「平成30年7月豪雨」に伴い、雇用調整助成金の特例措置が講じられます

西日本を中心とした各地に甚大な被害をもたらした、「平成30年7月豪雨」。

このたび、豪雨災害の影響により、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主に対する雇用調整助成金について、特例措置が講じられることになりました

「雇用調整助成金」とは?万が一のときのため雇用維持の一助に

雇用調整助成金とは、景気の変動、産業構造の変化その他の「経済上の理由」により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用する労働者を対象に休業等を実施、休業手当の支払いを行った際に、休業手当等の一部を助成する制度です。

厚生労働省によると、‘事故または災害により施設等が被害を受けたことは「経済上の理由」とはならず、雇用調整助成金の支給対象とはなりませんが、自然災害の長期化や復旧までに長時間を要する場合等には、交通手段の途絶等により原材料の入手、製品の出荷が困難であることや、事業所等が損壊し修理業者の手配や修理部品の調達が困難となったこと等を理由とし、事業活動の縮小が行われた場合は、「経済上の理由」に該当し雇用調整助成金の対象となる可能性がある’とのこと。雇用調整助成金の利用の可否は、所轄ハローワークによって判断されることになります。

「平成30年7月豪雨」に伴う雇用調整助成金の特例措置

雇用調整助成金の基本的な概要については、下記よりご確認いただけます。

参照:厚生労働省「雇用調整助成金

これに対し、このたびの「平成30年7月豪雨」に伴い講じられる特例措置は、下記の通りです。

・特例の対象となる事業主

平成30年7月豪雨による災害に伴う「経済上の理由」により休業等を余儀なくされた事業所の事業主(※平成30年7月豪雨による災害に伴う休業等であれば被災地以外の事業所でも利用可能です。)

※平成30年7月豪雨の影響に伴う「経済上の理由」とは、例えば

・取引先の浸水被害等のため、原材料や商品等の取引ができない場合
・交通手段の途絶により、来客がない、従業員が出勤できない、物品の配送ができない場合
・電気・水道・ガス等の供給停止や通信の途絶により、営業ができない場合
・風評被害により、観光客が減少した場合
・事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や修理部品の調達が困難なため、早期の修復が不可能であることによる事業活動の阻害

があたります。

・特例の内容

①生産指標の確認期間を3ヵ月から1ヵ月へ短縮する
②平成30年7月豪雨発生時に起業後1年未満の事業主についても助成対象とする
③最近3ヵ月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象とする
④休業を実施した場合の助成率を引き上げる
(岐阜、京都、兵庫、鳥取、島根、岡山、広島、山口、愛媛、高知、福岡の各府県内の事業所に限る)
【中小企業:2/3から4/5へ】【大企業:1/2から2/3へ】

⑤支給限度日数を「1年間で100日」から「1年間で300日」に延長
(岐阜、京都、兵庫、鳥取、島根、岡山、広島、山口、愛媛、高知、福岡の各府県内の事業所に限る)

⑥新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6ヵ月未満の労働者についても助成対象とする
⑦過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主であっても、
ア:前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象とする
イ:受給可能日数の計算において、過去の受給日数にかかわらず、今回の特例の対象となった休業等について新たに起算する

出典:
厚生労働省『平成30年7月豪雨の災害に伴い「雇用調整助成金」の特例を実施します!

厚生労働省『平成30年7月豪雨の災害に伴い「雇用調整助成金」の特例を追加実施します!

災害に伴う休業、解雇・・・こんな時はどうする?

厚生労働省からは、併せて「平成30年7月豪雨による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A」が公開され、雇用に関する事例と対応策が紹介されています。
災害の影響に伴う休業、解雇、賃金支払等、使用者であれば誰しも直面する可能性のある項目について、今回の被災の有無にかかわらず、すべての使用者が確認しておくべき内容です。

下記は、Q&Aの一例です。

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参考:広島労働局「平成30年7月豪雨による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A

以上、「平成30年7月豪雨」に伴う雇用調整助成金と雇用に関わるQ&Aをご紹介しました。
「平成30年7月豪雨」にて被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い再興をお祈り申し上げます。
万が一のときには、迅速かつ正確な情報収集が必須となります。今号の内容は、主に被災された事業者様に向けたものですが、今回被災しなかった皆様もぜひ知識として蓄えておかれることをお勧めします。

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