2020年6月1日から「パワハラ対策義務化」|コロナ禍の「テレハラ(リモハラ)」にご注意を!

2020年6月1日より、職場におけるパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました。大企業ではさっそく今月から、中小企業では2022年4月1日からの施行となりますが、御社における対応はいかがでしょうか?新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、在宅勤務制度を導入する企業が増加傾向にありますが、水面下では「テレハラ(リモハラ)」といった新たな形態でのハラスメントが問題視されています。現場においては今一度、「ハラスメント」の定義に関わる認識を新たにする必要がありそうです。

2020年6月1日施行のパワハラ対策義務化 事業主に課せられる3つの義務とは?

昨今、職場におけるいじめや嫌がらせは増加傾向にあります。厚生労働省の調査によると、全国の労働局に寄せられる相談内容のうち、「職場でのいじめ、嫌がらせ」は全体の25.6%を占め、最も多くなっているとのこと(2018年度)。こうした状況を背景に、2019年の第198回通常国会では「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の⼀部を改正する法律」が成立、「労働施策総合推進法」が改正され、企業におけるパワーハラスメント防止対策が義務化されました。

雇用管理上、事業主が講じるべき主な措置は下記の3点です。

事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

・職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
・行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

・相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
・相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

・事実関係を迅速かつ正確に確認すること
・速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと(注1)
・事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと(注1)
・再発防止に向けた措置を講ずること(注2)

(注1)事実確認ができた場合(注2)事実確認ができなかった場合も同様

出典:厚生労働省「2020年(令和2年)6月1日から、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!

なお、ここでは「パワハラ」としていますが、今回の法改正事項は、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント等、職場のあらゆるハラスメントにも準じて適用されることになります。事業主においては、想定される様々な観点からハラスメント対策を検討していかなければなりません。

事業主が講じるべき取り組みは、①~④の各項目に沿って考えていきます。

  1. 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
  2. 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  3. 職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
  4. 併せて講ずべき措置

具体的な対応策については、下記リーフレット19ページ以降で詳しく解説されています。

参考:大阪労働局「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務となりました!

パワハラの定義も、今回の改正で具体的に

パワーハラスメントについて取り組むべきことは理解できていても、「そもそもどのような行為がパワハラに該当するか」は従来、個々で認識に差が生じがちな部分でした。この点、今回の法改正ではパワハラの定義について明文化され、各人が共通認識をもってパワハラか否かを判断できるようになりました。

パワーハラスメントの定義

職場において行われる

  1. 優越的な関係を背景とした言動であって、
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  3. 労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすもの

パワーハラスメントの類型と種類(限定列挙ではなく、あくまで代表的な類型)


出典:厚生労働省「あかるい職場応援団_ハラスメントの類型と種類

コロナ禍で急増中「テレハラ(リモハラ)」に注意!

職場のハラスメントには様々なものがありますが、コロナ禍で増えているのが「テレハラ(リモハラ)」です。
「テレハラ(リモハラ)」とは、「テレワーク(リモートワーク)中に行われるハラスメント」のことであり、具体的には

  • テレビ会議システムを介して把握したプライベート(自宅環境や服装、同居人など)への干渉
  • 相手の通信環境にケチをつけること、私費での改善強要
  • 業務上不必要なWEB会議や通話の強要
  • 過度の監視等の威圧的行為

等、様々な事項が挙げられます。また、最近流行りのリモート飲み会(業務時間外に行われるもの)への参加強要も、「テレハラ(リモハラ)」の一種です。通常のオフィス勤務とは異なる状況下での就労に際し、これまでにはなかったトラブルが想定されます。「個々のモラルの問題」で片付けることなく、どのような言動が問題になるかを各人に周知徹底する等、会社として必要な措置を講じる必要があります。

パワハラ防止策として、まずは起こさないための「予防」、そして起きてしまった後の「対応」という2つの観点から、体制整備を進めましょう!

LINEで送る

ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。