部下は上司の指導に従うことが原則~ただし、部下の意見には耳を傾けよう

最近、上司の指導に対して無視したり、反抗したりした結果、上司から叱責を受けると「パワハラだ」と訴えるケースが多くなってきました。管理職にとっては、指導が難しくなり、パワハラを恐れるあまり「見ざる、言わざる、聞かざる」になっていませんか?部下は、上司の指導に従うことが義務であり、それを無視したり反抗したりすることは義務を果たしていないことになります。そこで、この基本的な上司の指導について説明をします。

指導の意義

指導とは、教え導くことです。部下を会社や職場などの目的に向かって導いたり、技術や知識などを身につけたりさせることです。また、指導は部下に対するキャリア形成支援の一環でもあります。上司からいろいろな指導を受けることで自分の思い描くキャリアに近づいていくことができるのです。

パワハラと指導

職場は、チームで仕事をするフィールドに他なりません。自分勝手に仕事をする場ではないのです。そこで、一定の教育や指導は不可欠となります。そして、その目的が適正であり、方法も妥当ならば部下はそれに反抗したり、無視したりすることは許されません。裁判所は、人権侵害を認める立場とある程度の叱責はやむを得ないという見解に分かれています。人権侵害を認めるとは、指導に必要のない「バカ」「能力なし」「給料泥棒」などの言葉を用いたケースです。

指導に従わない部下に対して

何度も言いますが、部下は上司の指導には従わなければなりません。しかし、上司の指導に対して無視したり反抗したりする部下も少なからずいます。そんな時は上司としては「なぜ従わないんだ」と腹が立つかと思いますが、そこは叱責をするのではなく、「なぜ無視をするのか」「なぜ従わないのか」と理由を訊いてください。理由もなく無視する場合でも毎回他の部下と同じように指導をして下さい。何回指導しても同じであれば徐々に指導がきつくなるのは仕方がないでしょう。裁判では、指導するたびに無視をしたり反抗する部下に対してはきつい指導は仕方がなく、パワハラには該当しないという判決もでています。ただし、指導記録をつけて何回指導しても変わらないということを証明しなければなりません。

部下の意見には耳を傾けなければいけない

部下は上司の指導に従わなければなりませんが、指導に対して意見や提案をする権利があります。上司の指導が分かりにくい、上司のやり方より効率的なやり方があるなど上司に対して訊いたり、提案をすることは必要です。上司の指導がすべて正しくわかりやすいとは限らないからです。

そして、重要なことは部下からの問いや提案に対して、真摯に受け止めるということです。これをなおざりに無視していると部下の意見を無視したという理由でパワハラだと訴えられる可能性があります。部下の問い合わせや提案に対しては、具体的に回答し受けいれがたい場合は、その理由をきちんと伝えましょう。

指導は具体的にする

指導は、部下がすぐに行動に移せるように具体的にするべきです。ところが、現実は抽象的な言葉が多く、部下はその指導に何をすればよいのか迷うことが多いようです。例えば、「やる気をだして頑張ろう」と上司が言ったとします。上司にとってのやる気は自分の過去の体験に裏打ちされたやる気です。挨拶を大きな声で言ったり、遅刻をしないなどの態度のことになります。しかし、部下にとってのやる気は、自分の過去の体験から判断するやる気で仕事を頑張って目標を達成することです。ここに上司と部下の思いのすれ違いが起きてしまっています。いくら上司が「やる気をだせ」と言っても、やる気の捉え方が異なるので、上司としては「いつまでたってもやる気がない」と叱責をするかもしれません。やる気という言葉は抽象的なので、いかようにも受け取れるからです。そこで、上司としては「やる気を出せ」というような抽象的な伝え方ではなく、「遅刻をなくして大きな声で挨拶をしよう」と具体的な場面を伝えることが重要なのです。

まとめ

パワハラが怖くて部下を指導できないと嘆いている管理職の方は、今一度指導を見直してください。指導は厳しくても構いませんが、言い方や人権を侵害する言葉は使わないようにしましょう。部下を指導して、仕事を覚えさせ、スキルアップを図るのは管理職の義務です。
そしてその指導に従うことは、部下の義務です。ただし、指導は部下にわかりやすく具体的に伝えましょう。そして、部下の提案や問い合わせには、丁寧に対応をするように心がけて下さい。

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