残業や勤怠管理が注目される中、改めて「過労死白書」を紐解く

いま厚生労働省が先頭に立ち日本全体が「変わらなければいけない」というムードにあることを日々感じます。その中できっかけとなったのが電通の過労死自殺の事件であったと思います。いま、改めて厚生労働省から発表された過労死白書をデータで振り返ってみたいと思います。

「過労死白書」で読み解く現代日本の問題

厚生労働省は「過労死等防止対策白書」いわゆる「過労死白書」を公表しました。これは平成26年に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づき毎年国会に報告を行う年次報告書であり、過労死を取り巻く状況や政府の講じた対策などについてまとめられています。

白書は全280ページで構成されており、就業時間や残業が発生する理由、年次有給休暇取得率といった労働者を取り巻く労働環境について掲載されているほか、「全国過労死を考える家族の会」の活動が同法の制定につながった経緯などについても紹介しています。

知らないでは済まされない!日本に根付いた問題

不名誉なことですが、「Karoshi(過労死)」という言葉が英語辞書に掲載されています。これは世界的に見て、欧米を含めた先進国の中でも日本で特有に起こる問題であることを意味しています。電通の新入社員(高橋まつりさん)の過労による自殺が報じられ、社会に大きな衝撃を与えたのも記憶に新しいかと思います。

過労死白書には、企業約1万社(回答は1743社)と労働者約2万人(同19000人)を対象にした調査結果も掲載されており、それによると「過労死ライン」とされる月80時間を超える残業をしている正社員がいる企業の割合は22.7%に上ることが分かりました。業種別に見ると、「情報通信業」と「学術研究、専門・技術サービス業」が4割を占める結果となっています。

【参考記事】労働基準法改正まであと2年!「残業時間100時間」が上限規制に?

一方で労働者に対する調査では、36.9%の人が高いストレスを抱えており、特に「医療・福祉」や「サービス業」の割合が高くなっています。また3割を超える人が、高い疲労の蓄積や睡眠不足の状況にあると答えており、その原因に最も多く挙げられたのが「残業時間の長さ」となっています。これらから、日本が抱える根本的な労働環境問題が浮き彫りとなりました。

過労死をゼロにするために_労働環境を整える

過労死の実態解明はまだ始まったばかりであり、同白書でも「労働環境や職場環境だけでなく、商取引上の慣行等の業界を取り巻く環境や生活時間等の労働者側の状況といった、多岐にわたる要因およびそれらの関連性を分析していくことが必要」と指摘しています。

さらに労働者約2万人に対する長期間に及ぶ追跡調査と長時間労働と健康に関する研究の推進も計画に盛り込まれています。健康診断結果と仕事の負荷や労働時間、生活習慣を長期間にわたって調べることで、過労死のリスクを上げる要因を明らかにすることが目的で、毎年その経過が報告されることになります。

今回公表された白書は世界に類をみないものですが、その内容で明らかにされたのは決して世界に誇れる状況にはないということです。しかし、法律制定から対策への取り組みまでの流れを評価し、これを改善の良い機会と捉えて日本の労働環境を世界に誇れるレベルまで上げる姿勢を持つべきです。将来を担う人材を育み、日本の経済力を維持向上していくためにも、先ずは身近な環境をしっかりと見直すことが大切です。

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