「労働時間」に関する申告の増加率は前年比42.3%!2019年「東京都内の労働基準監督署における申告事案」

東京労働局管下18労働基準監督署(支署)における2019年中の申告事案が取りまとめられ、公表されました。概要によると、「労働時間」に関わる申告が急増とのこと。現状、少しでも懸念事項のある現場においては、働き方改革への対応や勤怠管理の状況について、今一度、見直されてみることをお勧めします。

参考:東京労働局「令和元年度の司法処理状況及び令和元年の申告事案の概要について公表します

申告受理件数自体は減少、ただし「労働時間」に関する申告の増加率に注目

このたび2019年の概要が公開された「申告事案」は、労働基準法などに違反するとして、労働基準監督署に救済を求める目的で労働者が申告した事案を取りまとめたものです。労働者による申告は、申告監督の実施や定期監督の対象事業所選出の際の参考材料とされます。

2019年の申告事案概要によると、申告受理件数は「4,124 件」であり、前年比 191 件(4.4%)減との結果となりました。また、主な申告内容は、以下の通りです。

賃金不払: 3,276 件(前年比 213 件(6.1%)減)
解雇  : 557 件(前年比増減なし)
労働時間: 111 件(前年比 33 件(42.3%)増)

「労働時間」については、2018年に引き続き増加傾向にあることが分かりましたが、2019年は前年比42.3%と急増しています。「賃金不払」等の他の項目との比較では、件数としては多くないものの、労働者側の意識が着実に高まる項目であることに留意する必要があります。

万全ですか?「時間外労働の上限規制」と「36協定」への対応

「労働時間」といえば、「時間外労働の上限規制」は、数ある働き方改革への取り組みの中でも特に注目集める話題となっています。大企業では2019年4月から、中小企業でも2020年4月から施行され、現在では一部の業種を除き、企業規模に関わらず例外なく遵守しなければならないことになっています。「時間外労働の上限規制」については、すでに打刻ファースト内でいくつも解説記事を公開していますので、ご確認ください。

関連記事:
【働き方改革】時間外労働の上限規制「80時間」「100時間」への対応策
時間外労働の上限規制の「2~6ヵ月平均で80時間以内」とは?【労働基準法改正 2019】
時間外労働の上限規制の「年720時間」とは?【労働基準法改正2019】

また、「時間外労働の上限規制」適用と併せて、36協定の様式が変更になっています。特筆すべきは、時間外労働の上限をより意識・徹底させる内容となっていること、さらに「労働者の健康・福祉の確保」に向けた具体的な取り組み内容を明記させることです。中小企業においては、「2020年4月以後の期間のみを定めた36協定」から、新たな様式を用いることになっていますのでご注意ください。

関連記事:『【中小企業は2020年4月以後締結分から】新「36協定」をさらに詳しく解説【労働基準法改正2019】

労働基準監督署による申告監査では、就労実態について、時間外労働の上限規制に係る遵守状況、36協定との整合性が確認されますので、常に意識しておく必要があります。

もちろん、勤怠管理の土台となる「労働時間の客観的把握」の徹底を

さらに、2019年4月1日に施行された改正労働安全衛生法により、使用者には「労働時間の客観的把握」が義務化されました。労働時間管理の土台が適正な勤怠管理にあることを鑑みれば、現場においては何をおいてもまず取り組まなければならないことと言えるでしょう。御社での取り組みの状況はいかがでしょうか?

勤怠管理の方法については厚生労働省がガイドラインを公開していますので、これを元に検討していきます。
複数の従業員を抱える現場において「使用者による現認」は現実的ではありませんから、必然的に「客観的な記録」が残る方法について考えていくことになります。


出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

働き方改革の各種取り組みの土台となる「労働時間管理」は、企業が最も重視すべき項目といっても過言ではありません。また、今号でご紹介した申告事案の概要にも示される通り、労働者側の労働時間への意識は高まりつつまります。現状、適正な勤怠管理に未対応の企業では、早急な対応が求められます。

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