として、先日その詳細が公開された「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」。政府主導の働き方改革において、長時間労働の是正は主要課題のひとつとなっていることから、早くも注目を集めています。
さっそく、その内容を確認していくことにいたしましょう。
目次
EU加盟国では既に常識、“休息時間を確保する”という長時間労働対策
助成金の詳細に触れる前に、まずは「勤務間インターバル」について理解を深めましょう。
「勤務間インターバル制度」とは、終業から翌日の始業までに一定の時間的間隔を設け、労働者の休息時間を確保しようという取り組みです。従来「労働時間の上限を決めること」で長時間労働に規制をかける方法が一般的でしたが、インターバル導入は「労働しない時間を徹底すること」によって同じ目的を達成しようという趣旨のものであり、いわば発想の転換による労働時間削減策であることが分かります。
日本ではまだあまりなじみのない制度ではありますが、すでにEU加盟各国では法令で勤務間インターバルを設ける旨が義務化されており、広く浸透しています。具体的には、「24時間について最低連続11時間の休息を付与する」とのことで、なかなか高次なレベルでの取り組みとなっている様です。
助成金受給の条件は「9時間以上のインターバル」
今回公表された「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」の詳細によると、達成すべき成果目標は下記の通り設定されています。
“事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が9時間以上11時間未満、または11時間以上の勤務間インターバルを導入すること。”
参照:厚生労働省「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html
上記の成果目標の達成に向け、事前に定める事業実施計画を元に「勤務間インターバル制度を新規に導入する」、すでに本制度を導入済みの事業所においては「適用範囲の拡大を図る」「インターバルを延長する」といった取り組みをした事業主に対し、助成金の支給が行われます。
自己流の取決めではNG!制度化には「専門家」を活用すべし
「インターバルを設けるなんてさほど難しくない!それではさっそく我が社でも・・・」と考えても、制度さえ導入できれば良いというわけではありませんのでご注意ください。
厚生労働省によれば、支給対象の対象となる取り組みとして認められる施策は、下記の通りとなっています。
“○労務管理担当者に対する研修
○労働者に対する研修、周知・啓発
○外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
○就業規則・労使協定等の作成・変更(時間外・休日労働に関する規定の 整備など)
○労務管理用ソフトウェアの導入・更新
○労務管理用機器の導入・更新
○その他の勤務間インターバル導入のための機器等の導入・更新
※ 原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。”
参照:厚生労働省「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html
つまり、「実際に支出をして制度導入に取り組んだ」という実績が必須であり、実際の申請書類にも内訳の明記が求められています。
また、実施計画段階から、取り組みの妥当性についてもしっかり検討する必要があります。可能であれば、制度導入当初から社会保険労務士や中小企業診断士等の専門家によるサポートを受け、会社の状況に応じた形での実施ができるのが理想的であり、確実に助成金を受給するためのポイントとなりそうです。
勤務間インターバルの導入は、「適切な勤怠管理」から
「助成金が出るなら、さっそく取り組んでみようかな」と思われた事業主の皆さんが、まず着手すべきは【現状把握】でしょう。実際のところ従業員がどのような働き方をしているのか、この点を知らずして勤務間インターバルの適切な制度化など望めません。まずは現場を把握することから、打刻をさせることから、始めてみてはいかがでしょうか?
ちなみに、助成金支給対象となる取り組みの一つに「労務管理用機器の導入・更新」が挙げられています。例えば、「勤務時間管理に IC カードを導入する」ことで、出勤時間管理の適正化・効率化を図るというのも有効な施策であると言えましょう。IEYASUでは専門家による導入サポートも承っていますので、この機会にぜひお役立て頂ければと思います。
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