
新型コロナウイルスの影響で、社員へ自宅待機を命じた会社も少なくはないのではないかと思います。
その際に少なからず疑問に挙がるのが、この自宅待機期間は有給休暇付与の際の出勤率算出への影響です。
このように会社の命により自宅待機を命じた場合、有給休暇を付与する際にその自宅待機期間の扱いをどうすれば良いのかということを本稿では解説していきます。
目次
会社都合、もしくは不可抗力の場合は除外するのが妥当
今回のように新型コロナウイルスの影響で会社の命により自宅待機させていたということであれば、会社都合、もしくは不可抗力の休業になるため、以下で記載する例外に当てはまり出勤日数、全労働日のいずれからも除外し出勤率を算出するのが妥当と言えるでしょう。
労働基準法第39条による原則
年次有給休暇は、労働者が雇い入れ日から6か月以上継続勤務し、かつ全労働日の8割以上出勤したときに当然に生じるもので、どのように利用するかも労働者の自由です。出勤率は以下の方法で算出します。
出勤率 = 出勤日数 ÷ 全労働日 全労働日 = 算定期間の総歴日数 - 就業規則等で定める所定休日 |
ただし、労働者の責めに帰すべき事由によらない不就労日は、出勤日数に算入すべきものとして、全労働日に含まれます。(H.25.7.10基発0710第3号)
出勤日数、全労働日に含めない例外
例外として次に掲げるには出勤日数、全労働日のいずれからも除外します。
- 不可抗力による休業日
- 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
- 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日
有給休暇の取り扱いで注意すること
出勤率の算定について
- 遅刻・早退した日でも、出勤している以上は「出勤日」とみなされます。
- 育児休業、介護休業は出勤したとみなしますが、子の看護休暇、介護休暇は出勤したものとして扱いません。
- 8割以上出勤しなかった場合は、その年の分は付与されませんが、そのことによって付与日数が変わるわけではありません。
継続勤務について
- 在籍期間をいうため、雇用形態は要件に求められていません。アルバイトを正社員に切り替えたような場合や、会社が解散し権利義務関係が新会社に包括承継された場合には、実質的に労働関係が継続している限り勤務期間は通算されます。
- 派遣労働者が派遣元との雇用関係を終了させ、新たに派遣先で雇用された場合については、派遣元での在籍期間は派遣先に係る継続勤務として扱わなくても差し支えありません。
その他注意すること
- 時間単位での取得は、労使協定が必要で、労働者側だけ、使用者側だけが望んでもこの制度の利用はできません。また、日単位で取得するか時間単位で取得するかは労働者が決めることができます。なお、計画的付与として与えることはできません。
- 労使協定により年次有給休暇の計画的付与を行う場合、日付が特定されると、その後に事情が変わったとしても、使用者からも労働者からも、また両者が合意したとしても、その日付を変更することができません。
困ったら専門家に相談することを検討
労務関係や助成金のことで、困ったことや具体的に聞きたいことがあれば社会保険労務士に相談してみるのも一つの方法です。
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