パワハラで労基署から問合わせが!慌てないことが肝要

労働基準監督署(以下労基署)における社員からのパワハラ相談が多くなっています。その場合、内容によっては会社に問合わせの連絡が入ります。「労基署からパワハラの問合わせがきた!」と慌てて専門家に相談する会社がありますが、原則その必要はありません。
そこで、パワハラに関する問合わせがあった場合、どうすべきかご紹介します。

パワハラ相談は、ほとんどが該当しない

筆者は仕事でよく各地の労基署に行くのですが、ほとんどが社員からのパワハラ相談です。実際、労基署の相談は個室で行われるのではなく、受付の隣にある3列から4列並んだ机で行われているので、周りの人に聞こえてしまうのです。しかし、よく話を聞いていると「それは違うよ」と諭されるケースが多いようです。

セクハラは、受けた本人が不快だと思えばセクハラになるケースが多いので、相談した場合「それはセクハラだね」とすぐに受け付けてもらえます。しかし、パワハラの場合は、本人が不快だと感じる言動でも該当しないケースがほとんどです。

また、よくあるケースが思い違い、勘違いです。本来思い違いや勘違いは、相手に確認をすれば何ら問題にならないのですが、意見を言いにくい職場の場合は、訊くことができず、悩み続けることになります。「挨拶しても無視される」「いつもにらまれる」「自分だけ指導が厳しい」等枚挙に暇がありません。挨拶無視も無視しているわけではなく、目を見て挨拶を返していないので、そう思ってしまたり、にらんでいる訳ではないのに、みんなと同じように指導しているのに……。すべて受け止め方の違いが原因です。会社としては、「早く相談してよ」と思うような内容です。

ただし、上司等が「バカ」「能力なし」「できないやつは辞めてしまえ」等は、たった一度しか言っていないとしても、パワハラに該当します

労基署からの問合わせ

労基署に相談をする場合、「会社でいじめられている」「パワハラを受けている」という内容が多いようです。そして、労基署の職員に「誰にどのようにいじめられたのか」「誰からどのようなパワハラを受けたのか」具体的に訊かれます。そして、パワハラに該当するとなれば、会社に確認の連絡がきます。

そこで、ほとんどの会社は「そんなことがあったのか!」とびっくりしますが、具体的に事情を説明すると労基署は納得してくれるケースが多いようです。ただし、その事情に不審な点、納得できないこと等があると直接労基署に出向いて詳しく話をすることになります。

パワハラと勘違いをした事例

ある中途採用の女性社員に対して、会社はメンターとして1年間先輩社員に面倒をみてもらうことにしました。ところが、1ヶ月後メンターの社員が変わり、さらにその1ヶ月後またまた変わり、とうとう3ヶ月目に3人目となりました。そこで、彼女は、「おかしい」と思い、「これはいじめだ」と労基署に訴えたのです。「1年間同じ社員がメンターとして指導するはずが、3ヶ月で3人はいじめでは」ということで労基署も会社に問合わせをしました。

そこで会社は、「ミスが続くため人を変えれば指導方法も変わるので、ミスがなくなると思ってしたことです。ミスが続かなければメンターを変えなかった」と事情を説明しました。すると、労基署は「それはもっともですね」と納得して何ら労基署からの指導はありませんでした。ただし、その女子社員は、結局会社を退職してしまいました。

労基署の問合わせには、真実を話すべき

ハラスメント等、労基署からの問い合わせがあったら、隠さず事実をきちんと話しましょう。例えば、「クビだ」と部下に上司が言ってしまい、相談に行かれた場合は、「クビだなんて言っていない」等否定するのではなく、その前後の事情を説明するのです。社員が上司の言うことを何度も無視するためつい口に出てしまったのであれば、実はパワハラにならないケースが多いのです。つまり、指導を受ける部下の勤務態度が問題です。部下が上司の指導を無視するという行為に対して、きつい指導は当然という判例もあります。

したがって、労基署の問合わせがあったときには、必ずその前後の事情も話すべきなのです。パワハラとなる言動を行ったという事実だけでは、たった一言でもパワハラに認定されてしまいます。認定されると労基署の指導を受けるだけでなく、相談した社員は「おすみつきをもらった」と思って調停や裁判に訴える可能性が高くなります。要注意です。

労基署からの問い合わせにも慌てないことが肝要

労働基準監督署からの電話は、何となく嫌なものです。何を言われるか不安ですよね。でも問合わせに慌てる必要はありません。労基署も相談者の一方的な話を全て信じるのではなく、会社側の話も合わせて確認をして、「パワハラ」に該当するのかどうか等を判断します。会社側がすべて悪いとなるわけではないので安心してください。ただし、パワハラに該当しないことに本人が納得しない場合もありますので、その時は、会社と相談した社員で労基署に出向き、第三者である職員を交えて社員に納得してもらうことが、肝要かと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

グッドライフ設計塾 代表  菅田 芳恵

大学卒業後、証券会社、銀行、生保、コンサルティング会社に勤務後2005年に独立開業。独立開業にあたり、2年間で社労士やFP等7つの資格を取得。現在、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士・CFP)、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、ハラスメント防止コンサルタント、医療労務コンサルタント等、13の資格を活かして、様々な仕事をしている。人事労務コンサル、労働トラブルアドバイス、キャリアカウンセリング、メンタルヘルス相談、研修講師等、多くの実績がある。