【働き方改革】テレワークの労働時間把握・管理の簡素化方針が明らかに|今後ますます重視される客観的把握義務

新型コロナウイルスが依然として猛威を振るう中、企業におけるテレワーク導入の必要性が高まりをみせています。こうした状況を背景に、2020年12月1日に実施した成長戦略会議で公開した実行計画において、政府は「テレワークの定着に向けた労働法制の解釈の明確化」を盛り込み、テレワークの時間管理について「簡便な方法」を認める旨の方針を示しました。

テレワークの時間管理 今後のルール整備に関わる3つの方向性

実行計画で示された「テレワークの定着に向けた労働法制の解釈の明確化」では、労使双方にとって負担感のない簡便な労働時間把握・管理に関わる3つの方針が明記されています。

  1. テレワーク時における労働者の自己申告による労働時間の把握・管理については、自己申告された労働時間が実際の労働時間と異なることを客観的な事実により使用者が認識している場合を除き、労働基準法との関係で、使用者は責任を問われないことを明確化する。
  2. (中抜け時間があったとしても、)労働時間について、少なくとも始業時間と終業時間を適正に把握・管理すれば、労働基準法の規制との関係で、問題はないことを確認する。
  3. テレワーク時には原則禁止であるとの理解があるテレワークガイドラインの「時間外、休日、深夜労働」について、テレワーク以外の場合と同様の取扱いとすることについて検討する。

出典:成長戦略会議「実行計画(令和2年12月1日)

始業・終業時刻の客観的把握に努めることは大前提

①の方針だけみると、「労働時間は労働者の自己申告で良く、それが実態と違っていても使用者が責任を問われることはない」と勘違いしそうですが、決してそのような意図ではないことにご注意ください。

大前提として、使用者は労働者の始業・終業時刻の客観的把握に努めることは不可欠であり、それでもなお客観的に把握しきれない労働時間分については労働者の申告内容(打刻など)で認定しましょうという趣旨です。

加えて、中抜けや時間外・休日・深夜労働については、使用者が事前許可の仕組みを整えていない等、客観的把握がされない場合には、基本的に労働者が申告した始業・終業時間の範囲内において認められることになります(仮に申告制度がなかったとしても、労働者が抱えている業務量や黙示の指揮命令の有無等によって客観的把握が可能な場合も例外的にあります)。使用者が主体的に簡便な労働時間把握・管理を採用するためには、会社側の労働時間把握に関わる管理体制整備、つまりは客観的把握義務への対応がこれまで以上に求められることになるというわけです。

今一度振り返りたい、テレワーク時の労働時間把握・管理の大原則

テレワークの労働時間把握・管理方法については、厚生労働省の「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」に示される通りです。
原則は、テレワークだからといって特別な労働時間把握・管理が許容されるというわけではなく、通常の勤務同様、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)に基づいた方法で取り組むことになります。

■ 労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たること

■ 使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること
(1)原則的な方法
・使用者が、自ら現認することにより確認すること
・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること
(2)やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合
① 自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと
② 自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること
③ 使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者等において慣習的に行われていないか確認すること
参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

労働時間の客観的把握においては、単に始業・終業時刻の記録をとるだけでなく、前述の通り、中抜け時間や時間外・休日・深夜労働の取扱いに関わる検討とルール作りが必要になりますので、留意しましょう。

テレワークのデメリットは、労使双方に「労働時間管理の難しさ」にあり

テレワークの労働時間把握・管理を実践する上で、企業側にとっては頭を悩ませる部分も少なくありません。そもそも適切な管理方法としてどんなシステムを導入するべきか、申告された労働時間の妥当性をどのように確認するか等、リモートならではの難しさは多岐に渡ります。

同ガイドラインによると、テレワーク実施の問題・課題として「労働時間の管理が難しい」ことを挙げる企業が最も多いことが分かります。一方で、労働者側の意見としても「長時間労働になりやすい」といった労働時間に関わる問題意識が浮き彫りになっています。

出典:厚生労働省「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン

現状「労働時間の把握・管理」への対応がネックとなってテレワーク導入に踏み切れない事業場も少なくないと思いますが、コロナ禍においては労働者への安全配慮義務が最重要であり、感染拡大防止の観点からテレワークを含む新たな働き方に目を向けていく必要があることは言うまでもありません。このような対策を積極的に講じていくことが、やがては企業イメージ、信頼度を高めることにもつながります。

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。