【学校の働き方改革】改正給特法成立|2021年4月1日より教員への「一年単位の変形労働時間制」適用が可能に

以前、打刻ファーストでもご紹介した改正教職員給与特別措置法(給特法)が成立し、2020年、2021年と段階的に施行されます。本稿では今一度、改正法の概要を振り返ると共に、すでに行われている公立学校における労働時間改革に向けた先進的事例をご紹介します。

改正給特法が成立|柱は「一年単位の変形労働時間制適用」

昨今、教員の長時間労働の実態はより一層深刻さを増していることは皆さんご存知の通りです。労働時間の長時間化は教員の心身を蝕む直接的要因となり、慢性化すると精神疾患の発症に伴う休職や自殺、脳・心疾患による過労死、ストレスの蓄積とその解消が発端とも言われる職場いじめ等の引き金となります。

こうした背景を受け、このたびの改正給特法には下記のポイントが盛り込まれています。

改正給特法の2つのポイント|変形労働時間制と教員の業務量の適切な管理

① 一年単位の変形労働時間制の適用(休日のまとめ取り等) 2021年4月1日施行予定
学期中の業務の縮減に加え、かつて行われていた夏休み中の休日のまとめ取りのように集中して休日を確保すること等が可能となるよう、公立学校の教師については、地方公共団体の判断により、一年単位の変形労働時間制の適用を可能とする。

② 業務量の適切な管理等に関する指針の策定  2020年4月1日施行予定
公立学校の教師が所定の勤務時間外に行う業務の多くが、超過勤務命令によらないものであること等を踏まえ、文部科学大臣は、公立学校の教師の健康及び福祉の確保を図ることにより学校教育の水準の維持向上に資するため、教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を定めるものとする。
出典:文部科学省「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(概要)

給特法改正については、改正案閣議決定時に打刻ファーストでも取り上げていますので、ご確認ください。

【参考記事】打刻ファースト「【学校の働き方改革】給特法改正へ|「変形労働時間制導入」と「休日まとめ取り」改正案が閣議決定

教員にも「残業時間上限月45時間、年360時間」を適用|文科相指針に明記

「② 業務量の適切な管理等に関する指針の策定」 では、公立学校教員の残業時間の上限について「原則月45時間、年360時間」とする旨が盛り込まれることになります。現状、公務員である公立学校の教員には労働基準法が適用されず、2020年4月1日よりすべての民間企業で取り組まれる「時間外労働の上限規制」の対象外となっています。この点、学校の働き方改革実現に向けた環境整備が急務とされることから、

✓ 現場においてはまず労働時間の見直しを行い、
✓ その上で、必要に応じて変形労働時間制適用を検討する

という流れが作られる見込みです。

2019年度より静岡県の公立中学校で全国初の「フレックスタイム制導入」

教員の働き方改革が進む中、静岡県の公立中学校では2019年度より、教員が勤務時間を二通りの時間帯から選択できる「フレックス制」が導入され、話題となっています。具体的には、通常勤務(8:15~16:45)か、二時間目からの出勤となる遅番(9:30~18:00)かを選択する形態となっており、個々の私的な用事や業務の忙しさ、教員全体の人員配置バランス等が考慮され調整されます。これに伴い、生徒には部活動時間と完全下校時刻の厳守、宿題・定期テストの縮小といった対応が講じられているとのことです。

フレックスタイム制導入は、教員の働き方改革推進につながるのでしょうか?続報に注目が集まるところです。
※公立学校の教員の勤務時間等は、労基法の定めを逸しない範囲で地方公共団体の条例、学校管理規則によって定められ、最終的には学校長権限により決定されます(ただし現状、一年間の変形労働時間制は適用除外)
参考:文部科学省「教育公務員の勤務時間について

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【動画で確認】改正給特法成立|2021年4月1日より教員への「一年単位の変形労働時間制」適用が可能に

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